【感想・ネタバレ】人、中年に到るのレビュー

あらすじ

足の速さを競う時期は過ぎた。これからは少しずつ生き方に緩やかさを与え、しだいに無為の方へと身を向けさせるべきなのだ……ありのままの思念を綴る、四方田版『随想録』。書下ろし!

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Posted by ブクログ

2010年刊。四方田犬彦、57歳。書名から、彼の自分史シリーズの一冊だと思っていたが、そうではなかった。
場所はノルウェー、集中講義でやってきた雪のオスロ。山小屋風の宿舎にこもるところから始まる。自著は100冊を超えた。ここで一区切り、ひとつ、あることを試みてみよう。傍らになにもないなかで(本や日記や記録に頼らずに)、思索をする。どこまでやれるかやってみよう。
全部で17章。「職業と労働」「私はなぜ旅に出るか」「憎悪と軽蔑について」「功名心について」「世代について」「言語の修得について」「死について」……最初は無謀にも見えたのに、最後まで読まされてしまう。その筆力の冴え、その思索力たるや、さすが。
四方田が「プロローグ」にもってきているのは、グレン・グールドのエピソード。22歳でバッハの「ゴルトベルク変奏曲」を演奏・録音するグールド、そして49歳で同じ曲を演奏・録音するグールド。その対比。17章を一気に読ませてしまうのには、この呼び水も効いている。
(p.s. あれっ、このスタイル、モンテーニュのエセーではないか。モンテーニュも、中年になって、自分の城の塔にこもって、あの作品(その名も、Essais、試み)を書いたのだった。)

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2026年05月15日

Posted by ブクログ

ガブのリアル本棚には1989年刊の『ストレンジャー・ザン・ニューヨーク』という本がある。大学生の頃『朝日ジャーナル』の連載を毎号楽しみに読んでいて、単行本として出た時すぐに書店に買いに走ったもの。1989年のこの一冊以来、著者の本を二十年余りも読み続けてきたのだから、思えば長い「お付き合い」になる。そんなわけで、今回このような本が出たと知り、帰国が待ちきれずすぐに購入ボタンをクリック!

本著に収録されているエッセイは、先人の言葉や古典作品を引用しつつ、著者本人の過去や現在をあれこれ綴ったものなのだが、四方田本の「忠實讀者」であるガブには、正直うち数編に書かれていたものは、すでにどこかで読んだ感じがぬぐえなかった。とはいえ、四方田本ファンとしては、まあそれが不満だというわけではないのだが・・・。

ただし帯の惹句を見て「むふふふ♪」とミーハーな興味や、『ハイスクール1968』のその後・・・的なものを期待してこの本を手に取った向きには、どこかしら、踏み込みが足りないような物足りなさを感じるかも。

ところで、タイトルのもとは「人到中年萬事休」である。ガブ自身すでに「人到中年」を実感しているのだから、著者はすでに・・・などと言うのは野暮というものか?

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2011年01月06日

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