あらすじ
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人間は本能の壊れた動物である。フロイドの精神分析を出発点に、人間精神の深奥をえぐり、現代社会の矛盾を衝く、ユニークな理論体系を構築した岸田流「唯幻論」の集大成。「ものぐさ精神分析」の延長線上にあり、同じテーマについて再び語ったものである。
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Posted by ブクログ
『ものぐさ精神分析』の続編です。
正編に比べると、テーマが多岐にわたっている印象がありますが、アメリカの精神分析をおこなった論考、唯幻論の立場から人間の性を考察した論考、笑いや憎しみ、怒りといった感情についての考察、そして、三島由紀夫や芥川龍之介、太宰治、サリンジャーらの精神分析をおこなった論考などがあります。その他、数学者の森毅や精神科医の小此木圭吾との対談も収録されています。
著者の立場に完全に同意するわけではないのですが、著者の立場からどのような風景が見えてくるのかということに興味を覚えました。とりわけ性にまつわるさまざまな事象を、著者の観点から考えてみたとき、いったいどのような帰結がもたらされることになるのかという点について、もう少し知りたかったように思います。
「あとがき」で著者自身、「わたしの基本的考え方は変わっておらず、二番煎じの感は免れがたい」と述べていますが、実際に読んでみた感想としても、それほど目新しい論点も見当たらないような気がします。