【感想・ネタバレ】謎解きの醍醐味~ベストミステリー短編集~のレビュー

あらすじ

丸高物産に勤めている曾根俊平が25歳の独身女性と情死した。曾根から、自分が「離魂病」かもしれないと相談を受けていた推理作家の杉は、その死に疑問を持ち調べ始めた――(「離魂病患者」)。短編の名手でもある鮎川哲也の傑作を集めた第2弾。鬼貫警部など有名探偵は出ないが、探偵役となる人物たちが事件の謎を見事に解く、ミステリーの醍醐味が詰まった一冊!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 どれも良質な推理小説だった。ミステリとか本格派とかそうでないとかはよく分からないけれど、推理ものとしてとても楽しめた。正直、一つ前に読んでいた短編集よりこちらの方が断然好き。

 推理小説を読んでいると、誰がこんな手の込んだトリックを使ってまでこの程度の動機で殺人を犯したりするだろうか、と思うことがしばしばある。ミステリとしてはそれで良いのだろうが、筋は通っていてもあまりにも現実離れしたトリックの犯罪は、できれば現実離れした設定や舞台の上でやっていただきたい、と思う。それならお話として大いに楽しめる。
 この作品は、手は込んでいるがやろうと思えばできないことはないトリックが用いられているのがすごい。各作品の舞台に応じて、トリックの“やりかねない度合い”がしっかり調整されているように感じる。

 どのお話でも突っ込みどころのない練られたトリックが披露されていて、面白かった。

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2019年06月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『離魂病患者』
同期でありライヴァルの柊屋との恋の争いに勝って映子と結婚した曾根。ある飲み会の後電車で女性と一緒にいる曾根を目撃したという柊屋。出張中に曾根にプレゼントを持ってきた女。謎の女・石田照子と心中したと思われる曾根。曾根と照子の写った写真。曾根に謎の女の事で相談を受けていた作家・杉の推理。

『夜の断崖』
ミナが打ち合わせに行った翌日に断崖から転落死した作家・茅野。遺体の身元確認のために病院を訪れたミナ。ミナが気がついた違和感。前夜に来ていた浴衣に残っていたはずの焼け焦げの痕が無くなっている。茅野の妻の証言。眼鏡なしで行動できない茅野の残された眼鏡。ミナの同僚・吉岡が話したサングラス越しの茅野のまなざしの不気味さに隠された秘密。

『矛盾する足跡』
推理小説家数人でこうにゅうした別荘で過ごす冬の夜。近所に別荘を持つSF作家・月村ルナ子の訪問。会話の中で起きた小さな口論。足跡のない殺人についての話。翌日発見されたルナ子の遺体。鮎川哲也の推理。

『プラスチックの塔』
大学助教授・和気順三の死。死の前夜何者かに呼び出され会いに行った順三。順三の遺体が握っていた何かの本の切れ端。和気が殺害された夜に列車から転落した黒柳教授。黒柳教授が争う学部長選挙。和気が握っていた切れ端に隠された秘密。

『塗りつぶされたベージ』
フランス人の経営する会社に勤めていた妻・町子の失踪。捜索願を出した夫・昭夫にもたらされた遺体発見の情報。町子が勤めていた会社が見つからない。町子の証言で夫殺害の容疑者から外れた勝子。町子の口座に振り込まれていた金。何かの強請りか?彼女の日記にある塗りつぶされたページに隠された秘密。

『緑色の扉』
あるファッション誌の秘密のファッションショーを撮影にきたライヴァル誌の記者・森と助手の佐里。当日何者かに睡眠薬を飲まされて病院に運び込まれた佐里。撮影したフィルムは何者かに破棄された。緑の扉のロッカーにしまわれていたはずのフィルム。疑いをかけられた海老原。殺害された森。容疑者として会社を追われた森。退社の日森に話をした用務員と用務員の飼っている小鳥の秘密。

『霧笛』
客船に乗り合わせた客たち殺害された乗務員。乗務員の首に残された留美のベルト。自分の書いた小説の為のメモに事件の状況が似ているとおびえる大本。何者かに襲われ重傷を負う大本。殺害されたさち子。さち子の聞こえないはずの片耳につけられていたイヤホンの秘密。

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2012年06月25日

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