あらすじ
ビジネスマンは“最低”このレベルの知識を持ちなさい!
消費税、憲法改正、TPP農業問題……、
ニュースをインテリジェンスで捉える。
──本書で取り上げている論点は、私にとって目新しいものではない。
時代とともに新たな証拠が積みあがってきて、論点が補強されるために、
ときに新鮮に映ることがあるのかもしれない。(「まえがき」より)
ビジネス誌『PRESIDENT』好評連載、時代を捉える金言満載の『日本のカラクリ』を1冊に。
消費税、原発、憲法……、時代に通底する問題点を
日本一のコンサルタント、『企業参謀』の大前研一がわかりやすく解説。
ジャック・アタリ、三浦雄一郎との特別対談を収録。
【目次】
《特別対談1》ジャック・アタリvs大前研一 ~「日本病」克服の唯一のカギとは?~
■01:ケインズ以降のマクロ経済理論はもはや通用しない
■02:今、世界で本当に隆盛を極めている「クオリティ国家10」を見てこい
■03:アベノミクスよりすごい景気対策がある
■04:下請けなのに、なぜ台湾企業は強いのか?
■05:新しい「日本のお家芸」を探せ!
■06:世界滞在型旅行業は自動車産業より市場規模が大きい
■07:「ヒット商品」が出ない本当の理由
■08:なぜ、日本人はかくも覇気がなくなったのか?
■09:「TPP農業問題」を解決するただ一つの道
■10:うなぎ上りに膨れ上がる国民医療費
■11:憲法96条は占領軍の最悪の置き土産
■12:「都構想」「道州制」が世界マネーを呼ぶ
■13:「日本版一国二制度」の始まり
■14:日本の地方分権はずっと足踏みしてきた
■15:橋下徹大阪市長を嫌いな人は、なぜ嫌いなのか?
■16:これが本物の「官僚改革」だ
■17:すべて腹芸と裏ワザで行われてきた外交交渉
■18:福島第一原発事故の本当の原因
■19:日本の被曝恐怖症は、なぜこんなにも偏っているのか?
■20:知らないと危ない!「世界の宗教」の歩き方
《特別対談2》三浦雄一郎vs大前研一 ~80歳でエベレスト登頂、偉業の裏側~
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Posted by ブクログ
日本の「合成の誤謬」を解説。とにかく硬直した日本のシステムを流動的にするシステムを作るしかないらしい。
そのためには道州制!道州制!!道州制!!!らしい。
今度はアンチ道州制の本を読む必要がある。
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p22 民主主義は短期的視野に陥りやすい
民衆は変化に敏感である。国家元首が制度の変更をすれば、それに付随する不安に呼応して、すぐに新たな変化を求める。
また、社会の変化が著しい現在、どんどん新しい変化の方針案ができる。そのたび民衆は変化の必要を感じてしまう。
それで、変化し続ける国「日本」である。毎年、首相を変えて、一新しようとする。
なのに何も変わらない。なぜか。変わるからさ。
p28 人口増加局面ではフローへ課税
日本の金融の実情が変わった今、税制を変えなきゃあいけないのに変えられない。人口も所得も増加していく経済成長期は、所得(所得税)や利益(法人税)などのフローに課税すれば効率よく税収を得られた。
しかし現在は低成長時代。本当に課税すべきは金融資産や不動産などのプールに課税すべきである。硬直した資産を動かし、経済活動に参加するようにしなくてはいけない。
でも、こういう課税は民衆から人気なわけがない。だから政治家はやらない。こういう税金こそ、国民の民度が試される。とくに、資産を保持するジジババに問われる。
p39 ケインズは閉鎖經濟でしか使えない
グローバル経済環境では、国内でいくらニューディール政策のような有効需要を生み出しても、バラマキ政策をしても、そのカネ、モノ、ヒトは国境を超えてしまい、国内経済に反映されないからである。
それどころか、安い海外商品に依存するようになり、国内の雇用は減少してしまう。
p40 「身構える」がキーワード
先進国経済では個人資産がプールできるので「身構える」姿勢になる。「持つ者」の特権であり、「持たざる者」にはない。
しかし、この身構える姿勢が経済を停滞させる。この身構える姿勢になっている自分たちを理解できるかが、何よりも重要である。
日本は「倹約」を美徳とする伝統的思想が定着しているから、難しい。私も、倹約家だから。
p47 日本の軟着陸と50歳
日本は二十年も低成長を続けているのに、スペインのように失業率が50%を超えたり、あらゆる層の所得が100万も減っているのにストも起きず、ホームレスも全然いない。
日本はもう持たないといっても、一向に潰れる気配のない、最強の軟着陸国家である。すげぇ。ゆえにその分負債を蓄える時間も長いから、ヤバい。
どんな組織でも平均年齢が50歳を超えたら変化を嫌うようになり、改革という言葉も出なくなる。日本は2014年に平均年齢が47歳を超えた。2020年で49歳と予想される。ちなみに平均年齢のワースト3は日独伊らしいww
p58 金遣えば免税にする
いかにジジババの資産を引き出すか。「今お金を遣ったら将来惨めになるかも」という不安を「お金を遣えば人生は豊かになるし、子や孫から感謝される」そういう心理に訴える政策を実行しなければいけない。
たとえば、「家を500万円以上かけてリフォームしたら、残りの人生免税!」とか、「遺産の生前贈与を遣ったお金は相続税を免除!」とか、とにかくジジババの金を市場に持ち出す制度を作れば絶対に経済が変わる。
金が動くんだから、あたらしいサービスが生まれ、進化していくはず。それを促さなきゃあ。
p66 スマホのアイコンになるイメージを持て
現代のデジタル市場は「あなたの社が30年かけて開発してきたことを集約すると、スマホのこの3つのアイコンです。」という状態である。
今から新しいものを作るにしても、自分の開発したものがスマホのアイコンとして使われるデジタルな発想を持とう。今時、新しいハードを作ってもダメである。
日本の家電量販店もカンナで自分の身を削り合う勝負はもう限界の状態である。不採算部門はすぐに捨てる勇気!断捨離だ!
