あらすじ
「オープン・イノベーション」の研究領域における第一人者ヘンリー・チェスブロウ氏の最新著作を、博報堂グループが監修・監訳。
『オープン・サービス・イノベーション』では、サービス重視の経済が加速する昨今、オープン・イノベーションとサービス・アプローチを組み合わせることがビジネスの成長と競争にとって、効果的な方法であることを実証した新たなアプローチを提案している。
本書では、製品中心からサービスを中心にするイノベーションへ考え方を転換し、オープン・イノベーションにより顧客と共創することで、持続可能なビジネスモデルが生まれ、継続的に顧客価値が創造されることを示している。企業やサービス業、新興経済国に対するガイダンスと分かりやすい具体例、そしてイノベーション産業への道のりが示されている。
【日本語版に寄せて】
一橋大学イノベーション研究センター教授、米倉誠一郎の推薦の言葉
「オープン・イノベーションは、流行でなく時代の必須だ。企業連携を超えて、既に生活者までも巻き込んだ新たなサービス革命が始まっている」
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Posted by ブクログ
「オープン・イノベーション」の提唱者である著者が、ともすれば技術や製品を中心とした議論に閉じてしまいがちなその概念を「サービス」を中心とした理論体系に再構築した一冊。企業が社内外のリソースをうまく活用して優れた「サービス」を提供し続ける「プラットフォーム」を構築することで、持続的な競争優位性の維持が可能であることを、具体的事例を交えて解説している。
著者によれば、どんなに優れた製品・サービスもすぐに模倣され陳腐化してしまう「コモディティ・トラップ」を避けるためには、製品の提供を含めた顧客体験全体を「サービス」と位置づけ、その「サービス」を、顧客とともに「共創」しつつ、自社と社外パートナーの間でリソースを相互にオープン化して活用することにより、「サービス」の「規模」と「範囲」を拡大することが必要だという。
今後成功するビジネスモデルにおいては、社内・社外を問わず、すべての関係者が保有するリソースを自社のプラットフォーム上で最大限活用し、それぞれが収益を得る「Win-Win」関係の構築が不可欠であり、自社はそのための「コーディネーター」の役割を果たすことになる。すでに実践している組織では当たり前なのだろうが、社内に閉じた業務に陥りがちな自分にとっては”目から鱗”となる内容が多く、今後の働き方を考える上でもヒントをもらうことができた。
Posted by ブクログ
会社が危機的な状態のなか、サービスの開発がしたいという私の希望が何故か奇跡的に実現し、職場を異動してもうすぐ早一年が経つ。言うは易く行うは難し。悶々としながらの日々。そんな私にとって教科書になるような本。
Posted by ブクログ
「技術で勝って、事業やビジネスモデルで負ける」と言われる日本企業は、製品イノベーションへ偏重している。その打開策としてよくいわれるのが、「モノづくりからコトづくりへの変換」です。
本書は、その具体的なイノベーション手法としての「オープン・サービス・イノベーション」に関しての書籍となります。著者は、『オープンビジネスモデル』(翔泳社)『オープンイノベーション』(英治出版)で和書が出ている、ヘンリー・チェスブロウ。
前著2作はどちらからかいえば、学術書的な要素もあり文献としての重要性はありながらも、少し難解な部分も多い。
今回の書籍は、ビジネス書として書かれた1冊目の書籍であり、経営書を読み慣れた読書には理解しやすい内容です。
オープンサービスイノベーションの4つの基本コンセプトを解説した第1部と、ケーススタディの第2部。ケース・スタディとしては長いかとも思いますが、まだまだ、オープン・イノベーション、オープン・サービス・イノベーションという言葉がひろく普及していないので、第2部のケースも結構役に立ちます。
また、9章ではリバースイノベーション、BOPビジネスへの言及もあり、イノベーション書籍の中では、重要な1冊となります。
Posted by ブクログ
イノベーションを実現するためのアプローチとしてオープンサービスイノベーションのフレームワークについて語られている本
このフレームワークには4つのコンセプトがあり、その確立が不可欠とのこと。
忘れないようにここにメモします
(1)自分のビジネスをサービスビジネスとして考えること
(2)顧客に価値ある体験を提供することから、顧客と共同してイノベーションを創出、共創すること
(3)サービスのイノベーションを深化させていくために、オープンイノベーションを活用すること
(4)新しいビジネスモデルとして、サービスでビジネスモデルを変換すること
これら4つのコンセプトを第1部に、それぞれ詳細かつ具体的に事例を交えながら述べています
(1)ビジネスをサービスとして考える
(2)顧客との共創
(3)社外にサービスイノベーションを広げる
(4)サービスでビジネスモデルを変換する
そして、後半の第2部では
大企業、中小企業、サービスビジネス、新興経済国、それぞれのタイプでのオープンサービスイノベーションの実例を紹介しています。
知っているネタもあれば、初めて知る話しもあり、その数多い事例は参考になります。
また、このフレームワークを一枚にまとめた
「オープンサービスイノベーションのコンセプトマップ」
はいろんなところで活用できると思います。
このマップをベースに、どのようにビジネスをサービスとして捉え、顧客と共創し、エコシステムを創り、そして、ビジネスを変えていくかを表題ベースで振り返ることができます。
