あらすじ
皇女ガラ・プラキディア、女伯マティルデ、聖者フランチェスコ、皇帝フェデリーコ、作家ボッカチオ、銀行家コジモ・デ・メディチ、彫刻家ミケランジェロ、国王ヴィットリオ・アメデーオ、司書カサノーヴァ、作曲家ヴェルディの十人を通して、ローマ帝国の軍隊が武装した西ゴート族の難民に圧倒される四世紀末から、イタリア統一が成就して王国創立宣言が国民議会で採択される十九世紀末までの千五百年の「歴史=物語」を描く。
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アペニン半島の通史を、人物に焦点を当てながら物語る一冊。
教皇庁が強力な支配権を維持するために、イタリアの政治的統一を嫌っていたというのは、なるほどと納得。ダンテの「神曲」がホメロスやヴェルギリウスに劣らぬ世界文学の傑作となり、そこで使われていた俗語がイタリア語となり、国民統一の凝集力として大きな歴史的な意味を持っていく、という言語から見た歴史のダイナミズムも面白い。フィレンツェとミラノの対立は、その源泉から見れば共和制ローマと帝政ローマ、表現された芸術的側面から見れば反ゴシックとゴシックの対立。旅して見た二都市の建物や雰囲気の違いを鮮やかに思い出しながら楽しく読んだ。
「あとがき」は短いが読み応えがあった。著者は、歴史=物語として語り継ぐ重要性に触れている。一つの国という概念ではなく、人物に焦点を当て、さまざまな地域の境目を超えて、時間が流れているという視点を大切に書いた著者の根底にあるのは、歴史的記述を国家単位でなすことへの疑義なのだと思う。
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古代ローマの都でありながら、その歴史は分裂と栄枯盛衰に彩られているイタリア。その分裂の時代の長さ故に各都市の特徴は千差万別で、イタリア人のアイデンティティは今なお各都市に根付いている。「アドリア海の女王」と呼ばれ商業で発展したヴェネツィアも、メディチ家のお膝元トスカーナのフィレンツェも没落し、統一に動き出したのはトリノを都とするピエモンテ。ヴィットーリオ・エマヌエーレとカブールからではなく、ヴィットーリオ・アメーデオからピエモンテの話が始まるので興味深い。フランスという大国に面しているからこその強かさ。
中公新書の物語シリーズの中でも、本作は特に物語感が強い。各時代を生きた著名人を取り上げながらリレーしていく構成で、ローマ帝国末期の皇女ガラ・プラキディアに始まり統一期の作曲家ヴェルディで締める。人選がとても渋く、通史では一文化人としてしか登場しない芸術家を主役に置いていたりするのが面白い。
特に二人目の人物マティルデは、世界史を学んだ者ならば誰もが知る「カノッサの屈辱」の舞台となったカノッサ城主で、皇帝と教皇の対立が彼女の視点から語られている。
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面白く、楽しく学べる。イタリア観光したくなった。
ただ強いて言えば、2のほうが素人にとっときやすいテーマが多かったような気がする。(先に2読んだ)
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☆☆☆2020年1月☆☆☆
1、皇女ガラ・プラキディアの物語
2、女伯マティルデの物語
3、聖者フランチェスコの物語
4、皇帝フェデリーコの物語
5、作家ボッカチオの物語
6、銀行家コジモ・デ・メディチの物語
7、彫刻家ミケランジェロの物語
8、国王ヴィットリオ・アメデーオの物語
9、司書カサノーヴァの物語
10、作曲家ヴェルディの物語
イタリアの解体(ローマ帝国)から、再統一まで1000年以上の歴史をたどる壮大なロマン。有名な人物から、あまり知られていない人物まで。
イタリアの歴史を語るうえで欠かせないのはローマ教皇。
僕は昔から「カノッサの屈辱」が大好き(・・・と言っていいのかどうか) という意味では
「2、女帝マティルデの物語」は教皇グレゴリウス7世の人となりがわかって実に面白かった。どんな頑固者だったのだろう。しかし、その厳しさで人をひきつけるカリスマでもあったのだろう。
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・現在のカノッサは古城の廃墟に風が吹くばかり、たまに訪れる観光客のほかは住む人とてない
・1453年、東ローマ帝国の首都を完全に包囲した14万のトルコ軍団は、皇帝メフメト2世の号令下、総攻撃を開始。防戦二カ月余、ついにコンスタンティノープルは陥落
・フィレンツェでメディチ家ゆかりの場所を訪ね歩けばきりがないが、ウッフィーツィ美術館だけは見逃すまい
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著者本人は列伝ではないと断言しているが、一章に一人の人物を割いて、その人物にまつわるエピソードと絡めて語るイタリアの歴史=物語。読む順序が逆になってしまったが、第一巻のほうは10章で10人の人物を取り上げ、古代からイタリアの国家としての統一(19世紀末〜20世紀初頭)までを物語風に綴っている。一話から順に人物をあげると、皇女ガラ・プラキディア、女伯マティルデ、聖者フランチェスコ、皇帝フェデリーコ、作家ボッカチオ、銀行家コジモ・デ・メディチ、彫刻家ミケランジェロ、国王ヴィットリオ・アメデーオ、司書カサノーヴァ、作曲家ヴェルディとなる。大体、一章で一時代を扱っているので、内容はわりと二巻と重複している部分が多いが、それでもやっぱり面白い。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
皇女ガラ・プラキディア、女伯マティルデ、聖者フランチェスコ、皇帝フェデリーコ、作家ボッカチオ、銀行家コジモ・デ・メディチ、彫刻家ミケランジェロ、国王ヴィットリオ・アメデーオ、司書カサノーヴァ、作曲家ヴェルディの10人を通して、ローマ帝国の軍隊が武装した西ゴート族の難民に圧倒される4世紀末から、イタリア統一が成就して王国創立専言が国民議会で採択される19世紀末までの千五百年の「歴史=物語」を描く。
[ 目次 ]
皇女ガラ・プラキディアの物語
女伯マティルデの物語
聖者フランチェスコの物語
皇帝フェデリーコの物語
作家ボッカチオの物語
銀行家コジモ・デ・メディチの物語
彫刻家ミケランジェロの物語
国王ヴィットリオ・アメデーオの物語
司書カサノーヴァの物語
作曲家ヴェルディの物語
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