あらすじ
王朝時代を彩る百人百様の作者たち。親子・恋人・ライバル・師弟などが交差する人間模様を、史実や説話をもとに丹念に解きほぐす。歌だけでは窺い知れない作者の心に触れ、王朝文化の魅力に迫るエッセイ。
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Posted by ブクログ
百人一首が面白いのか、平安朝が面白いのか。
平安朝400年を五七五七七×100で綴った王朝絵巻。いやはや、なんてお洒落なんだろう。こんな文学が他にあるか?知れば知るほど感嘆する。
歌の解説より歌人の人となりに興味があったので、本書はまさしく目的に合致した。
よくあるように一首ずつ順番に並べていくのではなく、万葉歌人、女人歌人など、特色で分類して縦横無尽に解説している点も良かった。
それにしても、歌どころか他の古典からの引用にもまったく現代語訳や説明がなく進むのは面食らう。
読み終わって気付いたが、昭和58年の発行とは。それが文庫版として気軽に読めるようになってるのはありがたい。
Posted by ブクログ
歌人たちを、政治的には敗北した天皇、没落した古代の名門氏族、本流から外れた藤原氏の公達、
宮廷に仕えた機知に富む女房、独自の風流を確立した僧侶などに分類した上で、
個々の人間関係や史実・逸話を通して、歌の背後にあるその生き生きとした姿を描いていく。
冒頭が名文であることは認めつつ、仮名序の六歌仙評価や和歌の歴史の記述は、
真名序に比べて錯誤があり杜撰なことの指摘や、
『天皇は終始マツル人であって、マツラレル神ではなかった』『君臣の間を流れる豊かな人間的親近感』
といった平安貴族の歴史観や天皇観を解いていく部分なども興味深い。