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Posted by ブクログ
読み味が全く異なる2つの小説。でもそのどちらも、文章そのものが持っている力がとてつもない。
存じ上げない作家さんだった。書店で、この本と出会わせてくれたことに感謝したい。
「彼女のカロート」は、物語として先が気になる展開でもあり、設定の妙もありその独特の空気感に酔っているうちにパタンと幕が下ろされていた。
耳が聞こえなくなったどこか不安定な女性、姿が見えないが存在は度々示唆される旦那、植物の多すぎる部屋と奇妙なBGM。その密室の中での会話のシーンの描写が、うすもやがかかった地に足のつかない不気味さでたまらない。
最後のセリフも、驚くべきことが起きているはずなのに呆気ない。ずっと奇妙。でも面白い。
あと、なんだか私は彼女のことを知っているような気がする。現実の世界で。なんなんだろうこの感覚。
私はこちらの作品の方が好きでした。
「宦官への授業」
また違う文体で紡がれる文章。所々に差し込まれるたまらない文章表現に惚れ込みつつ、でもなんだか集中できない。
解説を読んで、この少し苦しいような、でもやめることができないような読書体験すら仕組まれたものであるということを理解し、思わず感嘆の息が漏れた。
面白かったとか、そういうことじゃない。圧倒的なテキストを読まされている、と思った初めての体験だった。
Posted by ブクログ
墓のメンテナンスをしている主人公。そこにニュースキャスターの世利まことから電話がかかってくる。彼女は耳が聞こえていないらしい。
村上春樹みたいだった。温度感の低いやりとりと、主人公も視点のキャラクターでは収まってくれない不思議な反応、超現実的なことがごく自然なふるまいのように起こり、人物たちもそれにいちいち大きなリアクションをしない。
耳が聞こえない人と1体1でいるとき、自分の声のほうが上手く発声できていないのではないか、自分では気づいていないが自分の声は口に出した瞬間に虚空に吸い込まれて音を発生していないのではないか、たしかに懐疑的になってしまいそう。
千葉雅也の解説よかった。登場人物や物語の展開自体が「カロート的」、その間合いに空虚=空間がある。それは「間抜け」というユーモアにも繋がる。
「あと、お墓ください」。会話の内容がどこか突飛で、まるで彼女の中には論理が繋がっているのだろうが我々にとっては不可視の空間があるかのような喋り方をする。
もうひとつの物語では、点字によって指先からの情報が脳に大量に流れ込み、処理が追いつかず、知恵熱で寝込むシーンが面白かった。
三人称視点で、どこか他人事で全てを見透かし理解しているような天の声の文体、リズムにのれたら読むのは楽しかったが、難しかった。
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