あらすじ
『凍』を書くきっかけとなった一冊、モハメッド・アリの劇的な人生の行方、『深夜特急』に繋がる映画「ミッドナイト・エクスプレス」との出会い、取材のために働いた書店での日々、新鮮な気持ちで歩いた大阪での濃い三日間……。本を読み、スポーツを観戦し、映画を楽しみ、そして旅をしてきた。心を動かすものはずっと変わらない。本に誘われ旅に出た30年間の軌跡を辿る豊潤なエッセイ集。
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Posted by ブクログ
沢木耕太郎『夢ノ町本通り 文庫版』新潮文庫。
沢木耕太郎の30年間の軌跡を凝縮したエッセイ集で、本に関する様々なことや映画についても触れている。文庫化にあたり、再編し2割ほど内容をカットしたようだ。
読んだことのある本も何冊か描かれていて、嬉しくなる。
表題作の『夢ノ町本通り』というエッセイから始まる。確かに仕事場や家の周りに新刊書店や古本屋、食べ物屋が揃った町は理想である。自分の今住んでいる所は田舎のポツンと一軒家で、周りに本屋はおろか店や自販機など無い。それでも静かな環境があってこそ、ゆっくり本を読めるのだ。
沢木耕太郎が読書家だということは認識していたが、仕事に関連する本だけでなく、多種多様様々なジャンルの本を読んでいることに驚かされる。
さらに沢木は情け容赦なく、かなり厳しい目で本を読んでいるようだ。原尞の『それまでの明日』を読み始めると、主人公の探偵である沢崎が馴染みの警部と強盗が入った部屋の金庫を検分するシーンで違和感を感じ、今度は別の刑事が沢崎を重要参考人の男の部屋に入れるシーンで読むのを止めてしまうのだ。警察が例え探偵であろうと民間人を事件現場に入れる訳は無いということなのだ。自分なんかは久し振りの原尞の新作ということで違和感も感じず、最後まで読んでしまった。
沢木が『凍』を書く切っ掛けとなったジョー・シンプソンのノンフィクション『死のクレパス』はいつか読んでみたいものだ。
また、沢木は本ばかりでなく映画についても書いている。キアヌ・リーブス主演の映画『ハートブルー』『スピード』についても触れているが、『ハートブルー』は波乗りもテーマの1つとしているアクション映画で、バスを使ったカー・アクションが売りの『スピード』の方が有名かも知れない。
本体価格670円
★★★★