【感想・ネタバレ】リラの花咲くけものみちのレビュー

あらすじ

母を亡くした岸本聡里は、父の再婚相手とうまくいかず不登校になっていたところを、祖母・チドリに引き取られた。ずっとかわいがっていた犬や、祖母の家のペットたちとのふれあいから、少しずつ生きる気力を取り戻し、獣医師を目指すようになる。北海道の大学に入学し、「動物を診る」ことの厳しさにくじけそうになる聡里を励ましてくれたのは、友人たちや、動物たちだった――。少女が大きく成長していく姿を描いた感動作!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

壁にぶち当たって前に進むか引くかの判断を迫られた時に、前に進むことが賞賛されることが多い気がしますが、時には逃げることも必要で、かつその判断をするには周りの人のサポートが必要なことも多いので、生きていく上では前に進む勇気と同じくらい、周りに助けを求める勇気も必要だなと思いました。

0
2026年08月16日

Posted by ブクログ

単行本が発売された時に読んでいたので、今回文庫本での再読。以前の感想や心に響いたフレーズを読み返したり…。今回も読み終わって、この作品を読んでよかったって思う感想は全く同じなのに、心に響いたシーンやセリフが違うことに驚いた。きっと、何度読んでも、その度に気づきや学びがある作品なんだなと思った。

0
2026年08月15日

Posted by ブクログ

ステップファミリーで不登校、ネグレクト状態の少女が、祖母に助け出される。その状態からは考えられないけれども、努力して諦めないで、、でも逃げたりもするけれど、獣医師になるまでのストーリー。涙なくして読めません。

人間を診る医師よりも、獣医師の方が、動物の数だけ学ぶことがあって、伴侶動物、産業動物等、飼い方?によっても考え方が違う。難しいし、奥が深いと感心しきり。そんな獣医師の世界が垣間見れたことも面白かったです。

0
2026年07月27日

Posted by ブクログ

心が揺さぶられる、大変優れた小説だった。

物語は、主人公の聡里(さとり)が獣医学を学ぶため、付き添いの祖母と共に北海道の大学に到着する場面から始まる。

山場は入学して間もなく訪れる。聡里は入寮してすぐ、同室の綾華から理由もわからないまま嫌われていることに気づく。
ある日、そのことで二人は対峙し、聡里は自分が嫌われる理由を知ることになる。けれど、その理由となった「ある物」には、これまで誰にも語ることのなかった、他人には計り知れぬ背景があることが聡里の口から明かされる。ここで私たち読者は、孤独で凄惨な時期を過ごしてきた、聡里の人生の一端を知ることになるのだ。
そして、その事実を知った綾華の態度はここから一変する。二人の間には確かな友情が育まれてゆき、お互いの存在が大学生活のかけがえのないものとなっていく。

聡里の大学生活は、学業の厳しさと経済的な制約もあり、決して華やかなものではない。登場人物もかなり限られているせいか、物語はある意味で淡々と進む。けれど、胸が締め付けられ、涙があふれる場面が何度かあり、いつの間にか聡里に強く感情移入していた。

この物語を通じて、自分のことを本当に思ってくれる人の存在がどれだけ生きる力になるのか、そして、人と交わり、他人の人生の歩みや考え方を知ることがどれだけ自分の生き方に彩りを与え、心を育ててくれるのかを深く教えられた。
そして、今の自分の悩みや苦しみも、聡里のそれと比べたら大したことではないと思えるし、聡里のように心優しい人間でありたいと思わされた。

作中で、鳥好きの同級生・残雪君が教えてくれたいくつかの知識もおもしろかった。「鳥は羽の模様で互いを見分けている。空を飛びながら自分と同種の羽の模様を見分けて、つがいになる」という話。
真偽のほどはわからなくとも、人間もまた、目に見えない共通の「模様」のようなもので惹かれ合っているのかもしれないな、と想像が膨らむ。

偶然だが、聡里が学んだ実在する大学には、私の周囲に縁の深い人が多く、個人的に強い思い入れがある。
私自身は遠く離れた場所に暮らしているが、小説に出てくる江別や野幌といった場所には何度か訪れたことがあり、親しみ深い。私にとっても、青春時代の一端を織りなす場所ともいえる。
そういう意味でも、心の底から「読んでよかった」と思える大切な小説になった。

