あらすじ
一○年にわたるトロイア戦争が終結。オデュッセウスは、帰国の途中嵐に襲われ、さらに一○年の漂流冒険ののち、神々の援けを得て二○年ぶりに帰還、留守の間妻を苦しめていた悪逆な求婚者たちを討ち亡ぼす。『イリアス』とともにヨーロッパ文学の源泉と仰がれる、劇的な盛り上りに満ちた大英雄叙事詩。新たな訳者による新版。
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Posted by ブクログ
現代でも様々な作品で登場するアテネやゼウス、ポセイドンなどの神話世界の人物や、セイレーン、サイクロップス、スキュラなどの怪物が紀元前の世界ではどのように扱われているかを知れる。
物語の展開力も凄い。どんどん気になってページが進む。紀元前の時代の作品だと少しなめていた自分が愚かだった。
上巻では苦難が続く話がメインで、後半での逆転劇に期待してしまう。
Posted by ブクログ
『イリアス』の後の話で、主人公はトロイア戦争に参戦したオデュッセウスである。本作は彼が故郷に帰るまでの過程を描写しているが、その一方で、彼の妻ペネロペイアと息子テレマコスとペネロペイアの求婚者たちの争いも本作の見どころである。
Posted by ブクログ
血なまぐさい戦争英雄譚だった「イリアス」とはうってかわって、戦後のオデュッセウスが散々苦労して国へ帰る冒険譚。様々な民族や怪物、海の難所を超えて最終的に部下たち全員と船を失うことになるまでを語っている。イリアスはひたすら英雄たちが戦いあって臓物やら脳、脳髄やら飛び散りまくっていたが、こちらではそういった現実的なグロ描写はかなり抑えられてファンタジー的な趣が強い。もともと神たちが人間に話しかけ、力を貸したり罰したりという世界観がベースにあるから、ファンタジーな怪物もそんなに違和感なく地続きに受け止められているのだろうか。
オデュッセウスが知恵や工夫で怪物たちに立ち向かうのも面白いのだが、長年に渡って主不在の実家を荒らしている求婚者たちにどう落とし前をつけさせるのかとか、今後同時並行している息子テレマコスの旅で青年の成長が見られそうなので下巻が楽しみ。