【感想・ネタバレ】江戸の戯作絵本 3のレビュー

あらすじ

まさかの展開
忠臣蔵は美談か? うさぎが死ぬとどうなる?
常識を覆す黄表紙作家の自由奔放さ
黄表紙作者の手にかかれば、あの忠臣蔵も――。井上ひさし氏がSF的と評した『莫切自根金生木』など、目を見張る名作十七本を収録。

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黄表紙作家の手にかかれば、多くの日本人が快哉を叫ぶ忠臣蔵でさえ、なんとも残念なお話に。浅野内匠頭が短気を起こさなければ、みんな死なずに済んだのにね、というのが佐竹藩留守居役でもあった朋誠堂喜三二のうがちだ。本巻には、世の中の常識をひっくり返して、人びとをうならせたり、笑わせたりした作品17本を収録。井上ひさしをして「SF的発想」といわしめた『莫切自根金生木』や、うさぎが切腹して真っ二つになり、上半身から「鵜(う)」が、下半身から「鷺(さぎ)」が生まれたとする、最高度にくだらない『親敵討腹鞁』など、江戸っ子が競って読んだ名作をお楽しみください。
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【目次】
高漫斉行脚日記(こうまんさいあんぎゃにっき) 恋川春町作画
親敵討腹鞁(おやのかたきうてやはらつづみ 朋誠堂喜三次作・恋川春町画
参幅対紫曽我(さんぶくついむらさきそが) 恋川春町作画
案内手本通人蔵(あなてほんつうじんぐら) 朋誠堂喜三二作・恋川春町画
扨化狐通人(さてもばけたりきつねのつうじん) 伊庭可笑作・鳥居清長画
当世大通仏買帳(とうせいだいつうぶつかいちょう) 芝全交作・北尾重政画
通増安宅関(とおりますあたかのせき) 岸田杜芳作・鳥居清長画
吉原大通会(よしはらだいつうえ) 恋川春町作画
従夫以来記(それからいらいき) 竹杖為軽作・喜多川歌麿画
莫切自根金生木(きるなのねからかねのなるき) 唐来参和作・千代女画
天道大福帳(てんとうだいふくちょう) 朋誠堂喜三二作・北尾政美画
明矣七変目景清(あくしちへんめかげきよ) 山東京伝作画
時代世話二挺皷(じだいせわにちょうつづみ) 山東京伝作・喜多川行麿画
孔子縞于時藍染(こうしじまときにあいぞめ) 山東京伝作・北尾政演画
黒白水鏡(こくびゃくみずかがみ) 石部琴好作・北尾政演画
京伝憂世之酔醒(きょうでんうきよのえいざめ) 山東京伝作・兎角亭亀毛画
的中地本問屋(あたりやしたじほんどいや) 十返舎一九作画

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Posted by ブクログ

大人向けの読み物、黄表紙。
洒脱なナンセンスとパロディーは知的であり、
見立てと連想の妙が窺えるし、当時の江戸の話題や事件、
流行や言葉遊び等も巧みに取り入れている。
「親敵討腹鞁」は、「かちかち山」の後日譚。
狸の子が猟師と共に仇討ちに。主から兎の生胆を求められた、
爺々婆々の息子も登場。どうする兎!・・・って鵜と鷺!?
忠臣蔵や謡曲の趣向たっぷりだけど、ナンセンス。
八畳のきんたまが笑える。
「案内手本通人蔵」は、「仮名手本忠臣蔵」のパロディー化。
塩治判官が通人だったら、かの悲劇は起こらなかったと。
徹頭徹尾それを貫き、ハッピーエンドで終わらせるとは。
「吉原大通会」は、謡曲の天狗物を趣向とし、当代の狂歌師や
歌舞伎の古今の名優たちが勢ぞろいの、風流と洒落の愉しみ。
「莫切自根金生木」は、唸るほど金があるため、貧乏神を
祀ったり、いかに金を使うかに四苦八苦。逆転社会でも
金銭に振り回される人々の姿は、現実の裏返し。
「黒白水鏡」は、田沼時代の施策への批判、幕閣の内紛、
そして刃傷を、鎌倉時代の人物の見立てで、滑稽に描く。
余りにもあからさまな内容のため、作者も画家も処罰され、
特に作者は手鎖での江戸払という、筆禍で名高い作品。
「的中地本問屋」は、十返舎一九の苦し紛れの作品だが、
草双紙の製本過程が詳しく&愉しく描かれていて、
現代からすれば、江戸時代の製本の史料になっている。
表紙と綴じの工程が、書肆の家族作業だったとは~。
全三巻読破!
江戸時代の、寺小屋の隆盛と本の流通拡大の頃に、
持て囃された黄表紙。江戸への憧れを満たす流行の描写や、
歌舞伎や謡曲、読み物の趣向が散りばめられて発見する愉しさ、
そして逆転や擬人化の発想などの物語の面白さ、
鳥居清長や喜多川歌麿、歌川豊国等の画家の技巧など、
知的好奇心を満たす作品の数々は、江戸の文化の一端を
知ることが出来て、愉しかったです。
それにしても描く時代の制約があったからでの、鎌倉時代や
南北朝時代が趣向や見立ての舞台になっている作品が多いなぁ。
その一方、仏様の遊蕩なぞが制約されていないのも、面白い。

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2024年05月25日

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