あらすじ
「闇バイトを生んだのは私たちです」
東京拘置所の静まり返った一室で、犯罪集団の最高幹部の一人は著者に打ち明けた。
SNS上の「闇バイト」で集めた実行犯たちにフィリピンの収容所内から指示を飛ばし、自らの手を汚すことなく特殊詐欺と強盗を繰り返した「ルフィグループ」。
マスコミ各社がこぞって取り上げる重大事件を引き起こしながら、メンバーたちは巨額の犯罪収益で得たカネを原資に、異国の地で酒、女、ギャンブルとこの世の春を謳歌。家賃数百万のコンドミニアムで暮らしながら数千万円の高級車を乗り回し、警察への億単位の賄賂で摘発から逃れ続けてきた。だが、死者を産んだ凄惨な「狛江事件」の発生を期に、「ルフィ」を名乗る主犯格を含む4人の指示役の存在が捜査線上に浮かび上がっていく――。
「檻の中」で指示役の犯行をつぶさに見てきた幹部やかけ子たちは、強制送還後、事件当時の様子や組織の実態を一人の記者に告発し始める。
殺人や現地での日本人同士の抗争、強姦にいじめ、組織内でのSEX、敵対組織への命がけのスパイ行為、現地の警察や有力者に取り入る手法から、実行役たちを恐怖で従わせた「拷問部隊」の存在まで。彼らの口から語られた内容は、あまりに猟奇的なものだった。
組織では裏切り者には容赦なく拷問をくわえる一方、自らの利益のためには幹部同士でさえ騙し合う。緻密なはずだった特殊詐欺に綻びが生じ始めると、組織はフィリピンの収容所の中で狂暴な強盗団へと変貌していく。
後に多くの模倣犯を生み出し、「トクリュウ」の原型となった「ルフィグループ」はどのように生まれたのか。彼らの犯行形態が日本中に恐怖をもたらした最大の理由は、国民の誰もが被害者にも、そして加害者にもなる危険性を秘めていたことにもある。その脅威は事件から3年以上が経過した今も、現在進行系で続く。特殊詐欺と広域強盗が実行されたそのとき、内部では何が起きていたのか。
最高幹部との30回超の面会に200通の手記、「伝説のかけ子」が獄中から寄せた400枚の手紙のやり取り。メンバーの公判や拠点が置かれたフィリピンでの徹底した現地取材……。気鋭のノンフィクションライターが異形の犯罪集団の正体を暴きだす、必読のルポルタージュ!
【目次】
プロローグ
1章 「ルフィ」を生んだ街
2章 絶頂を迎える詐欺組織
3章 女スパイとして
4章 広域強盗団への変貌
5章 「ルフィ」の断末魔
エピローグ
あとがき
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
『ミカの一人勝ち』
やはりメディアだけで知る情報は憶測や推測が多く正確な情報は得られていないんだなと感じました。
読む前までは今村、渡邊の関係性は!?
藤田、小島の役割は!?
知らないことだらけで面白かったです。
フィクションとしても十分物語になるような事件ですね。
また、『順調に詐欺稼業が続けられた理由』『転機』『没落』全てが明確で分かりやすかったです。
「日本で起こる詐欺事件はほぼ100%海外から行われているんだろうな」と思いました。
以下、批判覚悟
タンス預金が市場に流れるのであれば、被害者の感情云々は置いといて経済が回るので、個人的にはそこまで詐欺は悪質なものとは思えません。
ただ、逆を言うと貧しい国からしたら形はどうあれ日本のタンス預金が自国の経済を回している。
このような考えもできると思います。
違法であれ、黒い金であれ、その国が経済的に潤うのであれば、フィリピン警察のようなケースは撲滅できない。=特殊詐欺は撲滅不可能
と感じました。
結局のところ、1人勝ちはミカですね。彼女が1番の策士ですw
Posted by ブクログ
寂れた町に生まれ、貧しき家庭に育つ。親は別離し、学校では虐めに遭う。卒業後は風俗で食いつなぎ、やがて闇の世界に誘われる。頭角を現し、実行する側から指示する身分へ。自らは安全地帯へと、拠点を海外に移す。莫大な利益を稼ぎ、豪遊する。いつしか足が着き、拘束される。秩序のない現地の刑務所。金がものを言い、奔放な生活は続く。再び迫る危機。更なる逃亡を企てて、遠隔での強盗事件を引き起こす。…彼らの生きてきた意味は?何故、闇バイトに人が群がるのか?指示に従う行動原理は何なのか?事件が照らすこの世の一端。学ぶことは多い。