あらすじ
心を持つ火星探査ローバーのレジリエンスは、人間との違いを観察しながら、火星に打ち上げられる日を心待ちにしていた。レジリエンスの中に格納されるドローンのフライは、ともに火星に行く相棒だ。
火星でのミッションは、かつて火星に生物がいた痕跡をふくむサンプルを探すことと、以前火星で動かなくなってしまったローバーを見つけること。レジリエンスとフライは、人工衛星ガーディアンとも通信しながら、ミッションを達成しようと、事故や失敗を乗り越えていく……。
ニューベリー賞オナー作家が贈る、静かな感動をよぶ物語。
ローバー設計者の一人娘が、11歳から30代までレジリエンスにあてて綴った手紙が随所にはさみこまれ、地球でなにが起こっていたを効果的に伝えます。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
火星探査機ローバー「レジリエンス」は、心を持つローバーだ。人間とはデータやコードのやり取りしかできないから、レジリエンスの気持ちを知る人はいない。でも、同じローバーの「ジャーニー」や相棒のドローン「フライ」とは言葉を交わすことができる。自分に期待して送り出してくれた研究者、ザンダーとラーニアのため、そして、自分が地球に帰還するため、レジリエンスは火星で自分が価値あるローバーだと証明しようと走り続ける。
心を持つローバーという題材が、決して擬人化され過ぎず科学の話と融合していた。レジリエンスの成長の物語であり、ロボットたちの友情の物語であり、ローバーに人生をかけた科学者たちの挑戦の物語でもあり……とにかくとても読み応えがあり、ページをめくる手が止められず一気に読んでしまった。
レジリエンスが搭載している「脳」は、もしかしたら今で言うAIなのかもしれない。レジリエンスが科学者たちの指令を上書きして自分の意思で進路を決めていることが話の筋として成り立つのも、今の時代だからこそではないだろうか。
火星に着いてからの冒険は本当にドキドキわくわくして楽しかった。人工衛星「ガーディアン」やジャーニーが、だんだんとレジリエンスの持つ「心」に染まっていくのも微笑ましい。
終わり方も現実的で良かった。ファンタジーと科学のバランスがとても良い物語。