檻の中のルフィ 闇バイトを生んだ者たち

檻の中のルフィ 闇バイトを生んだ者たち

小説・文芸
1,870円 (税込)

9pt

4.4

「闇バイトを生んだのは私たちです」
東京拘置所の静まり返った一室で、犯罪集団の最高幹部の一人は著者に打ち明けた。

SNS上の「闇バイト」で集めた実行犯たちにフィリピンの収容所内から指示を飛ばし、自らの手を汚すことなく特殊詐欺と強盗を繰り返した「ルフィグループ」。

マスコミ各社がこぞって取り上げる重大事件を引き起こしながら、メンバーたちは巨額の犯罪収益で得たカネを原資に、異国の地で酒、女、ギャンブルとこの世の春を謳歌。家賃数百万のコンドミニアムで暮らしながら数千万円の高級車を乗り回し、警察への億単位の賄賂で摘発から逃れ続けてきた。だが、死者を産んだ凄惨な「狛江事件」の発生を期に、「ルフィ」を名乗る主犯格を含む4人の指示役の存在が捜査線上に浮かび上がっていく――。

「檻の中」で指示役の犯行をつぶさに見てきた幹部やかけ子たちは、強制送還後、事件当時の様子や組織の実態を一人の記者に告発し始める。

殺人や現地での日本人同士の抗争、強姦にいじめ、組織内でのSEX、敵対組織への命がけのスパイ行為、現地の警察や有力者に取り入る手法から、実行役たちを恐怖で従わせた「拷問部隊」の存在まで。彼らの口から語られた内容は、あまりに猟奇的なものだった。

組織では裏切り者には容赦なく拷問をくわえる一方、自らの利益のためには幹部同士でさえ騙し合う。緻密なはずだった特殊詐欺に綻びが生じ始めると、組織はフィリピンの収容所の中で狂暴な強盗団へと変貌していく。

後に多くの模倣犯を生み出し、「トクリュウ」の原型となった「ルフィグループ」はどのように生まれたのか。彼らの犯行形態が日本中に恐怖をもたらした最大の理由は、国民の誰もが被害者にも、そして加害者にもなる危険性を秘めていたことにもある。その脅威は事件から3年以上が経過した今も、現在進行系で続く。特殊詐欺と広域強盗が実行されたそのとき、内部では何が起きていたのか。

最高幹部との30回超の面会に200通の手記、「伝説のかけ子」が獄中から寄せた400枚の手紙のやり取り。メンバーの公判や拠点が置かれたフィリピンでの徹底した現地取材……。気鋭のノンフィクションライターが異形の犯罪集団の正体を暴きだす、必読のルポルタージュ!

【目次】
プロローグ
1章 「ルフィ」を生んだ街
2章 絶頂を迎える詐欺組織
3章 女スパイとして
4章 広域強盗団への変貌
5章 「ルフィ」の断末魔
エピローグ
あとがき

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檻の中のルフィ 闇バイトを生んだ者たち のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    話題としては旬を過ぎたようにも感じられ、本作そのものもそこまで反響があるようには聞こえなかったが
    同様のフィリピンでの詐欺事案に関わる日本人の連行騒ぎなどを取り上げた新書に比べ、より内実に迫るノンフィクション作品としての密度が高く読み応えがある。

    0
    2026年09月26日

    Posted by ブクログ

    2022年5月から翌年1月までにかけて日本を震撼させた広域強盗事件の首謀者集団(「ルフィグループ」)について、彼らの背景から組織の成り立ち、事件の詳細から逮捕に至るまでを、幹部1名、主要なメンバー1名との数多のやり取りで立体的に詳解したノンフィクションである。

    出版時点ではリーダー格2名の裁判が開始しておらず、さらに両人とも黙秘を貫いている。本書はリーダー格の彼らの供述が反映されていないことを差し引いても、組織犯罪の一連の顛末がよく理解できる形にまとまっていた。結局は「徹底して管理するとこ」と「人心を掌握すること」が(たとえそれが犯罪組織でも)組織をマネージする上で重要であることが再確認される。この点は会社運営でも変わらない知見であると思う。また、「仕事(と責任)を分散させることで当事者意識が無くなる」ことも会社組織などではマイナスなる一方、犯罪においては罪悪感を無くす方向に働くのは興味深い対称性だと感じた。

    ルフィグループは一連の強盗事件で注目を集めたが、組織のおこりは特殊詐欺であったことは知らなかった。詐欺で培った術をそのまま強盗に転用したことが一連の強盗事件の核心であるともいえる。

    さらに、フィリピンをはじめとした東南アジアの汚職の酷さも垣間見える。ルフィグループも金で現地警察やコネクションを利用できるだけ利用したが、最後は単にフィリピン人の身内に売られるのが何とも儚い。

    一気読みできる筆力はさすがの著者であった。また次の著書も楽しみに待ちたい。

    0
    2026年09月25日

    Posted by ブクログ

    ルポ秀和幡ヶ谷レジデンスから注目していた作者による世間を震撼させた闇バイト/ルフィ事件に関する新たなルポ。

    なんとなく日本を震撼させた闇バイトの首謀者はフィリピンに潜伏しており、比較的早期に捕まったイメージであったが、その裏にある事件がしていない無数の特殊詐欺被害が先立ち、その後窮地に陥った犯人グループが強盗殺人というより苛烈な犯罪指示に手を染めていく流れが克明に記されている。

