【感想・ネタバレ】「言語技術」が日本のサッカーを変えるのレビュー

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Posted by ブクログ 2024年04月11日

昨日は、試合が久しぶりに休校日にあたったので、大分トリニータのホームゲームを観戦してきました。対戦相手は、コンサドーレ札幌。結果は0-1…。札幌の攻撃陣の質の高さが目立った試合でした。しかし、トリニータの選手にも、何人か光る選手がいました。中でも光っていたのは、背番号33番。オレンジのスパイクの選手...続きを読むです。
それは、幸野志有人選手。後半途中から出場した彼のプレイは、18歳(高校3年生!)とは、思えないほど落ち着いていて、守備を攻撃をつなぐために常に最適のポジションを選択し、決定的な見事なパスを供給し、時には自ら敵陣深く切り込んでいました。彼のプレイは、そのすべてが考えられており、危機意識の低さ、相手のプレッシャーにあわてる動き、ただがむしゃらな無駄な動きはありません。よく首を振って、周囲の状況を常に把握し、チームメイトに対して、まず自分にボールを寄越せと要求する。そして、周囲の選手にもポジションを指示するなど、その高度な動きとリーダーシップは、世界水準を感じさせるものでした。彼は、この本の著者が創設した「JFAアカデミー福島」の1期生です。◆海外の選手に比べ、日本の選手は、自分で考え自分で決断することが苦手だとよく言われます。逆に、なぜ外国の選手たちは、重要な場面で、ベンチの監督を見なくとも自分だちで判断することができるのか。それは「言語技術」の違いにあると、JFAアカデミーのスクール・マスターである著者は力説します。そして、身体運動としての側面と「精神論」ばかりを重視してしまい、思考力や判断力、また、コミュニケーション能力を養成することが、日本のスポーツ教育に欠けているためだと言うのです。◆このことは、サッカーだけでなく、日本人全般に言えることです。知識偏重の「学力」ばかりを追い求め、現実社会が求める力、必要な力を養成することに未だ目覚めない、そういう教育が大半を占める中にあって、この本の示唆するところは大きいはずです。(K)
紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉2008年4月号掲載

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Posted by ブクログ 2018年10月09日

「06ドイツW杯準決勝イタリアvsドイツでイタリアが1人退場になったとき,誰一人イタリアの選手はベンチを見なかった.」という報告から自己決定力の必要性を説いてた良書.JFAアカデミー福島での取り組みの紹介.意味あるプレーに自覚的に取り組むことが大事.ひとつひとつのプレーが失敗したか,成功したか自分で...続きを読む感じ,考え,判断させることが重要.意味あるプレーとは何か?サッカーに限った事じゃないけどね.

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Posted by ブクログ 2017年05月06日

「日本サッカーに足りないのは自己決定力であり、その基盤となる論理力と言語力である」という問題関心は、そのままビジネスの世界に通じるところがある。
特に、論理力を育てるために、理由や意図を尋ねるという訓練法は参考になる。

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Posted by ブクログ 2011年10月30日

猪瀬さん『言葉の力』で引用されていた一冊。
正直、自分の好きなサッカーネタで自己啓発的なネタがあると思っていませんでした。昔のサッカー部と言えば、どこか不良っぽくて、とにかく走れ!的な印象があったのですが、J leagueができて、ワールドカップにも出場し、さらには海外でプレーする多くの日本人がいる...続きを読む状況において、サッカーにおける教育は重要なポジションを占めることを改めて知りました。
とくにその中でも本書で示される言語教育の大切さ、エリートとしてのあるべき行動は社会人の我々にとっても大切なことと痛感しました。

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Posted by ブクログ 2011年07月04日

日本サッカー協会の権力闘争では、微妙に暗躍していると言われる田嶋幸三氏の著書。

本の構成としては、日本と海外のエリートと言われるサッカー選手の違い、そしてそのちがいこそが、言語の違いからくる自分への責任、リスクを負うことなどが、阿吽の呼吸で行う日本語よりも、論理明晰な言葉をもった文化の方が、常に状...続きを読む況が変化するサッカーの試合では、サッカーの質を変えるとしている。

