あらすじ
新資料「天皇の戦争責任に関する研究」と
『昭和天皇独白録』の秘められた関係とは?
昭和史の謎に迫る画期的歴史ノンフィクション
「大日本帝国政府」の文字がある表紙をめくると、現れたのは「天皇の戦争責任に関する研究」と題した報告書で、用紙には「外務省」の文字――これは東京裁判の直前に戦犯裁判を免れるために、天皇に戦争責任がないことをいかに説明するかを外相吉田茂側近の東京帝大法学部教授が追究したものであった。戦後80年という時空を通して眠り続けたこの報告書から見えてきたのは『昭和天皇独白録』との相関と、何のために天皇は戦争を語ったのかという大きな謎を解く鍵であった。さらに、敗戦により責任を問われることになった日本の指導者たちの弁明を様々な新資料を駆使して掘り起こし、戦後日本の原点ともいえる歴史の謎の真相に迫る。
【目次より】
第一章 「天皇の戦争責任に関する研究」
第二章 外務省法律顧問
第三章 米国大統領からの親電
第四章 「独白録」の出自と論点
第五章 盧溝橋以後の一二項目
第六章 内外法政研究会
第七章 想定の起訴状
第八章 弁護団の内情
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Posted by ブクログ
2026年8月に毎日新聞がスクープした、高柳賢三の”戦責研究”と昭和天皇の”独白録”の関係性を分析する著者の労作である。戦責研究が独白録の種本らしいとの関係性は明白であるが、文言の一対一対応の観点からはまだまだと言わざるを得ない。更なる研究が待たれる。
一点高評価したい。それは、戦責研究や独白録はあくまでも外務省と高柳が東京裁判向けに昭和天皇の戦争責任を回避するために用意したものである一方、実際に東京裁判で陸軍関係者の弁護を担当した弁護士達との間には重大な対立、摩擦、抵抗が存在し、結果的に高柳は東京裁判において活動の場を限定されたと指摘し、そこから外務省と高柳関連の資料はあくまでも天皇だけのためだったとの指摘に繋がる主張である。要は独白録にしても今回の戦責研究にしても、歴史的資料として位置づける時には要注意という警鐘を鳴らしている点、歴史に対する冷静な姿勢が素晴らしい。