あらすじ
半生を通じて集めた蔵書との〈永訣の朝〉がきた──。
晩年を迎え、やむを得ない事情から三万冊もの蔵書を手放した著者が半身をもぎとられるような痛恨事を契機に「蔵書とは何か」という問題に取り組む。
本とともに過ごした人生を振り返りつつ、近代日本の出版史、読書文化における「蔵書」の意義を探る。
自著解説、盟友・荒俣宏との古書・蔵書をめぐる対談を収録。
〈解説〉平山周吉
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Posted by ブクログ
元の本を読み終えたタイミングで、文庫版がやって来ました。荒俣宏氏との対談や解説など、新たに収録された文を読む。
対談は古本屋との付き合い方みたいな内容で面白かった。このタイプの蔵書家に、憧れのような気持ちがあるなあ。
Posted by ブクログ
蔵書家というだけでは足りない、書物が人生そのものだった著者だからこその蔵書論である。冒頭、全蔵書に別れを告げる朝のエピソードから始まり、「この階段を降りるのも今日が最後」と思いながら神保町の地下鉄駅の階段を降りていくところで幕を閉じる‥ここで語られる蔵書とは物体としての書物の集積でありながら、一人の蔵書家の総体として命を持った有機体であり、だからこそ主の命が尽きた時、蔵書の生命を維持することがとても難しいのだ。
荒俣宏との対談でも憧れをもって語られる海外の事情にしてみても、結局はここではないどこかに蔵書家の夢を託したないものねだりにも思える。コンピュータに脳を丸ごと移植して永遠の命を得ようというSFじみた話があるが、著者もまた蔵書という外部に永遠を託したかったのではないか。