あらすじ
男に会うためだけに海を越える私のいじらしい性欲。南国ホーチミンのレストランで口説いたボーイと、酷寒の宵に出会ったソウルのホテルマン。高校時代の翌(あす)なき春から、痛ましい夏を経て終焉の春へ、20年にわたる恋愛遍歴。魂の放浪記はここから始まった。静かで熱く、どこまでも赤裸々に描いた自伝的恋愛小説。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
毎年夏になると読みたくなります。おなじみのベトナム男との情事を書いた作品の中でこれが一番好き。この人のないような俗っぽいのに文体が堅く美しいところがたまりません。
Posted by ブクログ
これは小説なのか? 自身のことか?
自伝的恋愛小説!?
中味を見れば官能小説の様でもあり、自身の恋物語の様でもある。自伝にしては、激しすぎ、ましてや自分や自分の妻と同世代の作者であるということを考えると、余りにも激しすぎる。
それにもまして、妻と同世代の同性の作者がここまで開けっぴろげに小説だとしても表現をしていることが、不思議な感じである。
昨日まで読んでいた「グロテスク」は1人称表現で記載される40になろうかという私が主人公。そしてこちらも同世代の女性が主人公で主に1人称で物語が進んでいく。
それなのに、あちらは薄っぺらい紙のような文字の羅列であるのに対して、こちらは描写される景色、人物、待ちの喧騒、そして息遣いまでもが思い浮かぶ。
あちらはあちらで、そのような世界観を素晴らしいと評する人がいるのかもしれないが、私はこちらの世界の人なのだろう。
どんな本を読んでいても、その本からイメージされる情景は、自分の経験してきたことの延長にしかないとすれば、俗といわれようが、こちらを評したい。
それにしても本当にこんなことができる自由な心と時間そしてお金があるならば、溺れてしまいたい世界である。