福島のJFAアカデミーでの、言語技術訓練の様子も紹介している。詳細の内容は、他書を参考にされるといいと思う。

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Posted by ブクログ 2011年06月26日

サッカーだけでなく日本教育や会社の人材育成にも通ずる考えがつまっている。
すべての教育のバイブルにしたい。

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Posted by ブクログ 2011年01月17日

10年ほど前、田嶋氏とお話をする機会があったが、育成年代の現状を憂いておられたと思う。今は少し変わってきたと思うけど、氏が中心になって変えてきたんだと思う。
本書の内容は岡田武史氏も言っていた、教育が変わらなければ日本サッカーは世界で勝てるようにならない、という事の一つの回答かもしれない。

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Posted by ブクログ 2015年07月08日

教育実習で現代文の授業をしたとき、(自分の授業力不足は勿論あるが)特に理系の生徒がせっせと数学やら化学の問題を解いているのが印象的だった。現代文はなんだかホワッとしている(ように思われている)。事実、テストの時はともかくとして、学校の現代文の授業では「この文書を読んであなたは何を考えるか」のいうよう...続きを読むな正解のない問いかけが求められる。しかし、そのような答えの曖昧な問いはなかなな生徒に好まれない。彼らが求めるのは往々にして正解がただ一つだけしかない問いなのだ。

こんなことを思ったのは本書にこんな記述があったから。

◼️p10-11 では、15〜16歳の選手の場合、ゲームを止めると、次にどうすると思いますか?黙って私の目を見る子どもが実に多いのです。その表情は、私の言おうとしている答えを探し出そうとしているようにしか見えません。自分自身で答えを探すことよりも、私の解答を求める様子がありありと見えるのです。

サッカーと言語技術というとまるで関係ないもの同士にも見えるが、実はサッカーとは論理的スポーツ、選手が言語でもって「なぜ?」を掘り下げていくことで上達するのだというのが本書の主張。そこには唯一の正解はない。果たしてこのプレーは何のためにするのか、そういうプレーをした理由は何であるのか、そういった一つ一つの思考を積み重ねていくことで、ただ「なんとなく」「漫然と」プレーしてしまうことを防ぐのだ。

意味あることをするために考える。或いは考えた上で意味のある行動をすることを繰り返す。気合や根性といった古くからの体育会的思考方法ではもはや通用しないのが昨今のグローバル社会なのだとしたら、本書にあるような、言葉で以って思考し、論理的に考えた上で行動を繰り返すというような方法はどの分野であっても有効だろう。

本書はとても興味深く読めたのだが、最後の「日本の伝統云々」の部分は知識の浅さが見えたのでむしろ要らなかったのでは?

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Posted by ブクログ 2014年01月03日

会社でいつも上司に怒られている人がいる。

上司「何でこうしたんだ!!」
同僚「すみません…」
上司「すみませんじゃなくて何でだ?って聞いてるの!!」
同僚「…」

同僚はよっぽどやましいことあるか、根拠無く行動してるんだと思うし、話していて色んな説明聞いても何故そんな理屈になるのかわからない。

...続きを読む一流のサッカー選手は一つのパスにしても明確な理由があり、それを言葉に出して説明できるそうです。確かに一流のアスリートのインタビューは聞いていて本当にしっかりした受け応えだなぁと感じる。

今度この本をコッソリ同僚の机の中に入れておこうと思います。

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Posted by ブクログ 2013年04月01日

“言語技術”というタイトルに魅かれて選択。
サッカー本ですが、ビジネス・子育てなどのすべてのことに当てはまる内容です。
『ファーストタッチには“論理”が働いていないといけない』
自らを省みてもできていないことだらけ。。。。
足しか使えないスポーツなので論理とコミュニケーション、大切ですね。
最終章が...続きを読む論理+非論理ってのがまた良い。

