あらすじ
日本橋上の首都高移設が検討されたり、景観法が制定されるなど、「美しい国」をつくる動きが強まっている。しかし、計画的で新しい街並みが「美」で、雑然として古い街並みが「醜」とは言いきれないであろう。本書は新世代の論客が、秋葉原・渋谷・ソウル・幕張・筑波・上海・ディズニーランド等々を事例とし、さらに平壌への取材旅行から映画・アニメ作品中の未来都市像に至るまで、縦横無尽に「美」とは何かを検証する。写真多数収載。
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色彩、押井守、北朝鮮の話がおもしろかった。
赤・白(日本的)の秋葉原と青(外国的)の渋谷。
こういう切り口の景観論もあるのかー
中華ゴシック論。
過剰防備について。
資本主義・自由経済では監視カメラやセキュリティによって、
社会主義・共産主義では主体思想を顕現させる装置(モニュメントや計画的都市造営)によって、
実現されるということ。
等々…門漢外なのでおもしろい視点がいっぱいあった。
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視点が良いと思う。確かに景観論争は、独裁国家の様相を帯びているし、善と悪に二分して悪を潰すことを正当化している。
途中、中だるみするが、最後までしっかりと書かれていて好感を持った。五十嵐太郎さんは目の付けどころが良い。今まで見過ごされてきたようなことを意図的に論じるので読者の中でも新たな発見がある。実に刺激的な人だ。他の著作全て読んでみようかと思えるほどの出来。
(『16章の・・・』は微妙だったが。)
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先日訪れた上海、大気汚染の中3日間街を歩き廻っていたせいか、いまだに咳がとまらず。。。。皆さん、上海に行くときは、ぜんそくにかからないように注意してください(爆)。
Financial Times にこんな記事が。。。
750,000 a year killed by Chinese pollution
By Richard McGregor in Beijing
Published: July 2 2007 22:03 | Last updated: July 2 2007 22:03
Beijing engineered the removal of nearly a third of a World Bank report on pollution in China because of concerns that findings on premature deaths could provoke “social unrest”.
The report, produced in co-operation with Chinese government ministries over several years, found about 750,000 people die prematurely in China each year, mainly from air pollution in large cities.
China’s State Environment Protection Agency (Sepa) and health ministry asked the World Bank to cut the calculations of premature deaths from the report when a draft was finished last year, according to Bank advisers and Chinese officials.
Advisers to the research team said ministries told them this information, including a detailed map showing which parts of the country suffered the most deaths, was too sensitive.
“The World Bank was told that it could not publish this information. It was too sensitive and could cause social unrest,” one adviser to the study told the Financial Times.
Sixteen of the world’s 20 most polluted cities are in China, according to previous World Bank research.
Guo Xiaomin, a retired Sepa official who co-ordinated the Chinese research team, said some material was omitted from the pollution report because of concerns that the methodology was unreliable. But he also said such information on premature deaths “could cause misunderstanding”.
“We did not announce these figures. We did not want to make this report too thick,” he said in an interview.
The pared-down report, “Cost of Pollution in China”, has yet to be officially launched but a version, which can be downloaded from the internet was released at a conference in Beijing in March.
Missing from this report are the research project’s findings that high air-pollution levels in Chinese cities is leading to the premature deaths of 350,000-400,000 people each year. A further 300,000 people die prematurely each year from exposure to poor air indoors, according to advisers, but little discussion of this issue survived in the report because it was outside the ambit of the Chinese ministries which sponsored the research.
Another 60,000-odd premature deaths were attributable to poor-quality water, largely in the countryside, from severe diarrhoea, and stomach, liver and bladder cancers.
The mortality information was “reluctantly” excised by the World Bank from the published report, according to advisers to the research project.
Sepa and the health ministry declined to comment. The World Bank said that the findings of the report were still being discussed with the government.
A spokesperson said: “The conference version of the report did not include some of the issues still under discussion.” She said the findings of the report were due to be released as a series of papers soon.
