あらすじ
高校一年、夏。ぼくは彼と、恋に落ちた
高校一年の夏。地方の高校に転校したぼくは、あの教室で忍に出会った。
恋愛小説の名手が初めて描く、少年と少年の、強くやわらかな愛の軌跡。
血の繋がらない母・美佐子さんと暮らすぼく。
実の母も、父も、いつの間にかどこかへ行ってしまった。
ぼくは男で、男が好きだ。
新しい高校にも、どうやら馴染めそうにない。
学校なんて、卒業してしまえばそれまでなのだからと、ぼくは“空気のように”過ごそうと決めた。
しかし、ふと触れ合ったクラスの優等生、忍の指先の体温が、ゆっくりと確かにぼくの中に広がっていく。
いつしか互いへの思いを募らせてゆく二人の少年。
しかし学校の教室という閉ざされた場所では、思うように過ごすことは難しく――。
「出会わなければ、自分は自分のままでいられたんだ。出会わなければ、いつまでも本当の自分を隠して、普通の人として生きていけた」
それでも、共にいたいと願う二人の少年と、それを見守るいくつもの眼差しを丁寧に描いた、孤独と愛の物語。
解説=鈴掛真
単行本 2024年1月 文藝春秋刊
文庫版 2026年7月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
触れられそうで触れられない淡いお話。緑亮の最後の海への気持ちに胸が痛くなった。いろんなことがある、でも自分の人生。他人に振り回されることなく時には叫びながら自分を大切に、生きていきたい。
Posted by ブクログ
恋愛のチリっとした胸の痛みと、家族愛の温かみを得られる本。解説者の方が言う通り、この本のジャンルをLGBTQにしたくない。
海の伸び伸びとした無邪気さと残酷さ、忍の若さゆえの繊細さ、璃子の感受性がもつれ、絡んでいるのになぜかサラリとした読感。
一番感情移入したのは美佐子さんだった。美佐子さん、緑亮じゃなくて、海に一目惚れ(親子愛という意味で)したんだろうな。可愛い子だったんだろうな。
Posted by ブクログ
今作が是非同性愛を語る書籍であらないことを願います。
読む人を本当に選ばないです。あまたある作品の中でジャンルに縛られることなく、ただ読書だと思って読んでいただきたいです。
同性愛が、BLが、いろいろ言われて避けられるにはもったいないほど恋愛の残酷さ、社会の残酷さ、人間関係の醜さを描くんです。
窪美澄という作家を今回が初めてなのですが、何故あなたはわかるのでしょう?
主人公はもちろん、登場人物全てが社会と闘って生きているんだなとよくわかります。
ある人は己の個性に悩み、ある人は愛着に苦しみ、ある人は己の無知や行動に取り返しが付かない人もいる。
当事者だけが悩めるのではなく、1人1人が悩まされ、世界を一つ大きくしようとする、誰もが社会問題として背負える中でそんな人の努力を全くもって意識しない者もやはり社会問題だと思います。
1人の人間として、関係をどう持つか?どう意識できるのか?