コモディティトラップから脱出して、成長し続けるためには、サービス分野でのイノベーションがキーということで、そのための本書オープンサービスイノベーションのフレームワークはとても参考になります。
Posted by ブクログ
製品からサービスへ。サービスによるイノベーション。
顧客ニーズを行動観察で。そしてプラットフォームに。
ここに気になるキーワードが一つでもある場合、本書は必読。
Posted by ブクログ
サービスの本という認識で読みだしたが、これは企業戦略の本だということ。チェスブロウの本なのだから当然ですが。
同じオープン・サービス・イノベーションでも、その企業規模や手法によって、適切に分類されているのは、理解を助けてくれる構成。
Posted by ブクログ
「車」というハードを売るのがいいのか、それを発展させて「移動」というサービスを売る方がいいのか、オープンサービスイノベーションをすることによって何が得られるのかについて、東西の事例を紹介しながら、説く。 よく言われるアップルのビジネスモデルが例に出されるが、それが、様々な産業で行われている。今朝の新聞に記事があったが、最近シャープの携帯の広告でオンエアされているIGZOだが、この研究開発資金は科学技術振興機構から支出され、ライセンス契約を結べば、どこでもつかえるオープンサービスだと。シャープだけではなく、サムスンも契約していると、(朝日新聞5月23日)。垂直統合にこだわってきた日本の家電の末路をみると、技術を抱え込むことばかり考えるのではなく、その活用の仕方を考える必要がある。技術ばかりではなく、ブランドの活用も考える時代がきているのかとも思う。
この本の監修をしている会社の監修者の紹介が巻末にあるが、そこに後輩の名前があった。同じ職場で仕事をしていた人が、活躍している姿を見るのはいいものだ。
Posted by ブクログ
ポジショニングという考え方から顧客とともにサービスを作るという視点への変換。
自社のコアコンピタンスを使わせることもありうるという大胆な発想。
Posted by ブクログ
ちょっと難解でした。しかし書かれてあることに違和感はなく
自分の考えを統合的に整理するには、いい本だったと思います。
整理できたような気がします。
でも逆の意味ではあまり斬新なアイデアはなかったかなあと
思います。
製品中心の事業・ビジネスモデルやさらにイノベーションでさえ
コモディティー化のトラップに必ずハマってしまう。
サービス中心の事業・ビジネスモデル・イノベーションをめざすべき
という内容。モノからコトへということ。
ビジネスをサービスとして考える。
顧客・他社との共創・オープンイノベーション・ビジネスモデルの変革
製品やモノ中心の考え方からそれをサービスに変えていく
顧客に対して固定費を要求するのではなく、変動費に変えていく
その中で、自社単独ではなく、他社や顧客とオープンに共創していく
そのうえで、プラットフォーム化していく。
ということ。。。。
いま自分の事業で考えていることの後押しになったかも。。。
やはり、これで組織化し(仲間を募って)やりたいことやるか・・・・
Posted by ブクログ
「技術で勝って、事業やビジネスモデルで負ける」と言われる日本企業。製品中心のイノベーションは限界にきており、サービスイノベーションへの転換が課題である。
イノベーションと成長を実現する新たなアプローチや考え方には、次の4つのコンセプトと実践が欠かせない。
1.収益性を維持して、成長し続けるためのビジネスとしてサービスを捉える。
2.イノベーションを進める企業は、顧客に価値を提供することができるため、顧客と共同してイノベーションを創出する。それにより顧客は期待以上の結果を得る。
3.顧客、サプライヤー、補完財のメーカーやサービス提供企業など、自社のビジネスを取り巻く第三者の専門家がオープンイノベーションを加速し、サービスのイノベーションや成長を深化させていく。顧客の選択肢の幅が広がる。
4.効果的なサービスイノベーションには新たなビジネスモデルが必要となる。社内のイノベーションで利益を得ながら、ビジネスの付加価値となる社外にあるイノベーションを刺激するというビジネスモデルである。
Posted by ブクログ
オープンイノベーションのプロセスにおいては、入口も出口も一つではないことが特徴となる。オープン・サービス・イノベーションでは、顧客のニーズを捉えて、必要に応じて適切な外部リソースを活用し、顧客の期待に応えることがキーとなる。サービス形態のプラットフォームをいかに上手に作るかの活動がビジネスの中心となる。
顧客のニーズを的確に捉えるためには、行動観察を行い、顧客の体験を可視化する。顧客がサービスに接触する瞬間を見極めなければならない。
現在、日本の製造業の大部分がコモディティ・トラップからいかに抜け出すかに苦労している。本書は、日本の製造業がサービス業という視点からビジネスを捉え直し、新たな成長のステップへ踏み出す為の示唆を与えてくれている。
Posted by ブクログ
オープンサービスイノベーションの面白さと可能性は良く分かるんだけど、ちょっとグダグダした感があって、読み疲れる。最後の方は流し読み。でも、サービスイノベーションの考え方はいろんな産業にも通じるところが多そうなので、読んでよかったと思える一冊。
Posted by ブクログ
冒頭に書かれていたオープンサービスイノベーションの概念を読んだときは、確かに世の中そうなっているよねと納得感があった。
しかし、読み進めても、それ以上の広がりが見えず、同じ事が何度も繰り返されて書かれており、読みくたびれてしまった。