【感想・ネタバレ】彼女のカロートのレビュー

あらすじ

長く単行本化が望まれてきた傑作小説、待望の刊行。
耳が聞こえなくなった女性アナウンサーからの依頼は、彼女自身のために新しい墓をつくってほしいというものだった。彼女とのどこかちぐはぐなやりとりが主人公の日常を静かに侵食していく表題作「彼女のカロート」。読むことに困難を抱えながら文学に殉じる青年がある〈宝物〉をめぐるシュールな冒険に巻き込まれていく「宦官への授業」。発表時に読者を衝撃と驚嘆の渦に巻き込んだ、1行ごとに読む快楽に包まれる2篇を収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

墓のメンテナンスをしている主人公。そこにニュースキャスターの世利まことから電話がかかってくる。彼女は耳が聞こえていないらしい。

村上春樹みたいだった。温度感の低いやりとりと、主人公も視点のキャラクターでは収まってくれない不思議な反応、超現実的なことがごく自然なふるまいのように起こり、人物たちもそれにいちいち大きなリアクションをしない。

耳が聞こえない人と1体1でいるとき、自分の声のほうが上手く発声できていないのではないか、自分では気づいていないが自分の声は口に出した瞬間に虚空に吸い込まれて音を発生していないのではないか、たしかに懐疑的になってしまいそう。

千葉雅也の解説よかった。登場人物や物語の展開自体が「カロート的」、その間合いに空虚=空間がある。それは「間抜け」というユーモアにも繋がる。
「あと、お墓ください」。会話の内容がどこか突飛で、まるで彼女の中には論理が繋がっているのだろうが我々にとっては不可視の空間があるかのような喋り方をする。

もうひとつの物語では、点字によって指先からの情報が脳に大量に流れ込み、処理が追いつかず、知恵熱で寝込むシーンが面白かった。
三人称視点で、どこか他人事で全てを見透かし理解しているような天の声の文体、リズムにのれたら読むのは楽しかったが、難しかった。

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2026年09月07日

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