環境を作るのは、社会を作るのは、彼らではなくそれを読むあなただと思います。
Posted by ブクログ
ただの同棲愛だけじゃない。人と人との生き方のお話。
「社会とのズレ」「普通」他の人の当たり前は自分にとって当たり前じゃない。私も誰かを傷つけたりしないから、誰も私を傷つけないで、干渉しないで。そう思えるのって割と強い人なのかもしれない。私が悪いって思って自分を攻撃する方が楽な人もいる。ただあなたに会いたい、一緒にいたいと思ってくれる人が必ずどこかにいる。人間関係なんてめんどくさいし、「ズレ」があり苦悩を抱えてるからこそ手に出来たものもある。人生が長いのは、きっとそういうことに気がつく時間が必要だからだと思う。
Posted by ブクログ
セクシャリティの枠を超えた、誰もが抱える「型」と「生きづらさ」の物語。
表紙や帯の印象から「同性愛をテーマにした瑞々しい青春もの」を想像して読み始めたが、蓋を開けてみれば、綺麗事では終わらない人間のエゴや生々しい生きづらさを描いた、重厚な群像劇だった。
第一話の主人公・海の、自分の殻に閉じこもって被害者ヅラする自己中心的な態度に、最初は強い違和感を覚えた。
けれど、読み進めるうちに、登場人物それぞれが「血の繋がらない母」「町議の息子」「親になれなかった人間」という、自分や周囲によって作られた「型」に縛られて苦しんでいる構造が見えてくる。
特に第五話の父親・緑亮の章は圧巻だった。
彼の選択は世間一般の正しさでは測れず、簡単に善悪でジャッジできない人間の脆さと孤独が詰まっていた。
上手く生きられない緑亮を1番嫌ってるのは緑亮本人なんだ、それでも緑亮なりの愛はあるんだということが伝わってきた。
だからこそ5話のラストは辛かった。
劇的な大団円や和解があるわけではなく、ズレを残したままの「ままならない現実」が描かれる。
しかし、相変わらず“青い”ままの海が自分の殻を破って一歩を踏み出し、忍の自分の意志を感じさせる姿に、現実的な希望が持てる着地だった。
現代を生きるすべての人に身に覚えのある「窮屈さ」とそこからの解放を教えてくれる、窪美澄さんらしい見事な一冊だと思った。
Posted by ブクログ
窪美澄さんの作品の中で1番好き。
同性愛が描かれているけれど、究極的には人と人とのお話だと思います。恋愛関係、家族関係、友人関係…とさまざまな形がありますが、どうしたって他人同士なのだから、一筋縄ではいかない。
人間ってのは面倒くさくて愛おしいな。
Posted by ブクログ
登場人物それぞれの視点から物語を描くユニークな構成
読みやすかった
クラスメイト男子に惹かれる過程が瑞々しく描かれていた
誰かに次第にひかれていくズキン(あえてキュンと言わず、ズキンと表現(^^))とした感情が、わかるなーとリアルに描かれていた
互いに惹かれつつも、高校卒業 上京してからの過程も思春期から青年にかけての恋愛によくあるかんじに描かれていた
成長していく過程ですれ違っていくだろうタイプの違う2人
それはそれで、よくある恋愛だろうし、ただ、そうなっても年齢を重ねて懐かしい思い出となるストーリー、みたいにもう少し先の2人をみてみたくなった
最後の方の2人の肌を重ねる描写が、やけっぱちで、表現も自分には無理で星4としました
【実写化するなら】
どちらが誰を演じるかまではわからないが
細田佳央太
板垣李光人
あたりに演じてほしいな〜と思った
皆さんはどうですか
Posted by ブクログ
すごく読みやすくて、続きが気になる!と言う気持ちに突き動かされて読んだ。
いろんな気持ちが絡まって、人との関係は成り立ってるんだなと思った。
言葉にしないと気持ちは伝わらないけど、あえて言葉にしない気持ちもあって。
伝わらない想いのもどかしさ、伝えたからこそ上手くいくもの、壊れるもの。
なんて難しいんだろう。
人を好きになるって、本当はとても怖いことってすごくよくわかる。
願わくば2人がこれからも一緒にいられますように。2人が自分らしくいられる社会になりますように。
Posted by ブクログ
絶対裏切らない窪美澄。
今作も素晴らしかったのだが、
どうしても主人公『海』と『忍』のリアリティが欠けた印象があり、
おもしろいのに入り込めるところまでいかなかった。
だがしかし、この2人を除く登場人物のリアリティはすさまじく、
第二章は涙必須。
そしてやはり、窪美澄は暗い。
どんなに幸せな状況でも
心の隙間風や、どうにもならない自身への葛藤を拾い上げて、見ないことにするということを絶対に許さない。
それが人生の愉しみの一つとでも言わんばかりに突きつけてくる。
同姓同士の恋愛をテーマにしているが、
誰かと共に生きるそれぞれの人の心を
あぶりだす、恋愛ものとはまた一味違う作品になっている。
青くて透明な彼らが
いかんなく自身を発揮できますように!
