あらすじ
加速するテクノロジーに呑まれてはいけない。
効率化や最適化からいったん降りよう。
カオスな生産性のサイクルから“堕落”するのだ。
堕落こそ正義。堕落こそ希望。
あなたの本当の居場所はそこにしかない。
“デジタルツールと無縁に生きる異能の芥川賞作家”田中慎弥
“最先端のデジタル技術を駆使するトップアーティスト”落合陽一
――対極の2人が説く、健全なる「堕落」のすすめ。
「疲れ切って昼寝するのは堕落じゃない。疲れていないのに昼寝するのが正しい堕落のあり方です」(落合陽一/本書より)
「みんながせかせか働いている昼間に酒を飲む。私だけが止まっている感覚。その時間のズレの中にこそ、自分というものが浮かび上がってくる」(田中慎弥/本書より)
■目次
第1章 コスパに抵抗する「堕落の思想」
・不機嫌と孤独の正体
・通知音に支配される生活は滑稽
・仕事の行き詰まりの対処法
・人類はほどなく文明を手放す?
・坂口安吾と現代の「堕落論」
・合理性に満ちた“ディストピア”でいかに堕落するか
第2章 「想像力」とは何なのか
・AIとの対話は、神との対話
・人間に残された最後の領域は「選ぶ」こと
・安易に「答え」を出すな
・人は物語なしに生きられるのか
・過度なテクノロジーを押し返す宗教的作法
第3章 非生産的行為の効用
・言葉は思考に先行する
・「おもしろがる力」にまさる武器はなし
・「新しさ」と「わかりやすさ」の対立
・プチ・ドロップアウトのすすめ
・堕落的な先人たちに学ぶ
第4章 堕落と豊かさ
・どこにも行き着かないという幸せ
・「豊かさ」こそが人生の万能薬
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
テーマが自分にはすごく刺さった。
コスパ、タイパ、結果を求めて加速する現代社会から欠落していっているのは豊かさだった。
堕落とは、その豊かさを取り戻すための行動でもあるという。
それこそテックの最前線を走る印象があった落合陽一が、真逆の印象を持つこのテーマについて深く議論している様も興味深かった。
そして対談相手の田中慎弥の俗世離れした生き様や、そこから得られた独自の視点をもって、落合の立てる問いにこうではないか、ああではないか、と探っていく様もまた興味深い。
AIをはじめとした最新技術によってより多くの成果を得るように加速していく情報化社会の中で、人間が豊かであり続けるためには、適度に人間らしい振る舞いに耽溺することが必要なのだ。
Posted by ブクログ
「まっとうに堕落している」これは、落合さんが田中さん持っていた印象である。
読む前は、世捨て人みたいなことを堕落というようなイメージを持っていたが、この本で堕落のイメージが変わった。
世の中が求めるものに正しく答えるのではなく、そこから敢えて外れていく。これが堕落なのかなと。
新たな視点を一つ教えてくれる本でした。
Posted by ブクログ
男性2人の対談は珍しくもないが、タイトルに惹かれて読んでみた。男性による男性のための『堕落論』だと思った。この本を自分の人生に引き寄せて読める女性はどの程度いるのだろうか。共感できないところが多々あって、常識やら固定観念やらから自由になって、「自分独自の世界を作り上げていく」というような言説があったが、人間という普遍的な存在が念頭にあるわけではなく、男という生き物について論じているような印象を持ってしまうのは、私だけだろうか。