p73 アメリカのような構造赤字になる
現在の日本男産業構造は、海外で安く作って日本に輸入するである。つまり輸入が増えて、貿易黒字を減らす原因になっているのである。これはかつてアメリカの自動車産業が陥った穴である。
生産拠点も海外に行ってしまったので、国内生産が減る。このままいくと、日本の貿易収支は赤字になり、黒字に戻せない構造になってしまう。いや、なってしまっている。
アメリカなんかは、日本の生産拠点を誘致できたから、輸入超過になる構造を改善できた。アメリカに良いようにされてしまっている。
p82 日本人の旅は確認型
世界の旅行のトレンドはディスティネーション・ツーリズムである。長期滞在で、登山やアドベンチャー、歴史学習、文化を体験し、買い物をしまくる、といった個人的な目標設定による旅行形態のこと。ツアーとか受動的な感動でなく、能動的に旅の感動を得るのがこれである。
これには、融通の利く宿泊形態や観光地のしくみが必要である。日本が観光立国を目指すならば、このトレンドを理解し、対応できなくてはいけない。
p87 税金漬けの自動車
日本最大の産業である自動車、これが売れなくなって、ついに買ってくれと若者に泣いてすがっているらしい。しかし、誠意が全くない。自動車税、取得税、重量税、消費税、、、ガソリン税、、、車検、、、保険料、、、高速代、、、駐車場、、、経費はかさむばかりである。
車は本当に贅沢品なのか?現代ではもう必需品の領域ではないのか??
金もないのに若者に買ってくれ、そして税金も払ってくれ、意味が分からない。
p99 競争社会の必要性
ゆとり教育が生み出したのは「無能者」だった。日本国内では不幸は少ないかもしれないが、中国や韓国という競争社会を生き抜いてきた強者に喰いものにされて、より一層の不幸を招くことになる。
p104 農業は日本に不向きである
日本の国土の7割は山地である。大農場で農業機械を使って大規模生産に叶うはずもない。日本では1キロ500円で作っているコシヒカリを、オーストラリアでは1キロ25円で生産できるのである。
日本の技術者が外国の最適地で開業して、それを日本に輸入するそういうラインを作るべきなのである。
国内の農業をなくしたら有事の安全保障はどうするのか。という問いに対しては、有事には石油が輸入できなくなり、農業機械は動かせなくなるがどうするのか。という解で一蹴できる。
TPPをやるべきなのは、そういうことである。
p108 スウェーデンの医療
北欧先進国が医療費を無料にしているのは、日本のように医者にかからないから。だから医療費が低く抑えられる。
スウェーデンでは病気の定義があり、病院に電話して症状を問診して病気と認定されたら初めて病院に行ける。ただの風邪の場合は「この薬を買って飲んでください」と簡易処方を受けられる。
日本のように風邪でわざわざ病院に行かないし、筋肉痛で病院に行かない。日本は本当に無駄の多い医療システムのままでいる。
しかし現状の医療システムにつかりきっているジジババは涙に訴えて、現状維持を求めるだろう。こういう意見は無視して改革を断行してほしい。
p109 救急車の有料化をすべし
救急車の無駄な発進でどれだけ無駄が出ているのだろう。地方の過疎集落では病院へのタクシー代わりに救急車を呼ぶ輩もいる。
タクシーを呼べば2万くらいとるようにすればいい、けれど、緊急性のある病気の場合だったら保険適用が効くというシステムにすれば悪用を激減させられる。
p160 省庁の期限を設定
シンガポールでは任期を終えた役所は解体される。
要らない政策が予算確保のためだけに残っているとか、前例主義でできないことだらけの役所の在り方に風穴を開けられる。
公務員はリストラできないというのは、一番経費削減に貢献できない法律である。直ちに撤廃すべきである。
p165 アメリカの親中化
中国や台湾の人々はアメリカで必死にロビー活動をしている。日本はただアメリカの犬でいるだけである。自国留学生が教育を受けるアメリカの学校に寄付をしたり、シリコンバレーでの共同研究や出資など一生懸命である。そういえば23万人もいるのだ。このアメリカで学んだ学生が中国に帰って社会に出るようになれば、経済のパートナーになる。
もはや冷戦なんてあってもイデオロギー闘争ではなく、単純な経済競争である。だから、中国とアメリカも敵対というよりも経済競争をするライバルになっている。
p168 自民党のおじさんが外交を相続不可能にした
民主党が政権を奪取しても何もできなくてあっさり取り返された。これは民主党が悪いのもあるが、一番悪いのは、他の党では相続不可能な政治環境を作った、歴代の自民党のくそ親父たちである。