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Posted by ブクログ 2012年12月17日

【思考方法】
サッカーにおける論理的思考の実践。
日本人の論理的思考力の弱さをここにも見る。

【サッカー】
子どものサッカークラブでもすぐに実践できることがいくつもある。また示唆もある。
指導者の育成が重要。
考えるサッカーとはプレーに理由があること。それをチームで共有すること。そのためには、他者...続きを読むの視点で考えることも必要

【リーダーシップ】
エリート教育についての正しい理解が必要。
ロジカルコミュニケーション
人間性

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Posted by ブクログ 2011年10月01日

言語技術とサッカー。そのつながらない、ふたつのものがどのように展開していくのか?

そんな好奇心がこの本を手にとった理由。



サッカーの学校で、絵を教材に勉強させているようだ。

絵の分析は、状況分析と論証力を育てるのに良いという。

その場の変化に合わせて、自分のとるべき行動を計画に即座に

...続きを読むイメージすることが一流選手に求められるという。



「君たちはエリートだ。選ばれた選手だ。電車に乗る時はまず、先に他の人に座ってもらう」

そんな指導も学校で行う。サッカーをとおして、人間教育がされるのだ。



論理的に考えないと、試合もうまく進まない。

あうんの呼吸を乗り越えるものをひとつもつことで、日本のサッカーも大きく

変わっていくのだろう。

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Posted by ブクログ 2011年09月30日

目の付け所が面白い。サッカーに関しては詳しくないが興味深かった。
サッカー界で一貫した選手育成が目指されていることが良く解る。監督のライセンスも知らなかった。


名言録⑥の「学ぶことをやめたら、教えることをやめなければならない。」という言葉に共感。

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Posted by ブクログ 2011年04月09日

[ 内容 ]
「そのプレーの意図は?」と訊かれたとき、監督の目を見て答えを探ろうとする日本人。
一方、世界の強国では子どもでさえ自分の考えを明確に説明し、クリエイティブなプレーをしている。
日本サッカーに足りないのは自己決定力であり、その基盤となる論理力と言語力なのだ。
本書は、公認指導者ライセンス...続きを読むやエリート養成機関・JFAアカデミー福島のカリキュラムで始まった「ディベート」「言語技術」といった画期的トレーニングの理論とメソッドを紹介する。

[ 目次 ]
1章 「言語技術」に挑戦するJFAアカデミー福島
2章 実践!ことばを鍛えるトレーニング
3章 論理でパスするドイツ・サッカー-なぜいま「言語技術」か(1)
4章 世界との差は、判断力-なぜいま「言語技術」か(2)
5章 監督のことばが、選手を伸ばす
6章 論理プラス非論理-日本流サッカーの夢へ

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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Posted by ブクログ 2011年04月05日

サッカーにおいて「言語技術」が大切であることを、日本サッカー協会が取り組んでいた内容をもとに説明する本。
著者の言う「言語技術」とは、「情報を取り出し、解釈し、自分の考えを組み立て、判断する力を養っていくことに他なりません」としている。
この「言語技術」は、プレーヤー自身が、状況を判断して、プレーを...続きを読む行わないといけない局面があるサッカーにおいて、必要不可欠なものである。
しかしながら、サッカーにおける高校等の若年層教育では、バカ蹴りに見られる通り、目先の勝利のために、考えることを捨てざる得ない風潮がある。

自分の実感として、サッカーの経験者であっても、「何故このプレーをしたのか?」「他の選択肢はなかったのか?」という問いにはっきりと答えられない人が多い気がする。
子どもに「言語教育」するのも大事だけど、それをサポートする大人の方もしっかりと伝えられなければと思う。

また、上記以外にも、著者が現場で見てきた内容として、以下の二つが面白かった。

1.クラマー氏の64年に開催された東京オリンピックの強化策について
 クラマー氏だけでは、日本代表チームのみの強化で、指導者を育成することができず、この世代以降の低迷に繋がったこと