Posted by ブクログ
登場人物の中で主人公を愛せたのもあり一気に読めました。
オムニバス形式で登場人物達の思いや生き方を順番に確認していく感じ。
わかるよ、と思う部分とでもそれではいけないんだよね辛いよねと思う部分とあり納得せざるを得なくて切ない。
とにかく私がおそれていた結末にならなくてよかった。
Posted by ブクログ
少年同士の恋と、それを取り巻く登場人物の視点で描かれるオムニバス形式の恋愛小説。
普通とは何なのか、普通でない生き方とは。
きっと普通なだけの人なんていない。
だけど、普通じゃない生き方に当然ついてまわる葛藤がある。
だからこそ、出会える何かがある。
そんなことを感じさせてくれた小説。
窪美澄という作家、凄く好きなのである。
どうしても窪さんの作品となると色眼鏡をかけてみてしまい★4つにしそうになったけど
冷静に★3つ。
というのも、窪美澄が好きな理由は、
『リアルな感情を活字で表す圧倒的天才』だから。
もう窪作品、読んでるだけで「天才かよ…窪美澄…怖いよあなた天才かよ…わかる。ほんとわかる…」とかブツブツ言いながら読まされること多いんですよほんと。
今作もしっかりとその手腕と才能は遺憾無く発揮されており、特に二人目の語り手の話は(5人の視点で一話ずつ描かれる群像劇)もはやそれ1つで名作短編を読んだ気になるほど良かった。
だが、しかし。
この物語に出てくる二人の少年、こちら二人が当然主人公とその恋愛相手なのだからメインキャラクターなんだけど、ここのキャラクターがリアルじゃない。
描きたいことはわかる。
存分にわかる。
設定も展開も、二人の違いも差も、
すれ違いも良かった、良かったんだけど、
キャラクターがリアルじゃなかった。
もはや周りの登場人物、ここで言うなら他の視点3人の方がよりリアルなのである。
窪美澄は感情をリアルに活字化できる天才である。
だけど、登場人物がリアルでなければその感情もまたリアルさを欠いた、そんな風に思う。
作品として登場する人物は一風変わったキャラクターたちばかりである。
そもそもそれが作品のテーマであり、「普通とは違う」とカテゴライズされてしまう人たちの物語である。
女の子みたな趣味嗜好を持つゲイの少年だったり
自分の子どもではない子を育てる女性であったり
夢の為に子を捨てる父親だったり
腐女子でいじめられてる泣き虫の女子だったり。
変わってると言われる人物のその変わってると言われる所以をリアルに描写できれば窪美澄の才能をもってすればもっと心に深く染みるような作品になったのではないかと思う。
どうも主人公カップルの少年のキャラクターが、作られた枠の中から飛び出して生きてなかったなと感じる。
とはいえ、
作品としておもしろくなかったかと言えばそんなことはなく。
やっぱり窪美澄の作品はいいなと思えるものではあった。
あと、作中に何度か、やはり窪美澄だなと思わせる強烈なセリフや文章があり、
まぁ結局窪美澄好きだわやっぱり。
Posted by ブクログ
『週刊文春WOMAN』掲載。2024年1月、文藝春秋より単行本化。
コミカライズもされている作品です。
幼い頃から、自分の性的な嗜好に違和感を抱いてきた少年。恋愛対象が同性であることも、自分では認識しています。
そして、彼を取り巻く家庭環境もまた複雑です。彼の実の母親は家庭を離れ、父親は再婚相手に少年を預けたまま、自分のやりたいことのために家を出てしまう。
そんな少年を育てる義母、彼に想いを寄せる同級生男子、友人となる少女、そして父親。それぞれの視点から描かれる連作短編集です。
LGBTQを主題に据えながらも、それだけにとどまらず、傷ついた少年たちの気持ちをどうにか救い上げようとする物語です。
ただ、私には全体的に焦点がぼやけた印象でした。LGBTQを描くのか、家族の再生を描くのか、それぞれの人物の物語を描くのか、どれも少しずつで終わってしまったように感じます。特に主人公の父親はあまりにも身勝手で、その存在が最後まで引っかかりました。
それでも、二人の少年が最後に見つけた将来への目標には希望があり、良いラストとなりました。
Posted by ブクログ
LGBTQのGに焦点が当てられつつ、主人公を養子に迎えた育ての母、いじめを受けたクラスメート、主人公を捨てた父親、それぞれの目線から描かれたオムニバス形式の話。忍はちょっとナヨナヨしすき、もっと自立しろ。