あらすじ
宮沢賢治の死生観,ハン・ガン作品の痛み,石牟礼道子の詩にみる希望.同時代を生き,互いの国の文学を訳すふたりが,日本語と韓国語の深い森で,考え,問い,対話する.激動の戒厳令,終わらない戦争への抵抗――わたしたちの言葉と歴史について.書くこと,読むことの根源にせまる二年間の往復書簡.「世界」連載書籍化.
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Posted by ブクログ
日本の詩や小説を韓国語に翻訳するチョン・スユンと、韓国文学を日本語に翻訳する斎藤真理子。暮らしや考え方について互いに質問を投げかけ、答え合う往復書簡。お互いの仕事への敬意と人柄への信頼が伝わってくる。質問と回答を通して、似ているところだけでなく、異なる文化や考え方も見えてくるのが興味深い。
国籍や風習の違いを理由に壁を作り、分断を広げようとする国家間の関係がある一方で、こうした個人と個人のつながりこそが大切なのだと実感する。世界が分断に向かっている現代、対話すること、本を通して相手を知ることこそが未来への希望であると、あらためて感じさせてくれる一冊。
Posted by ブクログ
司書の先輩に勧められて。
私は翻訳は苦手(特に文学)で原書はそのまま味わいたいですが、そんなことを言っていては読める作品が限られてしまいます。翻訳家のお二人の翻訳の難しささえ楽しんでいらっしゃる様子に、こういう方たちだからできることなのだと思わされました。
本ではないですが、韓国人作家さんが口にされた言葉を「良くなりますよ」「良くなるでしょう」「良くなるはずです」「良くなると思いますよ」、どう訳しましょうか、と斎藤さんが書かれていたのが印象的でした。こういう表現一つ一つに込められた意図を汲み取ることは本当に難しいと思います。
平和に対するお二人の考え、多和田葉子さんの言葉など、何度も繰り返して読みたいと思った箇所も多かったです。
『波の子どもたち』を読んだ人にはもちろんおすすめ、この本から読んだ方には『波の子どもたち』もぜひ読んでほしいと思います。