あらすじ
名探偵シャーロック・ホームズの物語が人気を博する1932年、こちらロンドンはベイカー街。ホームズの作中住所に建つアビー・ロード住宅金融組合には、かの探偵の実在を信じる人々から依頼の手紙が届き続ける。組合で働くハリエットは、そんな手紙にひたすら「シャーロック・ホームズは引退しました」と断りの返事をタイプする日々を送っていた。しかしあるとき、メイドの失踪にまつわる切実な依頼を読んだ彼女は、ホームズの秘書を名乗り自ら調査に乗り出すことに……。名探偵に代わり挑む、変装、尾行、推理。清新なミステリシリーズ、堂々封切り!/解説=北原尚彦
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Posted by ブクログ
全体としては面白い小説だった。シャーロック・ホームズを憧憬するファンの存在は、私も含めて世界中に存在する。中にはその実在さえ妄信している人もいるかもしれない。そんな前提で始まる物語は、主人公ハリーの個性と相俟って痛快に展開していく。事件解決の最終盤が、推理や機転ではなくハリーの力業に因るところが、やや期待外れ。
Posted by ブクログ
主人公は、いかにも正典に登場しそうな、勝気な上流階級のご令嬢。
表層に見えている事件の裏で実は何某かの悪だくみが蠢いている…という構造も、正典に多く採用されている枠組みを踏襲していると言える。
パスティーシュという括りに入るかどうかは微妙だが、オリジナルの世界観を上手く著した作品であることは間違いないだろう。
ただ、長編の割にストーリーの細かいところは意外と粗いなという印象。
特に、終盤で示されるキーの1つとも言える手紙の暗号解読のくだりが、あっさりスルーで驚いた。
次作、次々作も既に世に出ているそうだが、何が何でも邦訳版を読みたい、という気にはならず。
実際にベーカー街221Bに相当するところに金融組合があり、ホームズ宛の手紙に対処する担当者がいたという史実は知らなかった。