あらすじ
満たされない恋と人生。珠玉の恋愛短篇集。
「きょう、いま、わたしは愛する人にやさしくされたいのだ」
満たされない恋とままならぬ人生を情感豊かに綴った、珠玉の恋愛短篇集。
はじめはただの推しだった。ファストフード店の飄々とした店員。非常識だけれど情緒はある男に、振り回されながらも、わたしは恋を愉しんでいる。愛されているかどうかってそんなに重要なんだろうか。自分が相手を好きかどうかよりも?(「パーソナルスペース-9.8cm」)
日菜は24年生きてきてはじめて知った。空白ができると好きと言いたくなること。セックス後の彼氏はセックス前の彼氏より百倍恰好よく見えること。なのに彼氏は言う。「俺の優先順位を、もう少し下げてくれない?」。なぜそんなことを言われなければならないのか。(「恋と厚顔」)
あのとき彼と結婚していたら、もっと違う現在があったのだろうか。「そんな結婚、変」。5年前はそうとしか思えなかった。ふっと、彼の香りが蘇る。あの不思議な二人はいま、幸せに暮らしているだろうか。(「卵とキウイ、あるいは跨線橋」)
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Posted by ブクログ
【あらすじ】
満たされない恋と人生。珠玉の恋愛短篇集。
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この作品に書かれたような艶やかな夜の合間で揺らいでいたい。
恋すること、生きていくことの悲しみや喜びがせつなさ100%で胸に迫ってきた。
――窪美澄
輪郭が溶け合うように恋して
根本がまるで違うことに溺れた。
好きな人じゃない、好きだった人。
手放した有り得たかもしれない未来がちらついて、胸がざわめいてたまらなくなった。
――宇垣美里
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「きょう、いま、わたしは愛する人にやさしくされたいのだ」
満たされない恋とままならぬ人生を情感豊かに綴った、珠玉の恋愛短篇集。
日菜は24年生きてきてはじめて知った。空白ができると好きと言いたくなること。セックス後の彼氏はセックス前の彼氏より百倍恰好よく見えること。なのに彼氏は言う。「俺の優先順位を、もう少し下げてくれない?」。なぜそんなことを言われなければならないのか。(「恋と厚顔」)
あのとき彼と結婚していたら、もっと違う現在があったのだろうか。「そんな結婚、変」。5年前はそうとしか思えなかった。ふっと、彼の香りが蘇る。あの不思議な二人はいま、幸せに暮らしているだろうか。(「卵とキウイ、あるいは跨線橋」)
【編集担当からのおすすめ情報】
『1ミリの後悔もない、はずがない』での鮮烈なデビュー、『彼女がそれも愛と呼ぶなら』の連続ドラマ化、『結論それなの、愛』の吉川英治文学新人賞候補入りなどで注目を集め続ける著者の恋愛小説集です。
渋谷、三鷹、羽田、恵比寿、吉祥寺――東京を舞台に、5つの短編で様々な男女の恋愛模様が描かれます。
満たされない恋や執着、思うように生きられない現状への葛藤。情感豊かに描かれる人間模様に、否応なく心が揺さぶられます。読者の心に深く刻まれること間違いなしの、珠玉の恋愛短編集です。
『能動的にその人とコンタクトを取るとなったら、たとえそれが定期的なやりとりや二人きりで会う約束に繋がらないにしても、やはりもやもやしてしまう。』
『大切にしてくれない人を大切にする必要はない。ただそれだけのことに、なぜ向き合わなかったのだろう。
わたしは時々、見なくていい部分を凝視してしまう。そういうとき、その視界の外にある温かな可能性は目に映っていない。』
『恋はなんて厄介なんだろう。快適だと感じる距離が似た人を好きになればいいのに、こんなにも違ったと気づくのはいつも、惹かれ、引きずり込まれ、境界線を主張するには手遅れなほど愛を交わしてしまった後だ。』
『クズは面白いんですよ。自由で軽やかで、しつこくなくて。まれに絶妙な言葉をくれる』
【個人的な感想】
どの短編もサラッと読めるのにグサグサ刺さる言葉が多かった。
今年のベスト5に入る本に出会えた。
根拠がなくても人に『大丈夫、なんとかなる』って言ってほしい夜があるよな〜と思いながら読んだ。
他人に依存するんじゃなくて、1人でも生きていける強い女になりたい。
Posted by ブクログ
読み終えていいタイトルだなぁとしみじみ。指先が触れる距離、相手の匂いを感じる距離、全てを許せる距離。恋のいいところだけじゃない、寂しさと苛立ちも落胆もあって、喜びや安らぎも確かにある。登場人物の揺らぎに気持ちが乱されつつ、最後には整っていく感じと一木けいさんの文章が好きだと気づいた。
