あらすじ
横道世之介39歳、この一年もきっと愛しい
『国宝』をはじめ、数々の名作を世に送り出してきた著者による、もう一つの代表作「横道世之介」シリーズの三作目。
39歳になった横道世之介は、カメラマンとして生計を立てている。
世之介が暮らす「ドーミー吉祥寺の南」には、元芸者の祖母が始めた下宿を切り盛りするあけみちゃん、最古参の住人である元芸人の営業マン・礼二さん、書店員の大福さんに、大学生の谷尻くんが暮らしている。ゆるやかで、ありふれた毎日の中に突如現れたのが、世之介の知り合いのベテラン教師・ムーさんの引きこもりの息子、一歩。
個性豊かな住人たちと騒がしく暮らす日々には、見逃してしまいそうなほどに何気ないきらめきが満ちている。季節は少しずつ移り、世之介は最愛の人を思い出す。
カメラマンになっても、39歳になっても、世之介は、やっぱり世之介だ。
誰の人生にもあたたかな光を灯す、永遠の傑作。
(本書からお読みいただいてもお楽しみいただけます。)
単行本 2023年5月 毎日新聞出版刊
文庫版 2026年6月 文春文庫刊
この電子書籍は文春文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
横道世之介38歳。修学旅行や遠足についていって生徒たちのスナップ写真を撮ったり、レストランのメニュー写真を撮ったりするような、カメラマン。住んでいるところは、吉祥寺の田舎にあるドーミーという下宿屋で、そこには大学生(男)と20代書店員(女)と40代サラリーマン、それから修学旅行で親しくなった先生の家の息子(高校中退引きこもり)が住む。カメラマンとして一時脚光を浴びた先輩、同じ事務所に所属する後輩などが出てくる。ドーミーの経営者(親から引き継いだ娘さん)とは恋人関係であるらしいが、七年前に亡くした婚約者を引きずっている。今回の世之介は、そんな状況である。
みんなで集まってご飯を食べたり、誰かの話をしたり、どこかへ行ったり、そんななんでもない日々の生活が紡がれる。そんな中で、誰かの心配をしたり、ちょっと仕事が認められたり、小さな起伏がやってくる。もうじき40歳になるにしては、浮ついたような生活をしているように見えるが、内心焦ったり悩んだりはしているものの、今、ここを大事にする世之介の生き方は、変わらない。ああ、素晴らしい小説だなと、あらためて。やっぱり私、吉田修一さんが、一番好きな作家だ。以下、好きなところの抜き書き。
「でもどんな人に出会うかなんて、なかなか自分じゃ選べないじゃん。だったら、せっかく出会った誰かを大事にする方がいいんじゃないかなって」
「なんていうか、結局、幸せってその低いところにあるような気がするんですよね」
「人ってさ、変われるんだよ。土下座してる南郷さん見て、俺、なんかそう思ったなー。嫌な奴に変われた人間はさ、同じようにいい奴にも変われるんだな。変わる才能があるんだから」
「もし一億円当たったら、どうしようかなーと、宝くじを買って以来、ずっとそう思っていたのは間違いない。
そしてそう思っているときの幸福感と言ったらなかったのである。」
「な、なんで生まれてくるかって。……それはあれだよ。なんでお前が生まれてきたかって言うとね、前世でお前がいろんな人を大切にしたんだよ。そのいろんな人たちがまた生まれ変わって、今のお前を大切にしてくれてるんだよ……」
「世之介は小さな春でも探すようにベランダからの景色を見渡した。「そうだなー。俺だったら、こう思いたいかなー。『あー、いっぱい笑った。あー、いっぱい働いた。いっぱいサボって、そんでもって、いっぱい生きたなー』って」
Posted by ブクログ
カメラマンになった39歳の横道世之介。
東京郊外の下宿「ドーミー吉祥寺の南」を舞台に、一癖ある住人たちや、新しくやってきた引きこもりの青年・一歩と織りなす日常の物語。
この物語を読んでいると、「どういう生き方が幸せなんだろうか」とふと思います。
どんな人に出会うかなんて、なかなか自分じゃ選べない。だったら、せっかく出会った誰かを大事にする方がいいんじゃないか――
こんな世之介の生き方を見ていると、これこそが幸せな生き方として大切なことなのかなって思います。
Posted by ブクログ
死ぬ時に、いっぱい生きたなーと思えるような人生を、送りたい。
生まれ変わったら、今世で愛した人の生まれ変わりに愛されるって考え方、とても素敵。
Posted by ブクログ
長いこと小説読むようになってだいたいミステリー小説のようなものが好きで事件が起きれば起きるほど引き込まれて、、、みたいなタイプだったんですが相変わらず特にこれといって起こらない。
そこが魅力で、登場人物みんなが魅力的です。
たまーに過去作とやや絡んでくるとこもありますけど読んでなくても楽しめます。
ブータン人の考え方が素敵すぎて胸打たれました。どっかにも魅力的なブータン人いたなぁと思ったらアヒルと鴨のコインロッカーでした。
そちらも最高なのでぜひ!
Posted by ブクログ
文庫が出たら絶対に買うぞと思い、約3年。ついに文庫化。上下巻一気に購入。
貧乏暇なしのカメラマンになった世之介。
大学生時代からずっと見守ってきたけど、ずっと頼りなくて、でもなんだか憎めなくて。ちょっとした事件も笑って丸く収まってしまう。
そして、出てくる人たちがみんなクセの強いいい人たちばかり。
世之介はやっぱりいいなぁ。
続きは下巻へ。
Posted by ブクログ
前作、前々作もそうだったが、読んでいるとその情景が頭に浮かぶような描写ばかりで、その空気感がさらに登場人物の気持ちを伝えてくれる。
出てくる人たちがみんな暖かく安心して読める。下巻も楽しみ。
Posted by ブクログ
シリーズ3弾!カメラマンになった世之介、20代から30代であり40手前、それでも世之介は世之介なんだぁ。そして序盤に著者の説明(ボケ?)が秀逸!さぁ下巻だ!
Posted by ブクログ
『横道世之介』シリーズ第3弾。
39歳となった横道世之介。カメラマンとして細々と生活しながら、『ドーミー吉祥寺の南』で暮らしている。祖母からドーミーを引き継いだあけみちゃんとは、未だ籍は入れずに同棲中。元芸人のサラリーマン・礼二さん、書店員の大福さん、大学生の谷尻くん、中学教師ムーさんの引きこもりの息子・一歩、の『ドーミー吉祥寺の南』の住人たちとの日々を送っている。
なんとなく、生きる世之介。ふわふわと中に浮いているように。
変わらない、本当にずっとこどものままだ。
亡くなった恋人・二千花を忘れられないために、あけみちゃんとの関係も…
あけみちゃんにも、『2番目』と言ってしまう始末で。
本当に小学生かと…
誰からも愛される世之介。
世之介の周りにはほんわかとした雰囲気が生まれる。たとえ、南條さんであっても。
なんなんだろうな。
このまま世之介はどうなるんだろう。
あけみちゃんとは⁇