【感想・ネタバレ】野性の呼び声のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

英語学習者向けとして読んだ物語の日本語訳版に触れてみた。この訳者の用いる日本語が最適なのか,原文の力強さがそのまま反映されているのかはよくわからないが,細かなシーンにぴったりの言葉の並びに感銘を受けた。野性味溢れた荒々しさとともに共存する美しさが純粋に表現されているのに加え,主人公の犬が擬人化されすぎていない。人間のような感性を動物に当てはめるのではなく,動物が持つ本能的な「悟り」が描かれており,主人公が動物のわりには,ただの動物好きが書いたり読んだりする小説ではないところが素晴らしいと思う。

【ここからネタバレ注意】
それに加えて,この物語は人間に対する危惧の意味も含まれていると感じる。動物をモノ扱いし金儲けに使う人々,人間の純粋な力では勝てない動物に対して文明が生み出した道具で制圧を加える人々… 物語の後半に登場する,愛犬に対する愛情に満ちた飼い主は,バックの以前の飼い主たちと相反していることによって,人間の愚かさを強調する役割を担っている。
また,著者の経歴をたどってみると,彼の経験が少なからずこの物語に含まれているのだろうと読み取ることができる。自らの心に疼いた好奇心や野心とともに旅に出たが,帰宅すると大切なものを失っていた,というのは深く心に刺さるし考えさせられる。

ひとつ,欲を言うならば,訳者のあとがきにあった「差別的な表現に対する配慮」について。私個人は,原文に人種差別や男性中心思想を含んでいたとしても,そのままに表現して欲しかったと思う。この物語が描かれた時代を克明に示す証拠になりうるだろうから。ますます原文を読んでみたくなった。

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2019年05月14日

Posted by ブクログ

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予備知識なく読む。シェパードとセントバーナードの血を持つバックという犬目線の物語。金持ちの飼い犬からカナダ・アラスカの国境地帯の大雪原を走るソリ犬となる。主が変わる度に人間を知り、野生を思い出していくバック。野生覚醒の瞬間であるムースの狩り。ただひたすら追い、恐れさせ、諦めさせ、決定的な時が来るのを息を殺して待つ。どんどん待てなくなっている自分の生活に、執着し追い求めそのときが来るのを待つことの大切さを教えてもらった。まずは野生の呼び声を求め外に出なければね。

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2024年03月28日

Posted by ブクログ

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めちゃかっこよかった。判事の家で貴族的な番犬として生きていたバックが不忠な商人に売り飛ばされてアラスカで犬橇を引くことに。環境に見事に適応しながら本来持っていたともいえる野生の力を目覚めさせる。出会いと別れを繰り返して最後に行き着いたところも納得。非常に完成度高く読みやすく、楽しい読書ができた!

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2023年09月20日

Posted by ブクログ

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ジャック・ロンドンによる北方ものと言われる作品。初めてロンドンの作品を読んだ。カルフォルニア・サンフランシスコからカナダ・アラスカの地へ売られてしまう、セントバーナードなどの雑種であるバックの視点から北方のゴールドラッシュに沸く、人間、犬、狼の暮らしが描かれる。その生活は現代の我々からすると、極めて過酷で暴力的であり、死が隣り合わせの生活である。犬に対する暴力、犬同士の殺し合い、人間の横暴による犬の死。野生による脅迫など、とても生きていけるとは思えない生活である。仮に厳しい自然を乗り越えたとしてもインディアンの襲撃によって命を落とすことがあるという世界。そんな中でバックは野生からの呼び声に応え賢く成長し、狼たちの群れを率いるに至る。
あくまで個人的な体験だが、犬ぞりの描写は映画南極物語を思い出させ、犬の戦いは漫画流れ星銀牙を思い出させた。

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2021年10月04日

Posted by ブクログ

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【本の内容】
ゴールドラッシュに沸くカナダ・アラスカ国境地帯。

ここでは犬橇が開拓者の唯一の通信手段だった。

大型犬バックは、数奇な運命のもと、この地で橇犬となる。

大雪原を駆け抜け、力が支配する世界で闘い、生きのびていくうちに、やがてその血に眠っていたものが目覚めはじめるのだった。

[ 目次 ]


[ POP ]
ゴールドラッシュ時代のアメリカで活躍するそり犬バックに焦点をあてた物語です。

『もののけ姫』に出てきたあの白くて大きい犬を思い浮かべていただくとわかりやすいかもしれません。

原書は1903年に出版されました。

主犬公(?)バックの目から見た人間の愚かさや優しさ、当時の社会がうかがえる歴史小説としても読めます。

1905年に発表された『吾輩は猫である』と比較しながら読むのも面白いかもしれません。

[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2015年01月18日

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