【感想・ネタバレ】乙女峠 : 津和野の殉教者物語のレビュー

あらすじ

※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。

1865年2月17日に献堂された大浦天主堂は、フランス寺と呼ばれた。3月17日、浦上の隠れキリシタン10数名が信仰を告白しにやって来る。「サンタ・マリヤのご像はどこ?」
その後、「浦上四番崩れ」の大迫害が始まり、キリシタンは“津和野”へ流される。彼らは「サンタ・マリヤ様」に祈りながら、役人たちの執拗な責め苦にも屈することなく、一人また一人と絶命していく。
幕末から明治期に、浦上のキリシタンたちを襲った「浦上四番崩れ」の実相――大浦天主堂での信徒発見から津和野への追放、棄教を迫る拷問、殉教、そして信仰の自由を勝ち取った後、浦上へ帰還するまでの歴史が鮮明に描かれる。
キリシタンを題材にした永井博士の珍しい作品である。著者は1951年4月22日に脱稿し、5月1日に帰天したため、上梓を見ることは叶わなかった。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

永井隆が描く、長崎の信徒発見から浦上四番崩れに至る物語。弱い者ほど、神の助けを祈りながら神に強められて殉教していく姿が印象的だった。守山甚三郎の弟祐次郎の殉教時の遺言通りに、姉マツは子どもを保護する施設を作り、甚三郎は長男を司祭に育てた。その司祭と永井隆が繋がってるあたりも、それが史実としてあったんだという感じがして感慨深い。乙女峠の殉教者の話は他でも読んだけれど、この本と重なるエピソードばかりだったので、本当にそんなことがあったんだなと思う。浦上という小さな農村の迫害が、日本の不平等条約の改正の妨げになるほど欧米で非難轟々だったというのは、なんだか嬉しいというか、人権の重みや信仰の自由の重さを当時の日本政府に知らしめた感じがしてよい。

0
2025年05月03日

「学術・語学」ランキング