あらすじ
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独得な聖書解釈だけでなく、医学・動物学・植物学・宝石学、そして音楽や建築、あるいは料理術にまで及んで、中世ヨーロッパ最大の幻視者ビンゲンのヒルデガルトの眼が捉えたものは、何だったか。ひとりの女が聖女へと変貌する魂のドラマを辿り、中世的世界像の転写ともいえる、特異な自然学・宇宙論の全容を探る。
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Posted by ブクログ
さすが種村先生。自然誌、博物誌的な関心から中世神学、女性性、声と音楽までという諸テーマによって、ヒルデガルトの多面性が活き活きと描き出されています。他のヒルデガルト本読む前にこれ読んでおくといいのではないかなあと思いました。
Posted by ブクログ
タイトルに違わず、ビンゲンヒルデガルトが生きた現実の世界と、その精神世界の両方について詳細に解説されています。装飾写本好きとしては「スキヴィアス」のカラー写真が多数掲載されているのが嬉しいです。
Posted by ブクログ
以前に読んだ種村の『不思議な石のはなし』とかパワーストーンの本にも出てきたので、時間をかけつつちまちまと読んでみました。
雑誌『イマーゴ』に連載されたエッセイをまとめた聖ヒルデガルトの評伝。長年の研究の成果ではないとご謙遜されているけど 、日本語での類書はあまり見当たらないし、依然、本書の存在価値は疑うべくもない。著者ご本人も神学よりは自然学と宇宙論に興味があり、とおっしゃっているように、ヒルデガルトの自然学的著作に触れた第11〜16章が面白い。メランコリー論と性愛論について書かれたくだりをとりわけ興味深く読みました。石に触れた第3章「ルチフェルと宝石」は勿論だがはずせない。
ヒルデガルトの生きた時代はバルバロッサの時代でもあるらしい。西欧中世って知れば知るほど面白いな。