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長く単行本化が望まれてきた傑作小説、待望の刊行。 耳が聞こえなくなった女性アナウンサーからの依頼は、彼女自身のために新しい墓をつくってほしいというものだった。彼女とのどこかちぐはぐなやりとりが主人公の日常を静かに侵食していく表題作「彼女のカロート」。読むことに困難を抱えながら文学に殉じる青年がある〈宝物〉をめぐるシュールな冒険に巻き込まれていく「宦官への授業」。発表時に読者を衝撃と驚嘆の渦に巻き込んだ、1行ごとに読む快楽に包まれる2篇を収録。
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Posted by ブクログ
読み味が全く異なる2つの小説。でもそのどちらも、文章そのものが持っている力がとてつもない。 存じ上げない作家さんだった。書店で、この本と出会わせてくれたことに感謝したい。 「彼女のカロート」は、物語として先が気になる展開でもあり、設定の妙もありその独特の空気感に酔っているうちにパタンと幕が下ろさ...続きを読むれていた。 耳が聞こえなくなったどこか不安定な女性、姿が見えないが存在は度々示唆される旦那、植物の多すぎる部屋と奇妙なBGM。その密室の中での会話のシーンの描写が、うすもやがかかった地に足のつかない不気味さでたまらない。 最後のセリフも、驚くべきことが起きているはずなのに呆気ない。ずっと奇妙。でも面白い。 あと、なんだか私は彼女のことを知っているような気がする。現実の世界で。なんなんだろうこの感覚。 私はこちらの作品の方が好きでした。 「宦官への授業」 また違う文体で紡がれる文章。所々に差し込まれるたまらない文章表現に惚れ込みつつ、でもなんだか集中できない。 解説を読んで、この少し苦しいような、でもやめることができないような読書体験すら仕組まれたものであるということを理解し、思わず感嘆の息が漏れた。 面白かったとか、そういうことじゃない。圧倒的なテキストを読まされている、と思った初めての体験だった。
押し寄せる文字の情報量に整理が追いつかない謎の読み心地。読めば理解できると思うのは読者の傲慢なのかもしれない。それでも逸るように読み進めてしまう中毒性のある文章。理解できない清廉さがもはや清々しかった。
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荻世いをら
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