【感想・ネタバレ】痛みとケアのスピリチュアリティ 死と再生の新たな形のレビュー

あらすじ

宗教学、死生学と幅広く活躍する著者が、多様な臨床現場との対話と学問的素地から「新たなケア」の内面を理解する新境地。

霊的・宗教的に限定されず、人間の魂の次元に人生の意味や価値を求める「スピリチュアリティ」。死にゆくひとの痛みとケア、看取りやホスピスケア、喪失とグリーフケア、魂を尊ぶ水俣病、依存症や嗜癖とかかわる自助グループの広がり、ひきこもりの支援――。
『新世紀エヴァンゲリオン』はなぜ若者のこころを捉えたのか。尾崎豊現象と死の身近さ、子どもや若者の自殺の背後にあるものは何か。
そして新たなケアのかたちとスピリチュアリティはどうかかわるのか。当事者と支援者のスピリチュアルペインとは? これらを死と再生の新地平として捉える。

〇時代の病……生きていることの虚しさ/傷つきやすさと依存症(嗜癖)
〇悲嘆と安らぎ……非業の死と集合的悲嘆/あの世とこの世をつなぐ分かち合いの力
〇閉塞からの旅立ち……「平安の祈り」の現代性/ひきこもりとアダルト・チルドレン
〇心の居場所……トラウマと当事者研究/弱さの自覚から生まれるもの

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Posted by ブクログ

本書では、現代世界の精神文化の経緯を振り返りながら、特定の宗教伝統や宗教団体の枠を超えて求められて来た新たなスピリチュアリティ…前向きにより良き自己と未来の世界を求めていく「自己変容のスピリチュアリティ」、そして本書の本題である、容易に超えていくことができない切実な痛みに向き合うことから展開する「痛みとケアのスピリチュアリティ」について語られている。
概要をまとめるのが難しいのだが、まえがきによると、
第一章〜第三章:死にゆく人の痛みとケア、そして死生学的な場の形成
第四章〜第六章:死別・喪失による悲嘆、水俣病のような人為災害や自然災害、事故、事件による痛み
第七章〜第九章:依存症、差別や虐待やいじめ、トラウマ的な痛み
第十章〜第十三章:孤立・孤独、自傷や自殺などの痛み
第十四章〜第十五章:それらに対するケアのあり方
の流れでこのスピリチュアリティについて論じていく。
著者も語っているが、これらのテーマと無縁でいる人はなかなか居ないのではないだろうか。程度の差こそあれ、たましいの痛みとどう向き合えばいいのか、考えたことがあると思う。
著者のこれまでの研究の成果と、豊富な資料をもとに書かれた本書を、ぜひ多くの人に読んでほしい。とても興味深かったし、参考になることが多かった。著者の他の本も気になるので今後読んでいきたい。

以下目次

まえがき
第一章 目に見えないものにふれる
第二章 死と孤独に向き合う
第三章 新たな教養と痛みとユーモア
第四章 集合的な悲嘆とグリーフケアの集い
第五章 水俣病運動のスピリチュアリティ
第六章 深い悲嘆とそこからの歩み
第七章 自助グループおスピリチュアリティ
第八章 居場所のない自己からの歩み
第九章 機能不全家族とアダルト・チルドレン
第十章 孤独な魂の癒しと旅立ち
第十一章 疎遠な世界と無垢な少年の心の痛み
第十二章 閉ざされた世界への抗いと脱出
第十三章 子ども・若者の自殺の背後にあるもの
第十四章 新たなケアの形とスピリチュアリティ
第十五章 当事者と支援者の心の居場所探求
参考文献
あとがき

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2026年08月01日

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