あらすじ
足の速さを競う時期は過ぎた。これからは少しずつ生き方に緩やかさを与え、しだいに無為の方へと身を向けさせるべきなのだ……ありのままの思念を綴る、四方田版『随想録』。書下ろし!
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Posted by ブクログ
ガブのリアル本棚には1989年刊の『ストレンジャー・ザン・ニューヨーク』という本がある。大学生の頃『朝日ジャーナル』の連載を毎号楽しみに読んでいて、単行本として出た時すぐに書店に買いに走ったもの。1989年のこの一冊以来、著者の本を二十年余りも読み続けてきたのだから、思えば長い「お付き合い」になる。そんなわけで、今回このような本が出たと知り、帰国が待ちきれずすぐに購入ボタンをクリック!
本著に収録されているエッセイは、先人の言葉や古典作品を引用しつつ、著者本人の過去や現在をあれこれ綴ったものなのだが、四方田本の「忠實讀者」であるガブには、正直うち数編に書かれていたものは、すでにどこかで読んだ感じがぬぐえなかった。とはいえ、四方田本ファンとしては、まあそれが不満だというわけではないのだが・・・。
ただし帯の惹句を見て「むふふふ♪」とミーハーな興味や、『ハイスクール1968』のその後・・・的なものを期待してこの本を手に取った向きには、どこかしら、踏み込みが足りないような物足りなさを感じるかも。
ところで、タイトルのもとは「人到中年萬事休」である。ガブ自身すでに「人到中年」を実感しているのだから、著者はすでに・・・などと言うのは野暮というものか?