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ブレードランナーとかAKIRAとか攻殻とかの景色をカッコいいと思ってしまったら「醜い都市」って何なのかわかんなくなるよね。その点では美しい建物、醜い建物のレポート書かされた大学生可哀想っちゃ可哀想。いや、考えるのはおもしろいけど。あと、未来から見たらコンクリートの日本橋と首都高とどっちが魅力的か、ってのも意表を突かれた。
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美しい景観とは、醜い景観とはどのようなものか。世の中で言われる「美しい街」にも徹底的に疑問を投げかけ、なにが美しく、なにが醜いか考える。
第11章ユートピアとしての平壌で、平壌を訪れた筆者は「ここは景観論者にとってのユートピアではないかと思った」と語る。
「建築と都市のデザインは明らかにコントロールされている」
「景観論者が嫌う諸要素が、ことごとく排除されているのだ」
とても衝撃的。
Posted by ブクログ
レポートの題材として手にとった本書。
個人的には日本橋の上を走る首都高速の景観がどのように考えられているかを知りたかった。
そもそも美的感覚は極めて主観的なものである。
その「美しさ」をまち・景観に当てはめる際には相当な注意を払う必要がある。
他の書籍の表現を借りるのであれば、
”景観とはある一つの建造物をさしたものでもなければ、単に視覚的な印象に立脚するものでもなく、周辺の諸環境との調和を第一義的に考える必要がある”
とのことである。
その点を鑑みれば、
欧米の都市は○○の点がよく、日本にはかけているので導入すべきだ的な物言いには疑問を感じる。
単なる無い物ねだりである。
いくらパリのシャンゼリゼ通りが美しいからといって、東京で同じ物を求めるのは不可能である。
景観の個別性の強さを考えた上で、議論する必要がある、
とまとまらないながらにも感じました。
Posted by ブクログ
建築学科の1年生に美しい景観の写真をとってこさせると、はりぼての結婚式場とか、カミソリ3階建戸建てをとってくる話が始まる。
それ自体、びっくりするが、僕自身はきちんとした建築の教育もうけていないのに、建築学科1年生がとってきた写真は全部×だなと思う。それも自分でなぜかなと思う。
その一方で、渋谷の雑踏とか、今はちょっと駅前がきれいになったが秋葉原の問屋街とか、香港とか上海の旧市街は好きだし、なんか圧倒されるアジアの息吹を感じる。それを景観上だめという伊藤滋先生の指摘もついていけない。
五十嵐先生は、平壌までいって徹底的に統制のとれた都市計画、建築を説明して、これがいい景観かといわれると、先生同様納得できない。
でも自分で大事にしたいという景観というポジティブリストはある。三陸の山並みや海岸の自然、鎮守の森、そういうのを緒雑な造成計画などでこわんさないでほしいこと。また、上村さんが指摘した保育園の隣の高層マンションなど。
概して、自然については自分も断固とした判断ができるが、建築物の景観については、自分も悩むし、自己中心的になってはいけないなと思う。
勉強になりました。
Posted by ブクログ
(111017)
美しいか否かという基準はどんな理由をつけようか人間の主観でしかない。それ故に生じているであろう著者の発言の矛盾は客観的に受け止めてあげるしかない。
それよりも、本書の有用性は、多くの事例や意見(偏りはあるが)を引用することにより、美しさとは何かという問いに対する答えを出すための手助けをしてくれるところにある。
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首都高の道路は本当に醜いのか?、上海に未来都市をイメージするように、日本橋にかかる首都高こそ東京のモダニズムを体現していたと100年後の人々は振り返るかもしれないという視点は新鮮だった。
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[ 内容 ]
日本橋の首都高移設や景観法制定など、「美しい国」をつくる動きが始まったが、「美」とは何か?
