あらすじ
新しい職場のレストランで働き始めた小谷悠紀。オーナーやギャルソン仲間はみな親切だったが、シェフの九曜数馬だけは常に不機嫌な態度で、小谷に対する苛つきを隠そうともしない。だが、親切な人々が簡単に豹変するのを知る小谷には、最初から好意的でない方が気が楽だった。相手が距離を置くなら自分からも近づかない…そう思っていたのだが、アパートの火災で住む所を失い、なぜか九曜の部屋に間借りすることに…。砂河深紅先生の口絵・挿絵収録。
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Posted by ブクログ
フレンチレストランのシェフ×ギャルソン。
小粋なロマンスというよりは、攻が男っぽく恋愛に不器用なので、おいしそうな料理が登場する中にも昔気質の硬派な香りが漂っているような話でした。
センセの作品、今回は一人称が受視点バージョン。
小谷が先輩の紹介で今のレストランに転職してきた理由が、想像していた以上に重かったです。
最初はなんでそこまで酷い事を言えるんだろう?客商売なんだから、もう少しわきまえたら…?と快く思えなかった石戸への態度でしたが、そうなってしまった深い理由があったんだと納得。
仕事も人間関係も、そして住まいまでも失うほどの異常な偏執に恐怖してしまう気持ち、誤解されて誰も信じられなくなっている気持ちに、これが自分だったらと思うと小谷以上に冷静ではいられなくなりそうです。
前の職場では誰も味方になってくれなかったけれど、このレストランは全員一丸となって小谷を守ってくれて、スッキリ爽快でした。皆さん頼もしかったけど、中でも九曜が一番でした!強い。
無口で無愛想なのに、いざとなったら愛する者を守るパワーは破壊的w
そのくせ、意外に細かく気が利くところもステキでした。
スタッフ全員人が良くて気になる人物ばかりで、そんなところも楽しめました。
小谷が過去に受けた傷は重いけれど、思ったよりも明るく前向きなストーリーでした。