あらすじ
20世紀イタリアを代表する作家、チェーザレ・パヴェーゼの代表作の一つ。都会の洋裁店でお針子として働く16歳の少女ジーニアは、年上の美しく自由な女性アメーリアと出会い、その大人びた魅力に惹かれていく。絵のモデルとなり、男性の前で裸になることもいとわないアメーリアのことが気になるジーニアは、彼女の男友達の画家に恋をし……。少女から少しずつ大人になっていく青春の輝きと痛みを瑞々しく描いた作品。
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Posted by ブクログ
「あのころはいつもお祭りだった。家を出て通りを横切れば、もう夢中になれたし、何もかも美しくて、とくに夜にはそうだったから、死ぬほど疲れて帰ってきてもまだなにか起こらないかしら、火事にでもならないかしら、家に赤ん坊でも生まれないかしらと願っていた、あるいはいっそのこといきなり夜が明けて人びとがみな通りに出てくればよいのに、そしてそのまま歩きに歩きつづけて牧場まで、丘の向こうにまで、行ければよいのに。」
まだ見えてもいない未来に、希望と輝きしか見えていない“あのころ”を描いた、冒頭の描写が、とても良い。時代としても、第二次大戦前で、ファシズムの影が出てきていない。貧しいとはいえ、生命が脅かされるような不安は将来に全くなく、若者は、恋に仕事に夢中になれていた。
都会の洋裁店でお針子として働く16歳の少女ジーニアは、年上の美しく自由な女性アメーリアと出会い、その大人びた魅力に惹かれていく。絵のモデルとなり、男性の前で裸になることもいとわないアメーリアのことが気になるジーニアは、彼女の男友達の画家に恋をする。
大人びた女性との出会いによって、新しい世界が開け、自分がどう見られているか、どう見られたいかに気づく。そうして、少女は少しずつ大人になっていく。しかし大人になることは、わくわくした喜びと期待だけではなく、大人の世界の残酷さを知ることでもある。少女たちが体験したであろう夏のひとときを描いた一篇。国境を越えて共感が広がりそうだ。
以前『丘の上の悪魔』『孤独な女たちと』とまとめて三部作扱いだったもののうちの一つを新たに新訳。ラウラ・ルケッティ監督により映画化。