0
2026年06月28日

Posted by ブクログ

最後の事故の描写は唐突だったけど、全体として聡里の成長や変化が丁寧に描かれていて、よい物語だと思った。残雪との恋の物語もいつか読んでみたいと思った。

0
2026年08月16日

Posted by ブクログ

◼️ 藤岡陽子「リラの花咲くけものみち」

ドラマシーズン2あるそうで嬉しい。獣医を目指す女性・聡里の北海道での奮闘・成長。

藤岡陽子氏は「手のひらの音符」が少しチクチクする感触だったのでやや暗い物語を書く人なのかも、というイメージがあった。ドラマを先に観て、SNSのやりとりでお互い「ドラマを観て椋鳩十「大造じいさんとガン」という作品が残雪という登場人物の名前の由来になっているから読んでみた、という話で盛り上がり、原作もぜひ読んで、と薦められていた。帯でドラマのシーズン2があると知り、楽しみにしている。

岸本聡里は小学生の頃実の母親を亡くし、継母が愛犬を嫌い処分するのを恐れて不登校に。15歳で祖母チドリの家に引き取られる。祖母の勧めで北海道・江別にある北農大の獣医学部に進学する。憧れを実らせた形だったが、実習期間の馬の出産で母馬を救うためのショッキングな措置にパニックを起こし、大学をやめる気持ちで東京のチドリのもとへ帰ってしまうー。

聡里は山田杏奈、最初はソリが合わなかったが後に親友となる綾華に當真あみ、同期で鳥の研究に入れ込む残雪が萩原利久、先輩で初恋の人・一馬は佐藤寛太、その恋人に石橋静河、チドリは風吹ジュン。それぞれ想像しながら読んだ。北の大地に若く爽やかなキャストは好感度大。

正直を言うと・・主人公の不幸な家庭環境、というのは最近の小説で多いなあ、軽いなあという感覚を持っている。しかし重要な意味を持つチドリとの関係性は、優しさと厳しさが相まって微笑ましく、そして哀しく、リアルさもある。

北海道の、本州とはまったく違った土地柄と、牛や馬などの大動物を育てる農家の環境、伴侶動物とされるペットへの人間の接し方を丹念に描き、その中で成長していく聡里。様々な考え方や態度、立場が盛り込まれている。知的好奇心が刺激され、思い入れも入り、北への憧れもあり、読み込んでしまう。

説得力のあるベースを積み重ねていて、主人公が自分の道を定める場面では、分かっていたけどやっぱり感動した。チドリや綾華、残雪ら心を許せる友人たちとの会話も軽妙でいて温かく、各シーンも絵が浮かぶように書かれてもいて、工夫を感じる。

口数も少なく、引っ込み思案、頼りなかった聡里の、本当の意味での"巣立ち"。読む大人はアオハル時代の自分を回顧し、大人への階段を昇る自分の姿、将来へ踏み出した時のことを思い出すのか。北の大地への憧れと、動物たちの息吹、生きる熱と死、溌剌とした若者たち。多くの要素が魅力的な小説世界を組み上げている。

ラスト、6年後のエピローグ。読後感が良い。ドラマは原作から少し飛躍しているようだが、それでも楽しみだ。小説も2をぜひ書いてほしい。

0
2026年07月30日

Posted by ブクログ

心に残る描写が多く、動物の命に向き合う仕事の厳しさや、人の優しさが丁寧に伝わってくる作品だった。特に、言葉ではなく行動や小物、食卓の様子から登場人物の気持ちを表しているところが印象的で、細かな表現にも温かさを感じた。登場人物たちの不器用な思いやりにも心をひかれた。ただ、序盤の衝撃が強かったぶん、後半は少し勢いが落ち、魅力的だった人物たちの出番も減ってしまったように思う。主人公の成長や救いのある展開には安心したが、終盤にも序盤と同じくらい心を動かされる場面があれば、もっと忘れられない作品になったと思う。

0
2026年07月23日

「小説」ランキング