あらすじ
患者名:日本国 病状:極めて深刻……現役医師が、冷徹な眼差しで医療を、社会を、この国を診断。見えてきたのは、国全体を覆う、プロを軽視して素人を持て囃す病だった。「情報が患者の不安を生産する」「敗戦処理はエースの仕事」「民主主義がヒトラーやルーピーを生む」「人は思考停止を欲する」――ロジカルでシニカル、ときにアクロバティックな議論から日本の本当の病状を炙り出す、毒と逆説と笑いに満ちた社会論。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
「プロフェッショナルは歯切れが悪い」これはけっこう大切なことだと思う。世の中の問題となる事象はそもそも白黒がはっきりと付けられるものではない。それを知っているからこそ、プロフェッショナルは口ごもるし、言いよどむのだ。一方で素人はシンプルな回答を求める。プロなんだからわかるだろうと。その素人の声が大きくなりすぎると、問題が「粗雑な方法で」解決を迫られる。その事の危険を我々はもっと知るべきである。という論理には納得する。その一方でプロフェッショナルに任せすぎることの危険も確かにある。プロフェッショナルの知恵や技術はもちろん必要だが、大衆の意見は常に間違っていると決めつけるのもまた同様に危険だと思う。