2.Jリーグ開幕時に、日本人監督は外国人監督に言語で負けていたこと
 Jリーグが開幕した際、日本人監督は2割しかいなかった。その一因を、海外のスタープレーヤーに対して、日本人監督上手く指示することができなくて、いい関係を作れなかったのではということ。

あらすじ
「そのプレーの意図は?」と訊かれたとき、監督の目を見て答えを探ろうとする日本人。一方、世界の強国では子どもでさせ自分の考えを明確に説明し、クリエイティブなプレーをしている。
日本サッカーに足りないのは自己決定力であり、その基盤となる理論力と言語力なのだ。
本書は、公認指導者ライセンスやエリート養成機関・JFAアカデミー福島のカリキュラムで始まった「ディベート」「言語教育」といった画期的トレーニングの理論とメソッドを紹介する。

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Posted by ブクログ 2010年08月11日

短い言葉で相手に意思を伝達する方法は、サッカーだけでなく日常生活やビジネスでも重要であることを改めて認識させられます。

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Posted by ブクログ 2010年07月31日

著者は自己決定力、論理力、言語力が日本サッカーに足りないと主張している。しかし、本当ははサッカー以前に成長過程でそういったことが教育されていない事が問題。成人した日本人にしたって自己決定力、論理力、言語力を身につけた人間は日本ではかなりマイノリティだ。
はっきり言うと、ドイツ等の海外で行われている教...続きを読む育と日本の教育の差に愕然とした。道理で日本人は、帝王学やエリート学を身につけたごく一部の人しか海外で活躍できないわけだ。

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Posted by ブクログ 2015年07月13日

日本のサッカーに足りないのは自己決定力。
そしてその基礎となる論理力と言語力。

私の子どもはサッカー少年ではありませんが、「論理力」について書かれた様々な本を読みあさっているうちに、見つけた本です。
日本サッカー協会(JFA)専務理事の田嶋幸三氏筆。
筆者がヨーロッパに遠征したときに、受けた衝撃が...続きを読む印象的ですよ。
そこから、JFAアカデミー福島設立への話、そこでの言語技術への取り組み、「考えながらサッカーをする」選手を育てる方法について書かれています。
論理でパスするドイツサッカー選手の話など、そのあたりの記述も、とてもおもしろいです。

サッカー少年、野球少年のママさんたちに、ぜひとも読んでもらいたい一冊です。

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Posted by ブクログ 2023年06月05日

いまや日本サッカー協会の会長にまで上り詰めた
田嶋氏によるサッカー育成論。
トップにまで上り詰めてしまっただけあって、
何かと、ダーティーな印象を持ちがちですが、
田嶋氏も下積み時代には、日本のサッカーを強くするために、
色々な取り組みをしていたことが分かります。
当時としては、ドイツにまで行って
...続きを読む育成を学んだ人は珍しかったのでしょう。

言語化能力が低いという問題意識は、理解できるし、
その向上のために育成年代から
色々と施策を打ってきたこと自体は素晴らしいと思います。
が、それだけじゃないだろう、とも突っ込みたくなる。
少し古い本なので、まず最初に打つ手はここだ、
ってことかもしれませんが。

逆に興味深かったことは、
日本のサッカーの強みを見出すために、
日本の文化的な側面に着目し、
トレーニングの中に日本の文化理解の様子を
入れているところ。
確かにヨーロッパの強豪は、
時刻の文化に根差したサッカーのプレーモデルが存在し、
日本も他国の猿真似ではなく、
日本独自のプレーモデルを見出したいところではあります。
(って、サッカーど素人の自分が偉そうに言うてますが。)
この辺りは、日本は歴史が足りないとか言われたりもしますが、
そもそも文化に根差した自国独自の…と言っている時点で、
ヨーロッパの猿真似だったりするので、難しいところですね。

