【感想・ネタバレ】シリーズ日本近世史 3 天下泰平の時代のレビュー

あらすじ

戦乱止み,文化の花開く泰平の世へ.家綱・綱吉から吉宗を経て家治まで,17世紀半ばからの百年余をみる.安定には安定のための仕組みがある.武威重視の価値観を転換する,どのような政策が打ち出されたのか.新田開発や流通網の整備,歌舞伎・相撲などの娯楽の広がり,朝鮮や琉球との往来など,躍動する時代を存分に描く.[全5巻]

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Posted by ブクログ

ネタバレ

江戸時代「近世」の泰平の世を説いた高埜利彦先生『天下泰平の時代』は、17世紀半ばの徳川家綱の時代から18世紀半ばの家治に至る約130年を、鮮やかに紡ぎ出す
17世紀の初め、戦国乱世の記憶が人々にまだ生々しい記憶として残る中、「天下泰平」の基盤がどのように築かれ、文化が花開いたのか、政策の変遷や社会のダイナミズムを通じて解き明かしてくれる本書の魅力は、何と言っても網羅的に社会の出来事を、その構造の明快さと、具体的なエピソードだと言える
冒頭で家綱・綱吉の治世から始まり、吉宗の享保の改革を経て家治の時代までを追う流れは、まるで川の流れのように武家社会の価値観が「武威」から「学問・文化」へシフトしていく過程(政策の羅列ではない)、身分の流動化や経済の発展と絡めて、人々の生活の営みの根底の意識の変化を、綱吉の生類憐みの令の「動物愛護」政策だけではなく、泰平の世を維持するための人の心の「安定装置」として再解釈されている
また、都市部の商業発展や出版文化の隆盛が、どのように庶民の生活を豊かにしたかを、具体的な事例を交えながら記述をし、江戸の町人文化、歴史が「過去の出来事」ではなく、「今を生きるためのヒント」として蘇る
安定した社会を維持するための「仕組み」――参勤交代の洗練や、身分制度の柔軟化――は、今日のグローバル化された社会で求められる「持続可能性」の教訓とも関係づけられる

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2025年10月12日

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