あらすじ
「二人一緒なら、どこへでも行けます。」
話題をさらった直木賞候補作、ついに文庫化!
【文庫版では、スピンオフ作品「わたぼこりの女」も特別収録】
有能な女中頭の初衣×平凡で印象が薄い嫁・千代。
大正から昭和、激動の時代を生きる女性たちの物語。
ごく平凡な顔立ちの千代が嫁ぎ先で出会ったのは、料理の腕が抜群で
てきぱきと立ち働く女中頭の初衣。
一つ屋根の下で暮らすうちに絆が芽生えていく。
しかし、米軍の敵機が襲来するようになり、ある日、予想もつかない事態に陥ってしまう。
大正、昭和を生き抜く女性たちの歓びや哀しみに溢れた悪化の直木賞候補作。
解説・青木奈緒「リアルな大正昭和の家事模様」
╲絶品料理も登場!!/
・手間のかかった牛タンシチュー
・ウニと松葉で化粧された胡麻豆腐 ほか
単行本 2023年9月 文藝春秋刊
文庫版 2026年9月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
また1人好きな作家が増えた。戦中戦後の厳しい時代に生きる女性たちの日々の暮らし、喜び、どちらかと言うとそれより多い辛さ、苦しみが仔細でリアルで、でも希望の持てる終わり方は頑張って生きる人へのエールに感じられてとても暖かい気持ちになる読後感。
Posted by ブクログ
もう今年イチ面白かった作品と決めてしまってもいいのでは、と思えるくらい面白かった。
久しぶりに作品世界に没頭してしまった。
凡庸な見た目で少し目を離すと顔を忘れてしまうような千代。
長身で凛々しい姿が印象的な元芸者の初衣。
大正十五年から昭和二十五年までの四半世紀の物語。
関東大震災からの復興。
第二次世界大戦の開戦。
揺れ動く時代の中で、地に根を下ろして“生活”をした二人の記録。
役割を生きること。
自分を生きること。
軋轢と調和。
すれ違いと共鳴。
共存。
Posted by ブクログ
文字数は多いが、すんなり読める作品です。
個人的には、朝の連ドラをワンシーズン見終わったような印象です。
絶対にドラマ化はできないと思いますが(笑)
ですが、読みやすいですし、少しでも気になる方には、おすすめです。
Posted by ブクログ
大正十五年、千代は19歳で親同士の決めたわりと裕福な家に嫁に行き、会ったこともない人と夫婦になるのですが、その家には料理の腕が抜群で、てきぱきと働く初衣という女中がいました。
大震災に戦争という激動の時代を生き抜いた女性たちの絆を描いた物語です。
随分あとになって、千代はお初さんの年齢や経歴を知るのですが、二人は人に言えないとんでもない秘密を打ち明け合ったり、お初さんのとてもひらけた考え方のおかげで千代は前向きに生きる姿勢を保てることができるのです。
お初さんは特徴のない平凡な顔立ちの千代に、素直でのんびりした裏のないところが好きだから、女としての幸せを願っていると告げます。
出会いもあり、別れもあり、酷く辛い場面も数多く出てくるのですが、台所で勇ましく立ち働く女性たちを描く場面がひときわ明るく光を放っていました。
この二人の様子を見ていると、辛いことが吹っ飛んでしまうようです。
解説の青木奈緒さんが、幸田文さんのお孫さんであることを知って、あぁ読んでよかったなと思いました。
Posted by ブクログ
大正〜昭和時代のお話。
戦前〜戦中〜戦後 一つの映画やドラマをみているかのような描写が目に浮かぶ作品。(特に料理のシーンはどれも食べたくなる…!)
この時代の女性は、暮らしにくさもある中でとても強く、逞しくて、時にはお茶目で可愛くて尊敬する。令和の時代を生きる私にとってはある意味羨ましく感じる部分も…。
千代さんがずっと過酷すぎて、もっと千代さんが幸せになってほしい。こんな運命でなければお初さんと死ぬまで暮らすことができなかったのであると考えれば、ある意味幸せなのかも。
ずっとずっと二人で笑いながら楽しく生活してほしいな。
Posted by ブクログ
初読みの作者さん。
「カフェーの帰り道」が気になるが、その前に9月の文庫ランキングにあったこの本から読んでみる。
親が決めたところへ嫁いできた平凡で印象が薄い嫁の千代とその嫁ぎ先でてきぱきと働く女中頭の初衣、大正末期から昭和の戦後を生き抜いた二人の物語。
その当時のある程度裕福な家の暮らしが精緻に描かれ、その中で立場を超えた結びつきが出来上がっていく女性たちの働き振りを面白く読む。
中盤、閨の営みやあそこの形の話題が頻出したのにはかなり閉口。
それを除けば、様々な喜怒哀楽が、結構衝撃的な出来事でも、適度なユーモアを持って淡々と語られていく文章には独特の雰囲気を感じたところ。
描かれた時代の重さにもかかわらず女性たちが持つ、凛として且つほのぼのとした佇まいと辛い出来事にも負けない逞しさが伝わってきた。