あらすじ
最愛の人は〝善き人″ではなかったのか?
利他とは。善とは。勇敢さとは。
ほろ苦くも優しい、再生の物語。
むつみの婚約者だった春臣は、通り魔から妊婦をかばい、〈英雄〉として死んだ。その死を引きずる彼女のもとに、春臣の弟・真央が転がり込んでくる。「エディ・ウッド・ゴー」を信条に善い生き方を心掛けていた春臣をなぞるように、二人は日常の中で「善いこと」を実践し、報告し合っていた。駅で真央を待ち続ける「募金ちゃん」、ノンデリな職場の同僚・松下、高校の同窓会で再会した春臣の死を知らない同級生……。彼らとの関わりの中でむつみと真央は、春臣の死を、自らのもとへ取り戻してゆく――。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
外科医だった頃、学会へ向かう飛行機で急病人対応に向かったら一人っきりだった時のモヤモヤを思い出しながら読み始めました。佐原先生の作品では味わったことのない急激なギアチェンジ加速をくらい呼吸も止まった作品でした。当事者たちの途中で齟齬、行き違いが見えてなかったものが顕在化してからがもう呼吸できない。
Posted by ブクログ
小説幻冬連載時に読んでいた時は真央のことが好きななれず、あまり再生の物語とも思えずにいましたが、今回単行本で読んだら、真央に寄り添ってあげたくなり、やはりこれは再生の物語だとなりました。読み終わったあとに表紙の装画をあらためて見るとさらにその印象が深まります。
自分は佐原さんの小説では助演的なキャラクターがとにかく大好きで今回は松下さんが好きでした。彼くらいの無神経さ、思いやりと愛情表現のバランスで生きるのがいいのだろうな。
善い人であることを期待されてしまうことがまあまあ多い自分にとっては繰り返し読みたい作品となりました。
Posted by ブクログ
自分を犠牲にしてまで人を救うことも、待っている誰かのために他の人を見捨てることも、どちらが正しいかの答えはない。
亡くなった人への向き合い方も百万通りあるだろう。
大切な人を失い、寄り添い合う2人の、何気ないやりとりがたまらなかった。
悲しいだけ、辛いだけの話でないところが、そのまま救いであり、残された人がこれから生きていくうえでの灯火になると思った。
Posted by ブクログ
自分を犠牲にして周りの危険から誰かを守る、英雄と言われた人が婚約者だった。正義感にあふれる人が実は不誠実な裏の顔があったら。婚約者の弟と同居することがお互いのためになったのか、疑問に感じた。
Posted by ブクログ
自分の命を危険に晒してまで人を救えるだろうか。
親や夫の存在、何より恐怖で体が動かないと思う。
けれども身を挺して人を助けることは紛れもなく善で、議論の余地なく立派な行いである。
遺された人は色々な物語を編み出すけれど、その一瞬の当事者の判断は普遍的で人間くさい、見栄だったり保身だったりするのだ。
しかし行動したこと自体に価値があるし善が宿ると思うので、動機からみて偽善だなどというは良くない。
松下さんがめっちゃ好きだった。
善を貫き通す人より「あなたの元に帰ってくる」と言い切ってくれる人と一緒にいた方が幸せになれる。
松下さんとくっついて欲しい。