自民党の外交は田中角栄や森喜朗などのような個人的な力でまとめたものが多く、持続が困難な外交成績ばかりである。
民主党が普天間移設をしたくてもできなかったのは、間違いなく、日本国民には明らかにされていないが、アメリカの戦力には干渉できないという契約で返還されたからである。何も知らないのにギャーギャー喚くなとアメリカに一括されて沈黙したのだろう。
自民の政治の歴史には裏ワザがありすぎて、どの党が新たに政権をとってもコントロールできないようになってしまっている。最悪だ。
p178 非常用電源
原子力発電所の再稼働問題は、非常用電源をきちんと整えればできる。巨大津波への対応など無駄な金を投じてばかりいるが、本質的なのは、ミサイル攻撃されようが、隕石が降ろうが、すぐに外部独立電源で冷却装置を稼働させることなのである。これが本質であるのに、反原発アレルギーのせいか、解決策には目を向けようとしない。解決策として正しそうなものは拒絶しようとしてしまうのだ。
今回の原発問題で、安全・保安院は安全対策の「多重性」は準備していたが「多様性」は準備していなかった。いかに多重構造でも、おおもとの電源がなければ発動しない。最悪、アナログでもいいから冷却システムを作動できるように、多様性のある対策を用意するのが本質なのだ。
p185 ヒロシマの教訓よりデータ活用
ヒロシマの悲劇は国民感情によって、アンタッチャブルの領域である。しかし、日本政府は被ばく患者のデータや放射能汚染の浄化のデータをきちんと採取し、有効活用することが最良の責任の取り方のはずである。
しかし、原発問題でいかされず、感情論やヒステリックな拒否反応を鎮めることができていない。それどころか、野党は感情論を用いてヒステリックを煽っている様である。
感情に流されて本質を見失っていることが多すぎる。
p188 被爆よりタバコ
今回の放射能漏れで被爆した低線量放射能は、体内で長い潜伏期間を経て、運が悪ければガンを作り出す。しかし、ガンというのは案外簡単に作られるし、案外悪化する前に新陳代謝で排泄されてしまうらしい。
低線量の放射線はタバコやアルコールと同系列でとらえるものである。しかし、放射能というだけでヒステリーを起こしてしまうのは、それこそ原爆の被害である。
それなのに、日本人の被爆への認識の偏りは恐ろしい。同じ被爆なのに医療行為のレントゲンやMRIやCTスキャンは気にせず、どんどんやっている。CTスキャンの被ばく量は多くて、年度限界量を二回でオーバーしてしまう。この被爆でガンにならないのに、どうして原発の放射能だけはガンになってしまうのだろう。
p190 CTスキャンリスク
OECDではCTスキャンを減らす傾向がある。危険という認識が広まっているのである。しかし、日本では増加している。唯一の被爆国:日本が!!
それはCTスキャンがもうかるから医者が勧めるという実態もある。医療行為ならすべて正義に還元できるという、悪癖である。
p194 宗教と闘うとは
宗教と闘って成功するには「闘わないこと」が大事。
情報統制や隔離政策など規制によって宗教問題に取り組むのが一番危険である。
宗教対立は得てして権力闘争や経済格差が原因の結果であって、広く民が豊かな生活を送れば宗教自体が争いを起こすことはない。
規制で対抗せずに、教育で寛容さを育むことで、自立した宗教観ができて、対立を起こさなくなる。
やはり宗教問題だろうがなんだろうが、悪いのは金だし、解決の方法も金なのである。この金の捉え方を正しく教育することが大事なのである。
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あー全部正しく思えてしまう。
だからと言ってこの人の言っていることを全部対処したからってうまくいくわけない…かなぁ?
とりあえず、今よりも真っ当な社会になると思う。
この人の言葉は、正しいことだけじゃなくて、大切なことも言ってくれているから、良い。
とりあえず、安倍さんがどんなにしてしまおうが、日本を変えてくれるよう長期政権を支持しちゃおう。
サービス。サービス。
Posted by ブクログ
日本が抱える課題を数ページにまとめているので、さくっと読めた。
CTスキャンの被ばく量はへたすると2回で年間限度を超えることがあるとのこと、福島での被ばくよりこちらのほうが危険である。
あと、外国の人に宗教を聞かれたら、無宗教であると言わないように。無宗教というとこいつは歯止めがきかないヤバイやつだと思われるらしい。
日本は八百万の神といって、山や樹木など自然界のあらゆるところに神がやどると信じられています。私もそう思いますと答えよう。