あらすじ
第175回芥川賞候補作
「私がこれまで何も選ばずにいようとしていたのは、選んだその瞬間に過去を罰せられる気がして怖かったからだ」
奔放に生きてきた私の身体に突然つきつけられた衝撃。採取された血を取り戻しに、ビジュー付きのサンダルで病院へと向かう私の中に、過去のさまざまな行いがよみがえる。
圧倒的な「罪と罰」の物語。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
自分の過去への許せなさかから来る罪悪感。
今もなお続く潜在意識的にある其れ。
その罪深さから自ら抉り出して全てを曝け出しているよう。
悪い血を採られ取り返そうと動く時間の中で、夜の街を彷徨い惑い揺蕩い、心情の揺らぎが何かや誰かを思い出す。現実ではとても短い時間なのだと思う。
誰かへの罪は誰かから受ける罪で滅ぼされるのか、それとも贖罪として十字架を背負うのか。
Posted by ブクログ
過去の自分のよからぬ行い、罪から、何か罰せられるような気になる…話し。罪と罰と赦し?
ビジュー付きの、9cmのピンヒールで歩き回り、ストラップが食い込んで脚が痛む…だなんて、もはや十分に罰だと思うが…
ラストー
Posted by ブクログ
著者らしい作品といえばらしい作品である。女性にとって“血”は男性にはない経血がある。生理に関する血は妊娠につながり、そして血統という所謂血のつながりとなる。主人公の女性は血液だけでなく広義の血についても自分のものは悪いと考えているようだ。妊娠時の血液検査で採取された血液を取り戻そうと行動する。こう考えると、タイトルの「悪い血」とはなんとシンプルでストレートなタイトルなのだろうと驚く。作品を面白く感じるかどうかは読む人によるだろうが、読みやすい文章の中に深いつながりが隠れていそうだ。
Posted by ブクログ
思いがけず妊娠したものの、過去の自分の悪行が脳裏をよぎり、産科でおこなわれた採血の結果に不穏なものを予感する女性の話。
妊娠中の変化や感情の機微が描かれるものだと思い込んでいたが、病院までの夜道を彷徨いながらの回顧がメインだったのが意外。
お父さんとの会話のシーンと、かつての悪友が連れ戻しに来てくれたシーンは好きだし、読後感は良かった。
ただ、この主人公が世界を否定するのだけは違うと思う。身籠ったタイミングで、ほんとはきっとそのようにしか生きさせてくれなかった社会が悪いって言いたくなったのかもしれなくて、それを言わないだけの知性は感じた。
別に罪も罰もないと思う。ただの愚かな過去があるだけで。