    当然ながら首謀者たちにもそれなりの辛い過去があるというところから始まるのだが、それ以上にまるで企業のように徹底した規則とマニュアルが存在し、組織再編を繰り返しながら進んでいく姿は、方向を間違えなければ、もっと良い価値の発揮の仕方があったのではないかと思わせる。

    さらに、首謀者たちに巧みに騙され、実行に手を染めてしまう実行犯たちも、搾取されているにも関わらず、なぜか首謀者グループに敬意のような抱いている点が本件に関連する犯罪の奇妙な点。

    トクリュウであったり、闇バイトであったり、その背景にある圧倒的な違法性や残虐性を包み隠すようなキャッチーなワーディングは、やはり誤った認知を起こし、判断力の未熟な若者や人間を勘違いさせてしまう。元々脱法ハーブという言葉も同様の認知齟齬を生んでいた気がするが、本作をきっかけにこうした犯罪の嗜虐性が広く伝わり、そして世の中から根絶されることを切に願う。

    0
    2026年09月24日

    Posted by ブクログ

    『ミカの一人勝ち』

    やはりメディアだけで知る情報は憶測や推測が多く正確な情報は得られていないんだなと感じました。
    読む前までは今村、渡邊の関係性は!?
    藤田、小島の役割は!?
    知らないことだらけで面白かったです。

    フィクションとしても十分物語になるような事件ですね。
    また、『順調に詐欺稼業が続けられた理由』『転機』『没落』全てが明確で分かりやすかったです。
    「日本で起こる詐欺事件はほぼ100%海外から行われているんだろうな」と思いました。
    以下、批判覚悟
    タンス預金が市場に流れるのであれば、被害者の感情云々は置いといて経済が回るので、個人的にはそこまで詐欺は悪質なものとは思えません。
    ただ、逆を言うと貧しい国からしたら形はどうあれ日本のタンス預金が自国の経済を回している。
    このような考えもできると思います。
    違法であれ、黒い金であれ、その国が経済的に潤うのであれば、フィリピン警察のようなケースは撲滅できない。=特殊詐欺は撲滅不可能
    と感じました。
    結局のところ、1人勝ちはミカですね。彼女が1番の策士ですw

    0
    2026年08月14日

    購入済み

    ルフィ事件

    犯罪に手を染めたワルたちを確かな筆力で浮き上がらせてくれた。まさにルポタージュ。こんな悲劇が起きないことを祈る

    #ダーク

    0
    2026年07月30日

    Posted by ブクログ

    話題作、事件としてもインパクトか大きかった。

    しっかり、話を聞いて書き上げているのが面白い。山田を冷めたように見ながらも、山田の話をきちんと書く。弁護士さんの思いにも共感している。

    フィリピン人はバカじゃないっていう、ミカのフレーズがぐさっと来る。

    0
    2026年09月12日

    Posted by ブクログ

    ルフィ事件の主要メンバーの出自からその崩壊までのノンフィクション。
    チャイニーズマフィアがやってた詐欺のスキームを盗みフィリピンで振り込め詐欺の牙城を築くも敵対組織にハメられ、さらに賄賂絡みで現地の女にも騙され手を出した覚醒剤ビジネスでも3度も騙されて追い込まれた挙句の強盗事件、そこからの崩壊とまんま犯罪小説の起承転結だった。
    渡邉のカリスマ性と人身掌握が肝なんだろうがノンフィクションゆえにあまり描かれなかったのが残念。
    ただ、読んでての主役はその出自ゆえに掛け子で荒稼ぎして敵対組織への潜入までやった山田と、渡邉を完全にハメて最も重要な存在となった渡邉の妻のミカという、「女の物語」だったように思う。

    0
    2026年09月03日

    Posted by ブクログ

    寂れた町に生まれ、貧しき家庭に育つ。親は別離し、学校では虐めに遭う。卒業後は風俗で食いつなぎ、やがて闇の世界に誘われる。頭角を現し、実行する側から指示する身分へ。自らは安全地帯へと、拠点を海外に移す。莫大な利益を稼ぎ、豪遊する。いつしか足が着き、拘束される。秩序のない現地の刑務所。金がものを言い、奔放な生活は続く。再び迫る危機。更なる逃亡を企てて、遠隔での強盗事件を引き起こす。…彼らの生きてきた意味は?何故、闇バイトに人が群がるのか?指示に従う行動原理は何なのか?事件が照らすこの世の一端。学ぶことは多い。

    0
    2026年08月01日

    Posted by ブクログ

    特殊詐欺・強盗集団ルフィグループの構成と犯罪のあらましを、被告たちの証言から組み立てた書。
    強固な組織が少しずつ瓦解していく様子がよくわかる。
    差別・貧困・格差を地道になくしていくことが、こういった犯罪の抑止につながっていくと改めて認識させられる。

    0
    2026年06月17日

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