【感想・ネタバレ】経済学は死んだのかのレビュー

あらすじ

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経済学が生き返る道は「現実」の中にある。「経済学不信」の原因を探り、再生への処方箋を示す。

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Posted by ブクログ

皮肉な話だ。

サミュエルソンの助手を務めたマートン。彼は、株式投資のオプション理論の論文で有名になった。数学の天才と言われた。サミュエルソンは合理的期待仮説を投機的な株式市場の分析に適用していったのだが、そこでマートンの協力を得たのである。サミュエルソンがマートンにこう言ったらしい。「若いの、もし君の頭脳がそんなに優秀ならば、なぜ君は金持ちではないのかね」マートンは元々自ら投資もしていたが、その発言をきっかけとしてか、MIT教授のポストを捨ててウォール街にとび込んだ。ところが、ロシアの通貨危機のあおりを受けて大損。自分たちで開発した金融工学の理論を実践して証券投資を行なった結果、大損したばかりか、アメリカの金融市場に大混乱をもたらしたというのである。

この話は、何やら経済学の破滅を象徴しているようにも聞こえる。しかし、冷静に考えると、経済学は個人の金もうけに役立つことを言っているわけではない。それとこれとは別。果たして、経済学は死んだのか。経済学は期待されぬ学問のままなのか。

本書は経済学のよもやま話が多く紹介されるもので、残念ながらそこの生き死にの考察を究極に深めていくものではない。寧ろ著者の持論である「法人資本主義」的な主張の方が目立つ。それらの読み物を楽しみつつ、著者自身の主張に触れる本だった。それはそれでという事で、それなりの収穫。

ー 日本の場合は会社=法人による所有に基づいた経営者による支配である。そこでは会社が主役であって、経営者は会社を代表しているのだが、その経営者は会社に奉仕し、会社に忠誠をつくすことで経営者になったのであり、それはまさに「会社人間」である。その経営者がお互いに相手の会社の大株主として、相手の会社を支配する。そこから必然的に経営者は自分の会社を支配するようになる。というのはa、b両氏がもし対立したら、両方とも株主総会で相手から取締役を解任されることになるから、絶対にそういうことはしないからだ。相互に言認し合うことによって自分の経営者としての立場を守る。それによってa氏はA社を、b氏はB社を支配することになる。こうして資本家に代わって経営者が会社を支配するようになったのだが、そこに貫かれているのは会社のために忠誠をつくすという会社本位主義である。

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2024年11月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

未曾有の経済危機にあるにもかかわらず経済学者は押し黙ったまま。そもそも経済危機の解明に対して全く無力な彼らには誰も期待もしていない。現在の日本の経済学者は外国から理論を輸入して解説するだけ。経済の審議会のメンバーになってはいても主張が尊重されることはなく、ただお飾りに利用されているだけに堕している。本来ならば経済の現実から出発して調査研究して理論化するのが経済学。今こそアダム・スミス、マルクス、ケインズが踏み行ってきた原点に立ち返って、経済学のあり方を根本的に変える必要がある。著者は訴えるが、定年退官した教授の言葉には迫力の欠片も感じられない。寧ろ後進のことを省みない無責任人間としか思えない。ジャーナリズム批判も何をいまさら感が漂うだけで新味の欠片もなかった。

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2012年07月10日

Posted by ブクログ

日本では、研究テーマを決めて、先行研究を学んで、問題意識を立てて、仮説を立てるという順番だけれど、海外ではまず自分の問題意識から仮説を立てて、その後先行研究を調べて検証するという手順ということ。
なるほど、と思う。まずどう考えるか、というのを大事にできる自由、その後で現状を分析する謙虚さ。。。普段のミーティングなんかでもこういうことがさらりとできる人になりたい。

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2011年09月11日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
経済学が生き返る道は「現実」の中にある。
「経済学不信」の原因を探り、再生への処方箋を示す。

[ 目次 ]
第1章 経済学の危機
第2章 マルクスはジャーナリストだった
第3章 現実に直面したケインズ
第4章 日本の輪入経済学者
第5章 経済学者の忘れ物
第6章 調査に基づく研究
7章 改革への道

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2011年05月30日

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