難しい問題なので、答えが見つかった訳ではないですが、
日本の過去のサッカー育成の経緯を知れたという意味では有意義でした。

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Posted by ブクログ 2015年08月15日

「学ぶことをやめたら、教えることもやめなければならない。」
「指導者は選手の未来に触れている」とともいい言葉だ。

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Posted by ブクログ 2014年03月04日

言語や話し方の観点から日本サッカーの向上について論じている。日本サッカーが強くなるためには子供のエリート教育が必要であり、しいては人としての成長が必須だと語っている。人としての身だしなみ、マナー、そして言語力。これらが充実することで真の日本のサッカーが生まれ、世界に通じる力を持つことができる。少年サ...続きを読むッカーの指導法についても多く触れていて、指導者向けの本でもある

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Posted by ブクログ 2013年03月01日

何が書かれているのだろうという好奇心から、田嶋幸三著『「言語技術」が日本のサッカーを変える』(集英社新書)を読みました。著者はかつての日本代表プレーヤーで、現在はJFA(日本サッカー協会)専務理事、JFAアカデミー福島(中高一環のサッカー選手養成学校)スクールマスターです。

サッカーでは正確な判断...続きを読むから正しい動きが生まれる、判断ができないとサッカーはうまくならない、日本人は判断が苦手である、判断力の基礎は言語と論理である、ゆえに日本サッカーを強化するには言語と論理の教育から始めなくてはならない……というのが著者の切実な問題意識であり、本書のテーマです。

本書で「言語技術」という言葉には、自分で考えてプレーする能力、プレー中に自分の考えを味方に伝える能力、指導者が選手指導やチーム統率のために的確なコミュニケーションを取る能力といった幅広い意味が含まれています。なぜ今のプレーを選択したのかを説明できること。そこにパスを出すことを味方に瞬間的に伝えられること。この方法がいちばんいいのだと根拠をもって選手たちを納得させること。ピッチ上でもピッチ外でも、瞬時にも長期的にも、言語技術はなくてはならない、というのが著者の考えです。

言語技術強化の取り組みの現状として、本書では、著者が創設したJFAアカデミー福島で行なわれているロジカルコミュニケーションの授業内容や、JAFがS級ライセンス(5段階あるJFA公認指導者資格の最高位で、プロチームおよびプロ選手を指導できる)の講習で行なわれているディベートのカリキュラムなどが、相当な紙幅を割いて紹介されています。

これを読んでなるほどと思っても、そこから自分のチームを強化していこうとする指導者は少ないでしょう。そんな国語の授業のようなことをやっている暇があったら、明日の試合のためにドリブルやシュートの練習をさせようと思うのが人情です。その意味で、著者の長期的視野に立った努力には頭が下がります。周囲の無理解に屈することなく、サッカー技術と人間性を養う理想の学校を創立することから始めたのですから。

JFAは、2050年までに、①サッカーを愛する仲間=サッカーファミリーが1000万人になる、②FIFAワールドカップを日本で主催し日本代表チームが優勝する、ことを約束として掲げています。この目標が実現するとき、日本サッカーの言語技術、ひいては日本のスポーツ文化が、どのような成熟を見せているのか楽しみです。

最後に、自分のテニスの参考にしたいと思った気づきをひとつ紹介します。

90年代に川渕三郎をはじめとする強化委員会は、最初に、つねにボールとゴールを見ることのできる良い身体の向きをつくること、正確に判断ができる視野を確保することの指導に取り組んだそうです。

欧米の選手たちを観察していると、ボールをもらう前に、事前に良い視野を確保しています。ボールが来たとしても、すでに自分がどのような状況にいるのか、という情報を収集し終わっていて、次の動作に入る準備ができています。だから、ボールが来たときにはどこへ蹴るのか、止めるか、クリアーするのか、も決まっているわけです。すなわち、ファーストタッチには、「論理」が働いていなければならない。(160ページ)

