あらすじ
明治十八年、坪内逍遥が初めて西欧近代小説の理念を導入し、小説の芸術としての独立性を『小説神髄』で主唱して以来、私小説を中心にして文壇という特殊社会でわが国特有の性格を形成してきた近代文学の動向と特質と変遷、その主要文学者と文学作品を鳥瞰する。そしてその間に試みられた方法や作風の多様性のなかに日本文学の内発的可能性を求め、世界同時的性格をもつ現代文学の不毛性を克服する方途を模索する。
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Posted by ブクログ
文豪同士(たとえば川端康成と太宰治と三島由紀夫)の活動時期の重なり方とか、文豪の活動時期と戦争の時期の重なり方などが全然わからなかったのだけどこれを読んでかなり整理された。世代ごとの特徴などがわかり、各世代によって何を獲得してきたのかがわかりやすかった。好みの作家を探すためのガイドとしても有用だ。ノーベル文学賞を川端康成が受賞したのが1968年と、かなり最近だったことが意外だった。また、谷崎潤一郎の作風や「第三の新人」と呼ばれる世代の特徴なども掴むことができた。
Posted by ブクログ
日本の近現代文学の大きな流れを、新書一冊で概観できる本です。
作家名とタイトルがカタログのようにずらっと並んでいて、その内容には踏み込んでいないところもありますが、単なる項目ではなく文章の流れの中で、それぞれの作品の置かれている位置が理解できるようになっています。もちろん本書のまとめ方に関しては、やや強引ではないかと思われる節もありますが、強引さを批判するよりも、そういう形で日本の近現代文学を一目で見渡せるように整理して見せたところに、本書の価値を認めるべきなのではないかと思います。