あらすじ
付加価値が生み出せる経営者とは、
「情報処理に優れた管理者」か? 「新しい戦略の創造者」か?
経営者の創造性とは、他の経営者が何も見ないところに問題を見いだし、他の経営者が方向を失うところに問題追求も道を見いだすことにある。
優れた経営者が外部の他の経営者や外部の投資家に対してもつ優位性は、単に現場の情報を知っていることではない。それらの近位項(手がかり)を用いて、自社の本質を見抜き、未来に向けて発展させるための理論を構築する「暗黙に知るプロセス」に優れていることが経営者の優位性を支えているのである。
優れた経営者とそうでない経営者の差は、同じ情報を得ていても会社を発展させられる構想が創り出せるか否かという点にあるのである。経営者の〈付加価値〉の本質的な差は、この暗黙の統合を行なう思考作業の濃淡にあり、その思考を展開する熟練の高低にある。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
経営者の付加価値は何か?という経営学の根源的な問いを、GEのウェルチ、日立などを事例に取り上げながら、考察した骨太な一冊。難解ですが、読む価値があります。
【メモ】
・多角化企業の経営者がファイナンスの知識のみで仕事を遂行するなら、資本市場との対話は可能だとしても、その経営者の付加価値がどこにあるのかわからない。資本市場側から要求されていることが何であるのかを理解した上で、それとは別に経営者としての独特の工夫を行って独自の貢献を生み出していなければ、経営者の付加価値は主張できないはずである。
・同じ現場情報を得ても、異なる景色を見ていて、異なる答えを出せる、という点に経営者の付加価値があり、そのような独自の思考を展開していなければ付加価値があるとはいえない、と考えることができるのではないだろうか。
・多角化企業の経営者は、事業部長と頻繁に対話を重ねながら、事業部長とは異なる視点から深い深度の戦略マップを独自に構築していくことができれば、事業部長や単一事業企業の経営者や外部の投資家とは異なる役割を果たしていくことになり、独自の付加価値を主張できると考えられる。
→複数の事業部が共通に活用しているコア・コンピタンスに関する洞察は多角化企業のトップ・マネジメントが行うべき機能であろう。
・事業の生成と閉鎖という新陳代謝のプロセスを創始し、自ら戦略実行管理のための因果理論を構築し続けることが経営者の付加価値を主張する上で不可欠なのである。
・コア・コンピタンスを考え、そこから事業ポートフォリオを創造するところに、多角化企業の経営者の独自の付加価値を主張できるのである。