テニスはサッカーほど複雑な競技ではありませんが、それにしても私はあまりにも考えなさすぎなので(飛んで来た方向にただ打ち返している)、もう少し考えながらプレーしようと思いました。それには、相手の球を見てからどこに打ち返すかを考えるのではなく(時間が足りないのでとりあえず来た方向に打ち返している)、自分が打ち終わったら、相手の返球を予想して、それを次にどこへ打ち返すかを考えながら相手の球を待つ、ということでしょう。え、そんなこと誰でもやっている? 失礼しました。

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Posted by ブクログ 2012年12月02日

サッカーは論理的なスポーツと言われる。論理的とはどういうことか。理屈があるということだ。パス一つにしてもそこにパスを出す理屈があり、考えがある。
欧米では幼いうちから論理的に考え、発言する力を養う。自分の考えと自分なりの理屈を言うことを子供に求める。だからこそ、日本のサッカーを強くするためには、言語...続きを読む技術を磨かなければならないと著者は主張する。
短期的にチームを強くするなら、もっと他のやり方もあっただろう。しかし、強い根を張れば大樹が育つ。水面下の氷山が大きいほど、水面上に現れる氷山の一角も大きい。日本サッカーを真摯に考えたとき、水面下の論理思考から養っていくのは本質論だ。その本質論に真正面から取り組んでいるのが素晴らしい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年10月07日

猪瀬直樹著『言葉の力』を読んで「言語技術」の存在を知り、三森ゆりか著『外国語を身につけるための日本語レッスン』で言語技術の具体的な技術を知り、その後に読みたくなったのがこの本だった。

本書では、「言語技術」を使ったサッカーのエリート教育の現場での具体的な事例が書かれている。その効果は、現在の男子サ...続きを読むッカー日本代表やなでしこジャパンに現れつつあるように思う。


なぜ、言語技術で、サッカーが強くなるのか?
まず、数年前まで言われていた「決定力不足」の原因は何か?の問いから始めてみるといい。サッカーには、こうすればいいというような答えのないスポーツである。だから、ストライカーは、ゴール前で勇気がないとシュートが打てない。たくさんの選択支があるなかで、シュートを選択する勇気。自分の考えた方法が絶対にいいのだと言い切る勇気。それは、自分の考えを表現することに他ならないが、日本人にはその勇気がない。自分のいいと思った考えを表現しない。それは、サッカーだけではなく、日本中で見ることができる。

本書では、以下のように書く。「授業で質問を投げかけたとき、日本の子どもたちは、しーんと静まりかえる。(略)子どもたちは、なかなか「自分の考えを表現する」というリスクを冒そうとしません。」であると。

では、自分の考えを表現するには、何が必要なのかというと、「言語技術」なのである。答えがない中で、自分の考えた方法が良いということを、論理的に組み立てて、根拠をもって他人になっとくさせる技術だ。


本書では、ヨーロッパの国はなぜサッカーが強いのか?も明確に説明している。

「ヨーロッパサッカーでよく言われることばに「最初の3分と、残り3分を気をつけろ」というのがありますが、私自身も、その意味が最初はピンと来なかった。しかし、「ドーハの悲劇」を味わってからは、そのことばが生生しく迫ってきました。ヨーロッパのチームは、150年の歴史の中で、すばらしいことばをたくさん作ってきた。サッカーが強いのも、なるほどとうなずけます。」

ヨーロッパサッカーには、言葉の蓄積がある。だから、強いのであるという。先人の経験してきたことを、ことばとして残してきて、その言葉を扱う言語技術を幼いころから教えられ、残された言葉を、生かしているのだ。

そこで、日本でも言語技術を取り入れて、、、、。その詳細が本書に書かれている。結果は、現在の強い日本代表や、なでしこや海外で活躍する日本人選手、、、ではないだろうかと思った。

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Posted by ブクログ 2012年02月16日

「そのプレーの意図は?」と訊かれたとき、監督の目を見て答えを探ろうとする日本人。一方、世界の強国では子どもでさえ自分の考えを明確に説明し、クリエイティブなプレーをしている。日本サッカーに足りないのは自己決定力であり、その基盤となる論理力と言語力なのだ。


