あらすじ
ひどく酔っていた私は、ビルの谷間で見知らぬ男ともみあっていた。相手を突き倒し、落ちた免許証入れをひろって顔を上げると、きれいな三日月が。翌日、免許証入れを取り違えていたことに気づいた私は、夜のニュースであの男が殺されたことを知った……(「目撃者は月」)。なにげない日常に忍び寄る殺人の影。名手が巧みに紡ぎ出した傑作短編集!
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Posted by ブクログ
著者がさまざまな雑誌などに発表した短編をまとめた本です。ミステリではなく、著者のことばで「ふしぎ小説」、いわゆる怪奇小説と呼ばれる作風のものばかりで、ロジカルな解決策があたえられるわけではありませんが、本作のかもし出す不思議な雰囲気をたのしむことができました。
ただ、著者がミステリ作家として高名だということもあって、「あるいは叙述トリックのような仕掛けがあるかもしれない」と身構えながら読んでしまったため、本作の雰囲気を堪能するというところにまでは行き着けなかったという思いがあります。どちらかというと、乙一のホラー小説のように、もうすこし肩の力を抜いて読むことのできる内容だったように感じました。