Posted by ブクログ
「谷底の蝶々」の音也。コールドブリューを家に飲みにって誘う男。いかにもダメ男なのに惹かれる気持ち。いい旦那が家にいるのにね。「卵とキウイ…」の柊介、婚姻後も親しい女性との付き合いを認めろって。でもないがしろにされる訳でもない、金銭面も心配無く子どもが産まれたらもう一つの手になる人って考えようによってはいいのかも。「星」の海恩、こんな身近に気の利く素敵な高校生が居たら好きになるわ。恋愛が遠くなり本を通してドキドキできるのは幸せだった。
Posted by ブクログ
“1ミリの後悔もない、はずがない”以来の
一木けいさんの作品。
追体験どころか、過去の忘れたい思い出まで重なって、寝る前に読むには少し感情の起伏が激しすぎた。
最後のお話、とっても好きだったな。
Posted by ブクログ
なんか、読んでいて「がんばれ、女性!」って思った。
恋愛って、相手との距離だけじゃなくて、自分自身との距離も難しいんだなぁと感じた。
短編だけど、ちょっとしたつながりもあって、「あぁ、あの時の!」と思えるのもよかった。
Posted by ブクログ
濃密な恋愛小説でした。
私の経験則では語れないことがこの小説に描かれていて、色んな恋愛の形があるんだなと思いました。
恋愛小説があまり得意でない方にはちょっと刺激が強いかもしれないですが、個人的にはこういう作品も好きだなと思いました。
紡がれている文章が素敵で書き留めながら読んでいました。
Posted by ブクログ
恋愛短編集なんどけどタイトルに引かれて読んだ。
海辺で読んだからか、明るくよめたが、家で1人でよんだらまた違う印象だったかもしれないが、余韻がよい。
若い2人の恋愛から大人の複雑な恋愛模様まで。私とは同じ境遇の人は誰1人いないのだけれど、読んでるとき恋愛におけるあれやこれや面倒で情けない感情がよみがえった。そしてたまに名言というかグサリとくる一文がある。
距離感が完璧な2人になるために世の中のみんな努力してるんだろうな。
あと、すごいなんか東京の空気感!て感じた。緊張感あったな。
Posted by ブクログ
絶妙。一木さんの作品は全てそう、綺麗さも厭な感じも全てがちょうど良いからグイグイ読んでしまう。世界観が絶妙。きっと誰かしらに感情移入できる連作?短編集
Posted by ブクログ
(盛大に引用あり。注意)
失敗し、成長し、ふと振り返った時のたらればの恋の行方たち。ついでに雑学多くて大歓喜。渋谷って谷だったんだ!な恋愛短編集。
どの短編も、大人になって、物事を俯瞰で見られるようになってから思い起こすと、甘酸っぱくほろ苦く感じられる思い出たちのような素敵な作品でした。
うろ覚えですが、
""太宰治の人間失格の一節に
"自分の幸福の観念と、世のすべての人たちの幸福の観念とが、まるで食い違っているような不安。"というものがあり、
自分の幸福の観念と、世の大多数の人の幸福の観念は、近いから相対だと感じるのだけど、この文章を口にしたということは、柊介さんはそうではないのかもしれない。""
この一節に痺れました。
幸せは相対で、不幸は絶対。と感じる主人公に対して
幸せも不幸も絶対。と感じる柊介さん。
そこを深く掘り下げられる洞察力が小説を味わい深くさせていると感じました。一木けい先生めちゃめちゃカッコイイです。
また、
"私は、共感する人が多くない作品こそ、世に出る意味があると思うんです。
共感されにくい日常を生きている人もいますよね。そういう人が、この作品のなかでは息ができる、この作品は私を理解してくれるって、ほっとするかもしれない。
当事者じゃなくても、共感はできないけど、こういう人がいること、自分の知らない苦しみがあることを心に留めておこうって思う人がいるかもしれない。"
ここはもしかして一木けい先生が大切にしている価値観なのかな、と思いました。
本当に誰にでも寄り添ってくれる、優しい作品を生み出してくださり、ありがとうございました。
文才が無いので、引用ばかりですが、一木けい先生も、もしかすると木繭チレン先生などのように小説を書いている間は息ができるタイプなのかもしれませんが、
私も、この作品を読んでいる間は楽に息が出来ました。
読み終えた今、気管が体をぶちやぶるぐらい広いです。
あなただけに許す距離 カッコよくてうなる小説でした。
Posted by ブクログ
「谷底の蝶々」
「卵とキウイ、あるいは跨線橋」
「恋と厚顔」
「パーソナルスペース-9.8cm」
「星」
5話収録。
まず、本のタイトルに心を掴まれる。
人間関係において“距離感”は欠かせない要素で、それが恋人同士であれば尚更だ。