新世代の論客が、平壌取材からアニメの中の未来都市まで、縦横無尽に検証する。
写真多数。
[ 目次 ]
第1部 二十一世紀の景観論(醜い景観狩り 景観を笑う 日本橋上の首都高速移設を疑う 渋谷のドブ川とソウルの清渓川 テーマパーク化する都市 東京の色彩と広告)
第2部 計画とユートピア(アジア・メガロポリスの建設と破壊―香港・上海・深〓(せん) 押井守の未来都市 幕張はいかにつくられたか 管理空間が生みだす“都市伝説”―ディズニーランド・筑波・都庁舎 ユートピアとしての平壌 過防備都市・再論)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
ざっくりしか読んでないけど、
建築の人ってこういう感じだよねぇって
改めて実感。
いろんな都市の事例が出てきているのが
興味深かった。
特に、幕張と平壌。
Posted by ブクログ
以前、五十嵐太郎氏の過防備都市を読んで、「集まって住むことの窮屈さと安心感のバランスが重要」というメッセージを受け取りました。
今回受け取ったメッセージは、この巻末の一文がすべてを語っているように感じました。
口当たりのいい復古的な景観の言説に流されず、現実の多様さをそれぞれが深く考えるきっかけになれば、幸いである。
私は「自らのライフスタイルを度外視して、冷凍保存のような景観を生み出すガイドラインなどつくるべきではない」と思っています。しかし一方で、本書に出てくる普通のまちの「笑えるようなだらしない景観」は、なにか拠り所を求めている気がしてなりません。例えば、先日紹介したまちなみ住宅のススメはひとつの拠り所です。ひとつの建築や建築群がしっかりとした意志を持ってライフスタイルに呼応しながら設計されたとき、そのまちは生まれ変わるきっかけをつかむのではないでしょうか。
景観を語るに、私のベースのイメージはいまだに陰影礼讃のこの言葉です。
美と云うものは常に生活の実際から発達するもので、
暗い部屋に住むことを余儀なくされたわれわれの先祖は、
いつしか陰翳のうちに美を発見し、
やがては美の目的に添うように陰翳を利用するに至った。
(谷崎潤一郎)
生活から逸脱した「美」は劇場的で、刺激を与えてくれる要素ではあるとは思いますが、直輸入した瞬間から陳腐化してしまう宿命にあると感じています。
現実は多様で、その多様性が明日への活力へつながっていくのであり、その生活の実際の中であるべき景観を論じるべきです。色や高さや高速道路といった極論だけがクローズアップされるような状況に流されて、思考停止するような世の中だけにはなってほしくないものです。
Posted by ブクログ
日本橋の景観再生には賛成の立場をとっていた私に、別の視点を与えてくれた。
カオスな日本、キッチュな日本を客観的に見ることができ、今後の景観論争を考えるうえで参考になった。
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人は生まれた場所や思い出に風景の美しさを見出すのでしょうか。
だから私は広告やネオンで囲まれたまちや、ハウスメーカーが量産した欧米風が並ぶ住宅街にも美と愛おしさを感じることができるのかもしれない。
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現代の情報化時代における都市の知覚と評価のあり方について述べた本。
芦原義信に代表される、ヨーロッパ都市計画への憧憬を掲げたこれまでの都市の捉え方とは異なる立ち位置をとっている。
これまで美しさをよしとしてきた社会に対し、管理されることでなりたつ「美しさ」に、またそもそも主観によって判断される「美しさ」の定義に疑問を投げかけている。
一元的な解釈ではなく、多方向・多視点的に都市の景観を評価することで、今までとは違う価値感を創造できる可能性があると指摘するような主張には、個人的に共感。
主張が強い一貫性を持っていて、やや言い過ぎ、ぐらいの表現であるがそのため専門外の一般の人でもわかりやすいと思う。
Posted by ブクログ
すごくシンプルかつニュートラルな考え方で、読んでいて冷や冷やしなかった。
景観論にきっと答えなんて無いんだよね。
平壌の都市計画の引用の部分が特に面白かったな。
この人の本をもっと読みたい。
Posted by ブクログ
都市が気になる。
私はきちんと整備された、生活観のない都市を美しいとかんじてしまうが、そんな簡単なものではないんだ。下北沢の道路を広くするから、街もちょっと変わってしまうような話を前聞いたけど、ああいうカルチャーで出来上がっているような街を残していくことも大切だよね。
んー都市を考えるのは、深くておもしろい。