あらすじ
◆スマートワークの実現という明確な目標が企業のDXを推し進める◆
DXという言葉自体は浸透したものの、日常業務の中で実感できる変化として定着していないという課題があります。そこで、いま改めてDXの設計図としてのエンタープライズアーキテクチャ(EA)が着目されています。
本書は、ベースとなるEAの概念を押さえつつ、リモートワークなどの多様な勤務体系を取り込んだ「スマートワークEA」を再定義し、企業のDXアーキテクチャに組み込む次世代アーキテクチャを提示します。MUFGにおける事例をもとに解説しますが、企業全体のEAとは疎結合で切り出すことができる体系のため、業種や規模の大小を問わず参考にしていただける内容となっております。
■こんな方におすすめ
・企業のIT部門や情シス担当者など、社内システムの設計・構築にかかわるエンジニア
■目次
●第1部 DX構想の前提と全体像
第1章 DX推進とスマートワーク
第2章 思いどおりに進まないDXの正体
第3章 DX時代におけるEAの再定義
●第2部 スマートワークEA 検討編
第4章 スマートワークEAの全体像と活用方法
第5章 To-Be構築に向けたアプローチ
●第3部 スマートワークEA 成果物編
第6章 アーキテクチャビジョン
第7章 スマートワークEA 共通BA
第8章 スマートワーク実現
第9章 事業継続
第10章 業務高度化
第11章 グローバル展開
第12章 グループ展開
●第4部 アーキテクチャ推進編
第13章 推進の格子
第14章 推進するために必要な思考
第15章 超上流工程
■著者プロフィール
中村 祥(なかむら しょう):三菱UFJ銀行 システム企画部 DX推進グループ所属。システム開発運用シニアエキスパート。青山学院大学卒。金融分野におけるミッションクリティカルな基盤を中心とした業務に従事。2005年、国内大手SIerに入社し、マーケットデータ配信を行う証券向けSaaSサービスのネットワーク基盤構築に携わる。2011年、国内大手クレジットカード会社にて、データセンター、BCPセンター、対外接続、国内拠点、海外拠点、PCI DSS対応など、大規模ネットワークの企画・構築・運用を担当。2018年、三菱東京UFJ銀行(現、三菱UFJ銀行)に入行し、MUFGグループ横断のインターネット接続基盤共同化の企画・構築を推進。2020年以降は、MUFGスマートワーク基盤の企画・推進およびチームリーダーを担い、IT・DX領域に従事。働き方領域を起点としたDXアーキテクチャの実践に取り組んでいる。
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Posted by ブクログ
三菱UFJフィナンシャルグループの端末環境の変革プロジェクトに関する解説書。直接関わったわけではないが、プロジェクトの噂は聞いていたので、興味があって読んでみた。
構成は大きく検討編、成果物編、推進編の3つに分かれており、それぞれの感想は以下の通り。
●検討編
システム企画を作るために、Enterprise Archtecture(EA)のフレームワークを使って整理・検討していく。内容はきれいに整理されていて、すらっと読めて納得できるのだけど、ここに行き着くまでには相当苦労したんだろうなぁ、という印象。あと、このレベルの企画を通そうとすると、会社全体のビジネス戦略・IT戦略だけでなく、purpose/mission/visionという上位方針とも整合性をとった形で経営層の承認を取らないといけないので、なかなか大変である。つまりは、簡単に見えて、メチャクチャすごい話である。
●成果物編
前章の検討編で検討した結果をまとめた章。ゼロトラストについてある程度知識があると、それほど目新しい情報はない。でもこの章の価値は目新しさにあるわけではなく、企画書として実現する方向を定義していること。プロジェクト開始した後はプロジェクト憲章として使うことを意識して作られていて、超上流の成果物として非常に参考になる。
●推進編
一番著者の自我が出ている章。大企業で大きな変革を行うときに必要となる人間思考に焦点を当てているのが特徴。前章までは割と淡々と企画について論理的に説明していたけど、認知バイアスや組織の原理にも注目しないと、机上の空論で終わってしまうことを意識している。好みの章である。
●全体の感想
通常エンジニアとしては要件定義から入ることが多いけど、その前段の超上流工程について、具体的に書かれていて参考になる。読みものとしては淡白で面白みに欠けるが、詰め込まれた論理と知性と苦労を推察できる良本だった。