恋が始まる前、恋の只中で芽生える不安や嫉妬、時間と共に変化する心の位置。
「恋と厚顔」で描かれる、執着する女性と距離を置こうとする男性の関係はリアル。
互いに愛があるからこそ、どこが“ちょうどいい距離”なのか測りかねる。
満たされない思いと絶望──恋愛に潜む細やかな感情が、繊細に描かれた恋愛短編集。
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女性を主人公にした、恋愛の始まりをテーマにした連作短編。必ずしもハッピーエンドではなく各編で展開は様々でしたが、女の人が誰かを好きになる瞬間が丁寧に描かれているように感じて好印象でした。男の人がこれを読むと、女の人たちの感性に一定納得しつつ、男の人として対処しようがない事実に絶望感を味わうのかもしれないな、と思いました。
星4つの評価です。
Posted by ブクログ
この世の片隅に潜む、切なく、歪な優しい愛や恋をかき集めたような短編集。
30歳になっても結婚を決めてくれない彼氏と一度自然消滅し、婚活アプリで出会った柊介に夢中になる綺梨。
しかし柊介には30歳年上の恋人がおり、柊介の中でその人以上の存在にはなれないことを悟る。柊介は、結婚後もその恋人に会い続けることを許してほしいと言うのだ。
その時はその変な結婚を受け入れることをできなかった主人公は、柊介と別れを告げ、元彼とよりを戻す。
そして、柊介と30歳年上の恋人のことをほろ苦く、懐かしく、切なく思い出し幸せを祈る。
懐かしさや嫉妬が混じる複雑な感情がうまく描かれていて、切なかった。
Posted by ブクログ
一木けいさんの書く恋愛小説が好きです。
なんでこんなに、わかるわかる!
と共感できる表現ができるんだろうと、焦がれるような気持ちでページをめくりました。
恋をしてる時のじりじりと切ない気持ちや焦燥感
相手のさりげない行動で、その人の日常に入りこめたと思うときめく気持ち
私は、パーソナルスペース と 星
の話が好きかな。
一木けいさんの小説では、脇役も素敵なことが多くて。星 に出てくる、主人公の主婦が出会う女子高生にキュンとした。ギャン泣きする赤ちゃんに、ヒヤッとしたとき、一緒に電車に乗ってた女子高生が泣きやましてくれるの。そんな優しい世界に触れたいし、作っていきたいなぁと思いました。ちょっと作品の感想としては逸れちゃうかもしれないけど、何が人の心に触れるかは各人によると、読書の楽しみを改めて実感しました。
Posted by ブクログ
色んな形の恋の物語。5つの短編集で、結婚間近であったり既婚だったり、10代や20代の初々しい恋ではなく、大人の恋がぎっしり詰まっている。
当たり前のことだけど、大人も恋をするんです。
どの恋愛も素敵だったけれど、私は1話目の律の愛し方がすごく共感持てたし、いいなと思えた。
2話目の柊介と小絲さんの関係も良かったな。
愛する人にちゃんと愛を伝えること。大人になればなるだけ難しくなるけれど、それはすごく大切なことだと気付かされる。まずは感謝から伝えていきたい。
Posted by ブクログ
大人な恋が中心の短編集。それぞれのお話にゆるやかなつながりもあり、楽しめました。
人によって好ましい距離感とか、許せないこととか、色々あるよねと。たぶんダメ男なのに魅力的で惹かれてしまうという気持ちもわかるなぁ。
最後の「星」が一番共感できて好きでした。
Posted by ブクログ
「淫雛な路地」にやられた。
言葉のチョイスが素敵な作家さん。
恋愛小説は卒業したので、
残念ながらストーリーにときめくことはなくなってしまった。そのかわり、文章自体を存分に
味わうことが出来た。
「自分の鳩尾に墨をどくどくと流し続けるような時間」
「あけびが太陽を吸収したような色の瞳」
「仄暗く静謐な横顔」
「紫色を帯びた手の中に、文庫本」
「真っ赤な尾翼を持つ飛行機が夕陽に溶け込むように飛んでいく」
美しい!こんな風に言葉を操れたなら。
一木けいさんの心も
繊細でいろんな色彩をもっているんだろうな。
語彙と知性と表現力と感性と。
絶妙なバランス。
言葉にとんでもなく色気を感じた。
「淫雛な」という形容詞をつけられた「通路」もびっくりよ。でも、言い得て妙なんだよなあ。
素晴らしい表現は
まだまだ沢山あって、
身悶えしながら読み進めた。
タイトルも秀逸。
連作短編になっていて、
それとなくでてきた登場人物が次の短編で主人公になってる。
その設定も好き。
え?さっきのワンシーンの人!って気づいた時の喜びよ。
「卵とキウイ、あるいは跨線橋」
どうよ?洒脱なタイトル!
大人の芳香を感じる一冊。
恋愛を過去においてきた私には、
言葉の色香を堪能できた読書体験。