あらすじ
組織の「変われない」を終わらせる
本書は、組織変革の最前線で実践されたマネジメント手法を紹介する一冊です。著者の山下浩史氏は、ニコトモ株式会社の代表取締役社長として、現場から会社を変革してきた経験を持ちます。「変われない」組織の壁を打ち破るための具体的な方法論が詰まっています。トップダウンの呪縛を超えるブレイクスルーは現場から生まれるという視点で、組織論、ジレンマと構造的欠陥、弱みの共有、若手の即戦力化、成長社員の見分け方、個性を引き出す手法など、現場のリアルな課題に対する実践的なアプローチを解説しています。経営層だけでなく、現場のマネージャーやリーダーにとっても、組織変革の起点を探し出すための貴重な指針となるでしょう。変化の時代に対応できる強い組織づくりを目指す方に最適な一冊です。
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Posted by ブクログ
本書は、一人一人の行動からいかにして組織を変えていくか、その具体的なプロセスに加え、特にリーダーとしての部下との関わり方を説いた一冊である。
リーダーとして大切にすべき要点が、多くの事例や著者の経験をもとに非常に明快に整理されており、多くの気づきを得ることができた。
気づきその①「人を変える」のではなく「変わりたくなる場をつくる」
特に感銘を受けたのは、「組織改革とは、人を変えることではなく、人が自ら変わりたくなる場をつくること」という視点である。リーダーが部下をコントロールしようとするのではなく、部下が主体的にキャリアを設計し、必要なスキルを選び取っていく「キャリア自律」をいかに支援できるか。そのための問いかけや関わり方の重要性が、理論(クルト・レヴィンの変革ステップ等)と実践の両面から丁寧に示されている。
気づきその②リーダーこそ「弱さ」を見せる
また、組織の心理的安全性を高めるための「上司が率先して弱さを見せる」という考え方には非常に勇気づけられた。「詳しくないから教えてほしい」「自分は昔こんな失敗をした」といった自己開示が、結果としてメンバー間の対話を生み、個人のパフォーマンスを「集合天才型」の組織へと昇華させていくのだと説く。
私自身がまったく未熟な人間だと思っているので、完璧なリーダーを演じる必要はまったくなく、メンバーを巻き込み、共に迷い、共に考える姿勢こそが今の時代に求められるリーダー像なのだという著者の主張には背中を押される思いだった。
気づきその③成長を最大化させる「挑戦空間」
教育の側面では、「快適」「挑戦」「混乱」という3つの空間(いわゆるラーニングゾーンモデル)を用いた人材育成の捉え方が非常に示唆に富んでいる。学びのない快適ゾーンでも、冷静さを失う混乱ゾーンでもなく、少し背伸びが必要な「挑戦ゾーン」に部下を置くこと。そして、リーダーは失敗のリスクを承知の上で「しっかりフォローする」と約束し、結果ではなくプロセスに対してフィードバックを行うこと。この積み重ねが、著者の提唱する「エンジョイメント」、すなわちメンバー一人一人が仕事を通じて自分の存在意義を自覚し、夢中になって仕事に取り組み、深い喜び・満足感を得ることにつながっていく。
最後に総評
1on1の在り方から組織変革のステップまで、リーダーが現場で直面する課題への具体的な処方箋が詰まった一冊だ。
組織を変えたい、部下に変わってほしい、と悩むリーダーに向けて、部下と「どう関わるか」「どのように信頼を築くか」という”自分自身の姿勢”を見つめ直すきっかけを与えてくれる良書である。