【感想・ネタバレ】学歴・階級・軍隊 高学歴兵士たちの憂鬱な日常のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2019年12月03日

エリートが一兵卒としてイジメられた、という単純な話ではなかったです。日本の戦前のエリートたちの屈折した感情の数々を描き出したものでした。高貴なる義務を言いながら、士官学校を忌避する…超越を言いながら、軍隊生活では現実に負けるしかない…しょうがないと思うのは私が庶民だからか…

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Posted by ブクログ 2010年01月19日

なんとなくタテマエの平等空間を実現していた一高はある種のモラトリアム空間だったのではないかと思いました。そしてまだ階級社会であった当時ではそのモラトリアムにいられる幸福な青年の総数自体が少なく、其れ故彼ら高学歴者と世俗との乖離が目立ち第二次大戦、敗戦という流れの中でモラトリアム期間の急激な中断を余儀...続きを読むなくされたのが彼らの憂鬱であり悲劇であったとも思います。
ノーブレス・オブリージュと言う言葉が文中良く出てきますが、一高生が憧れた西洋のノーブレス・オブリージュには軍歴も含まれていたと考えられるのに、軍部が日本の事情を考慮したエリートの軍への取り込みをしなかった事と、エリート層の方でも世俗から離れることを美徳として軍に対して無関心だったことが、陸軍をエリートコースに乗る余裕も無く士官学校へ入った優秀な田舎の青年将校で満たす結果となり、其れが第二次大戦における軍部の暴走の遠因になったのでないかと推測すると、唱えるだけで掘り下げることをしていないように見える高学歴者達の言う「ノーブレス・オブリージュ」も空しいものに見えます。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

戦前のエリートの考え方がわかるとともに、ある意味非常に平等であった「軍隊」に放り込まれた彼らの苦悩。

一億総中流時代が終わり、「格差社会」が広がる昨今、エリートへのルサンチマンが同じようにあるように感じる。

その意味で、この時期に刊行された意味は大きい。


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Posted by ブクログ 2014年08月02日

本書の考察を象徴し、かつ通底しているする一文が冒頭でこう述べられている。「岸野中尉は我々学徒兵が―つまり教育のある人間が憎いんですよ。」ただ、同じ高等教育機関の中でも歴然とそこで経験した「教育」に、区別がなされていた。学歴は軍・兵自身にとって、かなり依存度の高いファクターであったことが、本書全般から...続きを読む味わうことができる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年03月30日

[ 内容 ]
戦前の日本で、旧制高校から帝国大学へと進む学生たちは、将来を約束されたひと握りのエリートであった。
彼らはある時期まで、軍隊経験をもつ時でさえ、低学歴者にはない優位を与えられた。
それが、第二次大戦もたけなわとなる頃から、彼らも過酷な軍隊生活を送らざるを得ない情況となる。
本書は、最も...続きを読む「貧乏クジ」を引いた学徒兵世代の恨みと諦めの声を蒐集し、世代と階級を巡る問題を照射するものである。

[ 目次 ]
序章 わだつみが聞いた声―高学歴兵士は何を体験したか
第1章 月給取と腰掛OL―高学歴兵士はなぜ嫌われたか
第2章 エゴイストを撃て―高学歴兵士はどこでつまずいたか
第3章 帰ってきた学徒兵―高学歴兵士はいつ追悼されたか
第4章 エリートの作り方教えます―高学歴兵士はどう教育されたか
第5章 アプレゲールの高学歴兵士―山崎晃嗣という一例

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

【後半】軍国教育が生んだエリート意識やソレに対する「妬み」が
戦時中から生み出されていて、それは戦後の同世代間においても影響が出たとする
話が印象に残った。

社会の多様性、様々な考えがあって当たり前の時代であったことを印象づけた。
「徴兵退避」に対する「後ろめたさ」など、民衆の考えが見えて面白い。...続きを読む



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