あらすじ
自分の人生の王様として生きたら、時間はたっぷりある。
今日の分だけやるべきことがわかっていればそれでいい。
作家生活40年。
吉本ばなな珠玉の4編。
風邪を引いた叔父さんの代わりに軽井沢の別荘を整理しに行った塾講師の円。
そこで円は、叔母が生前残したメッセージを見つける。「束の間」
同じ女性と付き合っていた祐樹とエム。
彼女が去った後、二人は奇妙な順序で急速に接近しーー。「人にやさしく」
他2編
人生の岐路に訪れる小さな怪異と奇跡を描く。
切なくそして幸せな中編集。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ものすごく大きな感動があるということではないけれど、読み終えて、心の真ん中がほっこり温まるような、寄り添ってもらっているようなそんな気持ちになりました。 どのお話しにも、何かしらの別れがあって、そのつらさの中なのに、なぜか温かい。 奇跡のように、自分の気持ちを分かってくれる誰かがいて、ちょっとずつ気持ちがほぐれていく感じがとても羨ましくなりました。でも、幽霊は見たくないし、大切な人と別れるのも嫌なので、羨ましくはないのかもしれないです。 それでも日々ある、ちょっとしたしがらみとか、不調に気持ちを持っていかれることなく、 この話に出てくる女性たちのように、強く自由に生きていきたいなぁと思いました。 とても個人的なことですが、よしもとばななさんの「キッチン」が本当に大好きです。 この本を読みはじめてすぐ、ものすごく直感的に、「現代版キッチン!」と思いました。
Posted by ブクログ
「ふつうのことがいちばんすばらしいことなんだ。人生はそれだけでいい。」
この一文に出会って、自分がいかに日々欲張って生きているかが露わになり、少し恥ずかしい気持ちになった。
ばななさんの物語は、いつも生きている世界とそうじゃない世界の境界線を、少しだけ曖昧にしてくれる気がする。私たちはつい、生きている世界を前提にものごとを捉えてしまうけれど、そうじゃない、不思議な角度からふっと世界を描いてくれる。
今回もそうだった。ありそうで、なさそうな。そんな物語ばかり。
軽井沢の別荘整理から始まる「束の間」。亡くなった女の子が見えてしまう「世界には時間がたっぷりある」。ほか2編、あわせて4つの物語。
一編一編がふわふわしていて、続くこととおわることの境目がわからないような、そんな物語たちだった。
あとがきには、生まれて初めて何にも終われずに書いた小説だということ、そして「このような変わった小説」を出版してくれた幻冬舎さんへの感謝の言葉が綴られていた。
ばななさん自身がそう書かれているくらい、少し変わった、不思議な物語なのだけれど。そんな作品を読むことができて、良かったなと思った。
忙しない毎日の中で、なんだか肩の荷が下りるような、そんな作品だった。