あらすじ
日本の医療が崩壊するといわれて久しい。
医療費の高騰、モンスター患者、患者たらい回し、医療訴訟、小児科・産科の危機、医師不足、医学部新設問題、地域医療崩壊…ぱっと思いつくだけで、これだけの話題がある。
しかし、こうした医療の危機の陰には、あまり報道されないが、先にあげた問題と同じように深刻な問題も数多く存在するのだ。
本書は現役医師である著者が、医者という職業についている人たちのリアルな状況と問題点をさまざまな角度から描き出すとともに、読者一人ひとりが日本の医療を変えていくためにどう考え何ができるか、そのヒントを提示するものだ。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
娘も数年後にムラの住人になるのでσ^_^;
嫁さんから勧められて読んでみました。
なかなか大変な世界やなあと思います。
友人に医師が多いですが苦労してるんやなあと思います。
ただこういう内部事情って教えてもらわないとわからないので助かります。
Posted by ブクログ
医者ムラの真実。榎木英介先生の著書。医者ムラ、医療業界が抱える問題点をわかりやすく指摘している良書。医者ムラの問題を解決するには、部外者からの客観的な指摘や指導が不可欠に思います。
Posted by ブクログ
どの業界も裏があり、その裏は業界人にはわかっていてもなかなか表には出てこないもの。本書は医学界のウラについて書いてあるのですが、基本的には暴露本、そして、医学界の問題点を表面には表してはいるけれども、最終章までくると医学界に心身ともに捧げて貢献している人、そして、それを何とかそのような人を守るためにはどうすればよいのかという提言にまで踏み込もうとしていることに好感をもてました。
医学部は普通の学部の中で孤立化するとともに、逆に言えば医学部内での連帯感が強まり、連帯感は学閥、医局の権力集中が悪癖を産むことはデメリットかもしれません。逆に言えばその連帯感を壊してしまうと、それまであったメリットも、やはりなくなってしまう。著者が最終章に書いている、医師を本当に特別な存在から、普通の専門職とすることにより、制度設計をすることが自分としても今できる納得できる解決法でした。機会あればもう一度読みたい本だと思います。
以下、目次のみ引用。
第 1 章 誰が医者になるべきか
第 2 章 パンダと病理医 ~知られざる医師不足
第 3 章 取っても食えない博士号と基礎医学の危機
第 4 章 医者ムラの住人はインテリヤクザ?
第 5 章 医療を変えるのは誰か
Posted by ブクログ
医学部に編入にて入学し医師になった病理医が医者の世界の問題点を提起。
医学部・医師の偏在・医師を親にもつ医師・コメディカル・医薬品会社との関係・病理医不足・基礎系での非医師研究者 等 様々な問題点を的確に解説している。
これらの現実の解決策をこの本をもとに考えて行かなくてはならない。
Posted by ブクログ
医療現場について、その世界を知らない人に面白く読ませる名手。
医療エンターテイメントか!ってなる。
こういう本ってうっかりすると、内部暴露的というか、批判のみであったりするのだが、全体的な概要、なぜそうなったのか、取り入れた制度の利害、今後の展望についての記載のバランスが良くて読みやすい。
一度研究者になってから医師という道を選ぶような著者だから、視野が広いのかもしれないが、分かりやすい説明のみではなく1冊を面白く読ませるという力量はすごいなーと思う。
病理診断については、なるほど納得。チームバチスタ読者としては、死後の病理診断と言えばAiですよね!ってなるので、ここでAiが出てきてくれて嬉しい。
著者が繰り返し口にする「多様性」というものは、本当に、大切なものである。他者が居ると言うことで、自分とは異なる価値観を持つ人とともにあることで「仕事が思うがまま進まない」かもしれないが、「それでいいのか」と「当たり前を見つめ直す」ことが出来る。(別に相手が正しい、自分が正しいと言う話では無い)
日本などのムラ化した社会、共通的な認識を持った社会(とされているけれど、本当に日本がそういう社会なのかは謎)だと、異分子は「空気を読めない」と排除されてしまう。
その世界ではそれで良いのかもしれないが、その世界だけで閉じてしまえば、正しさの判断など付かないのでは無いだろうか。すべてがその世界だけで完結してしまえば良いのだが、病院の世界であっても、患者がそこを利用する以上、閉じられた世界では居られない。
最近話題になったとある国立大学での腹腔鏡手術で、異常なほどの死亡者が出ている件、これもムラの中ではそれで良かったのかもしれないが、それ以外では通用しない話で、患者主体で考えると……違うよなぁと。治験の臨床実験に関しても同様。
しかし患者主体で考えすぎると医師の負担が高すぎるとも思う。世で聞く医師や看護婦の過酷さというのは、私が想像している以上のものだと思う。
医師も自分の身を守ってこそ健全な医療が保たれると思うので、医師が頂点それ以外は下ではなく、医師や技師等が技術者、事務方がマネージメントというような体制を作り、医療業務を守る組織として病院が成り立たないと続かないのかもしれないな、と感じた。
Posted by ブクログ
今もよく見かける「医学博士」という肩書き。実は1991年から名称が変わり博士(医学)となっている。博士(農学)、博士(理学)と同列で、あまり知られていないが、博士(医学)と言っても必ずしも医師というわけではない。どんな学部にいようが論文を書いて医学部の大学院に提出すれば、この博士号が取得できてしまう。加えて、博士(医学)は他の学部に比べれば取得が非常に楽。例えば、理学部で博士号を取得するには、国際雑誌に英文の論文を3本は提出しなければならないが、医学部であれば一本あれば十分で、しかも「○○大学紀要」といった雑誌への掲載でよい。いわばホームで戦うようなもので、国際雑誌に掲載されるのとは雲泥の差がある。実際、データでみても博士号取得者の約4割は医歯薬保健系で占められている。また、他学部の院では博士号は必須であるが、医学部については、なくても全然困らない。
医療問題と言えば、高騰する医療費、モンスター患者、たらい回し、医療訴訟、小児科・産科・外科の危機、医師不足など、様々あるが、本書は、どちらかというと裏話的な内容。それはそれで新鮮であり、頗る興味深く読んだ。