あらすじ
著者書き下ろしの序文、吉川浩満による入魂の解説を収録!
なぜみんな、経済を語ろうとして間違えるのか? 『反逆の神話』の哲学者が右派の矛盾を突き、返す刀で左派も斬る。出色の入門書
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Posted by ブクログ
経済学の陥っている誤謬に左派も右派も踊らされ、いかに公共政策の失敗を犯しているかを指摘する。「経済は経済学者が唱えるような単純なインセンティブだけで動いているわけではなく、もっと込み入っている」、つまり経済学は、「科学的計算」を殊更に当てはめ社会性を無視した、理想主義的机上の空論だという主張だ。その切り口や例えはとても興味深い。
ただ本書の皮肉な言い回しや洒落た表現、また実直すぎて超訳を完全禁止した翻訳が、内容を理解困難にしている。著者は批判しているのか、賛成しているのか、どこに論点があるのか、それが解りづらい。
高級嗜好品に課税をすることにはかなりメリットかある。消費主義のステータスにはきりがなく、みんなが同じにステータスを上げる高級品を買えば相対的に全員ステータスはあがらない。そしてもっと嗜好品にお金を費やす。なので嗜好品への課税は消費主義ステータスの人にはインセンティブの問題が起こらない。U2は「RED」プロジェクトで既存のスニーカーやiPadなどにプロジェクトのデザインを施してさらに高値で販売。その収益の一部を福祉寄付にした。これは高級嗜好品課税と変わらないし、良いアイデアだ。企業や政府はこれをどんどん真似ればよい428
地球温暖化は、平等主義の福祉国家へ脱皮する途方もないチャンスだ。グリーン税は、その経済の効率という面たけでも充分正当化される。税それ自体にインセンティブ効果(二酸化炭素を減らすこと)により「採算がとれる」420
GDPは財の物理的生産高ではない、生じている取引の量だ328
「企業の存在意義はもっぱら株主へのリターンを最大化すること」は違和感。
企業は全般として利潤を生むことを目指す。、だが同時に事業を継承することを希望する。すなわち、社員に賃金を支給し、顧客を失わないようにし、仕入れ業者に支払いをし、銀行の貸付利子わ返済し、企業を倒産させないための数多い契約上の義務をはたす。株主への利潤分配は、実は最も犠牲にでき、企業が法的措置を伴わずに支払いを怠ることができる唯一の部門だ274
右派経済学者は「神の見えざる手」理論を持ち出し、「経済はまさに進化論の適者生存と同じように動く」と言う。しかし適者生存はそもそも種全体を必ずしも繁栄させないことがわかっている。クジャクの雄は種繁栄の求愛のため尾羽根を巨大化させる適者生存が起こった。しかし巨大尾羽根には鈍足や燃費悪が伴い、種全体の繁栄の妨げとなった。つまり適者生存(神の見えざる手)が国家や人間社会の繁栄に必ず適しているとは言えないし、むしろその障害になることもある63
あらゆる人が展開してきる経済的キャンペーンは、「もっと青信号を」という主張と同等。だれかの青信号は、他のだれかの赤信号だからだ41
嫌煙運動は喫煙者は喫煙が社会の医療費を大幅に棄損していると訴えるが、本当は逆だ。社会には原則があり「人は必ず死ぬ」ということ。喫煙の肺癌は基本的に治療不可だし、心臓発作はポックリ死ぬので安上がりな死にかた。喫煙者が喫煙していなければこの他の死に方をする。すなわち喫煙者は社会の医療費を大いに節約している。アナリストの試算では平均的なスモーカーは税引き前でもタバコひとはこあたり30セント社会に利益率を生んでいる32
1946年の経済学者ヘンリーハズリット以来、ほとんどの「大衆に経済学を分かりやすく教える」本の著者は遺憾だ。彼らは大衆の道徳意識や信念をただ「バカだ」と軽視する論法を戦略的にとる。これにより多くの人々が経済学を学ぶ機会を奪われた31
脱炭素社会に対する左派の矛盾。脱炭素を経済学をちゃんと理解して挑めばこうなる。
「多くの植樹を実現」するための最大の方法は「紙の消費を増やす」だ。紙生産が安定したビジネスならば市場は材料の木を植える。古紙リサイクルは脱炭素に背く。紙需要を減らすだけでなく、古紙を坑道跡に捨てれば、リサイクル作業による大気中への二酸化炭素放出も防げる。しかし左派は非論理的な理由をあげてこれらに反対する28