本書は公認指導者ライセンスやエリート養成機...続きを読む関・JFAアカデミー福島のカリキュラムで始まった「ディベート」「言語技術」といった画期的トレーニングの理論とメソッドを紹介しています。話しては田嶋幸三氏。現在は日本サッカー協会専務理事を務め、かつては元代表FW、その後ドイツに留学し、コーチライセンスを取得した人です。


本書では田嶋氏がドイツで経験したことを中心に書かれています。そしてドイツのサッカー少年と同年代の日本のサッカー少年の違いは何かということに彼は気づきます。その一つが日本人は自分の考えを言葉にする力がないということです。例えば練習中にプレーを止めて、監督が何故このプレーをしたのか?と選手に聞いても、選手は答えることができない。または監督の目をうかがい、答えを得ようとします。しかしドイツの少年であれば「あいつは足が速いからパスを出した」というし「ドリブルする為にパスを出さなかった」と言います。この差がかなり大きいらしいです。


他には自らの判断でプレーを決断する自己決定力や代表選手としての誇りなど色々日本は海外から引き離されていると改めて思いました。


またクラマーを始め、日本サッカーは多くの外国人に影響を受けてきました。その歴史があってこそ、今があると感じました。この本では様々な外国人監督への解釈も添えてあり、良かったです。特にトルシエは型にはめる、ジーコは個性を認めるというマスコミの報道に対する田嶋氏のプロとしての意見には納得できます。我々外の人間ももっと賢くならないといけないと思いました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年01月16日

2012.01.16
日本のサッカーが上達するうえで、「言語技術」を重視する理由?
*苦境でもベンチを見ないヨーロッパのサッカーとの違い
*自分で状況を解釈し、仲間とコミュニケートし、次の行動を決定する力。
*「言語技術」=ロジカルコミュニケーション。
*状況把握→分析→論理的に組み立て→話す
*以...続きを読む心伝心(非ロジカルコミュニケーション)+「言語技術」

その他興味をひいたところ?
*トルシェは、良い視野を確保するために、もっと身体をこちらに向けろと指導した。小野伸二や中村俊輔といった優秀な選手たちに、良い視野を確保することを要求し、それを徹底させた。(略)・・・若い10代のうちにそうした能力を育てることができたからこそ、彼らは海外へ行けた。(P181)

個人スポーツの場合はどうなんだろう?

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Posted by ブクログ 2011年05月18日

サッカーにおいて、やみくもにプレーするのでなく、何故そうしたのかを考え、そしてそれを言語という形にして伝えることが大切という主張を展開している。このような訓練が実を結べば、自分のプレーが整理できるだけでなく、プレーヤー同士の意思疎通がとれるようになり、監督の指示も理解できるようになるだろう。

著者...続きを読むの主張は、JFAアカデミーで実践されており、それについても多くページを割いている。ここから将来の日本を背負うプレーヤーが育つことを願う。

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Posted by ブクログ 2010年10月01日

確かに、きちんとしゃべれて、きちんとした身のこなしのできる選手が最後には、伸びるのだと信じたい。
JFAアカデミーで行われていることの紹介。

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Posted by ブクログ 2010年06月30日

噂に聞くドイツの「なぜなら…」癖は幼少期からの教育の証なんですね。
要は「自分の行いを説明できる人間になれ」ってこと。
スポーツマンに限らず、政治家にも自分にも言えることだ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年04月16日

「サッカー」というよりは「言語技術」と言う部分が気になり手にした本。特に「再話」の授業の部分など、興味深かった。
「サッカー」にかかわる人にはぜひ読んでほしいと思った。そして、このような教育を受けた子供たちがどんな風なサッカープレーヤーになっていくのか・・・?!およそスポーツには興味のない人間だが、...続きを読むそこのところだけ今後も注目していきたいと思う。

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