【感想・ネタバレ】これから世界はどうなるか ――米国衰退と日本のレビュー

あらすじ

戦後の世界には、常に米国が最強という「柱」があった。軍事的に経済的に、文化的にも他国を圧倒した米国が戦後世界を取り仕切った。旧ソ連との冷戦に勝利し、日本の経済的挑戦をも退けたことで、盤石と思われたその地位が、しかし今、揺らいでいる。米国の影響力が減退する中、世界は新たな秩序を模索し始めた。いっぽう日本は、ますます米国依存を深めているようにも見える…。外交と国防の大家が激動の国際政治をリアルな目で俯瞰。新時代の針路を読み解く。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 皆さん都市伝説ってどう思います? 私なんかは、下らないとか言いつつ、ついつい引き込まれてしまいます。

 さて、実は私は陰謀論とか結構好きです。なんか都市伝説と似ていませんか。今のご時世ならば(不謹慎ながら)コロナはどこぞの国が作った人工ウイルスとか、あるいは製薬業界の仕業とか、いやいや常識的にはないでしょと言いつつ、心の底でまったくないとは言い切れんかも、とか思いつつ。

 実は本作の著者の孫崎氏もこれまでは私の中では陰謀論者のカテゴリーに所属しておりました。それは以前「戦後史の正体」という本を読んだからでした。

 さて、陰謀論だという印象はでも、そもそもどこから来るかと言えば、語られることがいわゆる常識的な話(学校教育やマスコミでの情報)から大分離れている場合に受けると思います。
 でも実際に陰謀論かジャーナリズムかを判断するとすればその分水嶺は、依拠する出典が相応にあるかどうかによると感じています(勿論、どこまで証拠を出せば十分かといえば、永遠にグレーにはなりえます)。

 そうした典拠の点では本作、陰謀論でもなんでもなく、骨太な国際政治論であったと思います。

 ただ内容は過激です。米国が挑んだイラク戦争は嘘だった。米国では当事者が誤りを認めている、米国内では米国衰退論が起こっている、イスラエルと中東との関係、欧州連合のスタンス、テロと外交のバランス等々。

 日本では殆ど報道されませんが、米国にも自国の政策を自省するむきももあるのですね。リベラルが居てネオコンも居て、結局まだら色の体をないしている。だから、そうしたものを渉猟してその国のカラーを学ぶべきなのでしょうね。

 少なくとも日本のマスコミはそうしたものを分け隔てなく報道・紹介しているようには感じず、その点読後に残念に感じました。

・・・

 まとめると、なかなか面白かったです。
 著者の孫崎氏が防衛大学で教授を歴任しているところを見ると、氏の意見や知見は、防衛庁が理解している米国や外国とは本作のものと同じ方向にあるのであろうと想像できます。
 また、米国のリベラル、ネオコン、どちらのオピニオンリーダーも出典や概要が併せて記載があるので後から追いかけて読むことが出来そうです。参考になります。

 日本の将来が末恐ろしいと感じるかた、政治を何とかしたいと思う方、日本の米国との関係やアジアとの関係はこのままではいけないと感じる方等々、政治や国際関係に興味のある方にはお勧めできる本でした。

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2021年06月06日

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