あらすじ
「切れ」が分かれば、俳句はこんなにも面白い!芭蕉の名句から現代の秀句まで、多くの例句をもとに、俳句の重要な要素のひとつである「切れ」を明解に解説。当代の人気俳人による画期的俳句入門書。
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Posted by ブクログ
『決定版一億人の俳句入門』(講談社現代新書)、『一億人の季語入門』(角川俳句ライブラリー)の続編です。
本書は二部構成となっており、第一部の「切れの基本」では、俳句において「切れ」がもたらす効果について解説をおこなうとともに、実作のさいに留意するべきことがらがていねいに論じられています。第二部の「名句の切れ」はさまざまな実例をとりあげた鑑賞の手引きです。とはいっても、ここでもじっさいに俳句を詠むことを志す読者が、「切れ」のつかいかたを学ぶことをねらいとしているといってよいでしょう。著者は、「俳句は数ある詩歌の中でも極めて実践的な文芸です。人の俳句を読むだけでなく、自分で詠んでこそおもしろい。同じように切れもまた自分で使ってこそ意義がある」と主張しています。
とはいえ、本書は優れた俳句をつくるためのテクニックを紹介している本ではありません。著者は、初心者に対して俳句の指導をおこなうさいに、「五・七・五の定型になっていること」「季語を一つ入れること」「切れがあること」といった基本的な約束ごとを教えることに終始していることへの不満を述べており、これらの約束ごとがいったいどのような理由にもとづくのかという問題に立ち入って考察をおこなっています。本書ではとくに「切れ」をめぐって、実作者の立場からそれがもたらす効果についての検討がなされており、俳句に興味をいだく多くの読者にとっておもしろく読むことのできる内容になっています。